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44:調査

明日も16時ごろ更新予定です。

よろしくお願いします。

 資源調査に向かうのは、自分とユーキ、スロークの3人。

 まずは、大穴へ向かう。

 間違って入り込まないように、位置情報を共有するためだ。

 スロークにはスキル、オートマップがあるし、ユーキもランクアップによって世界地図が使えるようになった。

 世界地図の性能は、屋外限定のオートマップといったもの。自分の周囲100mほどが白紙の地図に書き込まれてゆく。

 どちらも、実際に移動しないと地図が埋まらないのだ。

 「そういえば、転職やめたんだって?」

 フブキに乗る自分と並走するバイクのスロークに話しかけた。

 「あぁ、リザレクションは不要になったけど、アサシン系だけじゃ不便な点も多いし、と思って転職するつもりだったんだけどね、フブキを見て考えが変わったよ。」

 「あぁ、スロークも騎乗用結構あるんだ?」

 「ただの乗り物じゃないってわかったからね。なら、みんな出して村のために使いたいし。第四貯蔵庫が使えるレベル80まで上げることにしたよ。」

 う~ん、レベル80か。

 俺は一体いつになったら到達できることかね。

 「わお!ほんとに穴だ。」

 少し前を走っていたユーキとアオンが大穴を発見した。

 ほんと、村から近かったねぇ。

 あの時は、とにかく確実に着くために北へ向かったけど、とんでもない大回りしてたんだね。

 まぁ、まっすぐ東へ行ってたら村のだいぶ南を通り過ぎてただろうけどさ。それに、ノエルさんにも会えなかった。

 「気を付けてね。このあたり、枝や葉で隠れてるけど小さな穴がけっこうあるみたいだから。」

 朝出る前に注意してはいたけど、念のために注意喚起。

 「じゃぁ、手筈通り自分はこのあたりを調査して戻るよ。小さい穴もオートマップを見ながらなら避けられるだろう。」

 そういってスロークはバイクをしまうと、オートマップを開いて大穴周辺の穴を調べだした。

 うっかり落ちないように、穴の位置と数を把握するためだ。

 「じゃあ行こうか。」

 ユーキに告げると、一路北上。

 ノエルさんの家へ。

 実はデモンエイプの魔石を1つ譲り受けて、2台目の魔素排除用魔導具を作成していたのだ。

 俺が倒した分を売らずに取っておいてくれた物、残り一つは研究に利用するとしよう。

 2台目の魔導具も、うっすら漂う魔素を追い出す程度の性能だけれど、ノエルさんの行動範囲をほんのちょっとだけだけど広げられるだろう。

 他にも、時間停止機能付きのバッグにマスターお手性の甘味を詰めてきた。

 今回は、ノエルさんにいつか村へ引っ越さないか、と話をしに行くのだ。

 襲撃者の件もあるし、大穴からスライムが、なんて可能性もゼロではない。

 今回は、いつか魔素の問題を解決できたら村に来ませんか?って感じで、軽く話してみようと思っている。

 「エルフかぁ。なんか、緊張する。」

 大穴を離れてからユーキがソワソワしている。

 そりゃあ、エルフは憧れだもんねぇ。

 「あ~、エルフっていうか、その始祖みたいな人ね。エロフじゃないからね。」

 最初にノエルさんの話をしたときに伝えてあるけど念のため。

 「もちろん分かってるよ。でもやっぱり、なんていうか、憧れだよね。エルフがいるんだから、ドワーフもいるよね。」

 そのワクワク感は分かるよ。

 エルフ、ドワーフはファンタジーの王道。なのにこれまで、噂にも出てこなかったしね。

 実は村の中でも、今回の訪問について行きたいと希望が殺到した。というか、村から出られないソンチョー以外のワタリビト全員が手を上げた。

 で、俺がいなくても交流できるように、マップ機能があるメンバーでくじ引きを引いてユーキが勝ち取ったというわけ。

 ワクワクするなと言っても無理があるよな。

 そろそろだからと、フブキとアオンを収納。

 魔導地図を見ながら進むと、木々しか見えなかった風景が突然変わった。

 数か月ぶりの庭だ。

 「いらっしゃい。今日は新しいお友達なのね。」

 ノエルさんは庭で草花の世話をしていたようで、こちらに気が付いて出迎えてくれた。

 そうか、中からは普通に見えるんだったよな。

 「は、はじめまして!ユーキと申します。」

 ユーキよ、ガチガチだぞ。

 「ユーキ君ね。私は、聞いているかもしれないけれどノエルと申します。何もないところだけれど、ゆっくりしてくださいね。」

 さっそく、新しくつくった魔道具を設置する。

 今回は牛小屋に入れるように位置を調整。

 「かなり大きな魔石が必要なのでしょう?無理はしないでね。」

 はい、無理してませんとも。

 庭でお茶をごちそうになりながら、ここを出た後のことを話したり、マスターの甘味、魔素抜きの蜂蜜、この家で作れるようにアレンジしたレシピなどを贈呈させてもらった。

 「ありがとう、とてもうれしいわ。自分でも試してみたのだけれど、どうしても甘さが出せなくて。」

 ありがとう。その笑顔だけでお腹いっぱいです。

 村の女性陣はなぁ。こういう、心からの笑顔が足らんのだよ。

 アオイもマナもどこかトゲがあるし。

 これをスロークに愚痴った時、「その理由はシンさんにある。」なんて返されちゃったっけ。結局理由はいまだに分からんけど。

 ユーコは・・・何か裏がありそうで怖い。この間もいきなり拉致られて女子全員から責められたし。施設建設の責任者はクリフトだからね!確かにちょっと調べるの手伝ったり、理解できず専門家に丸投げしようって提案したけど。

 ミサとアカネとは、まだなんか壁がある気がする。まぁ、死んで生き返ったなんて気持ち悪いよな。

 その二人と一緒に救出された三人娘からは、いつからか、老人に対するいたわり的な扱いを感じるようになったし。 

 余計な感情なく笑顔を見せてくれるのはもう、ノエルさんだけです。

 なんて、なごんでいる間ユーキは草人形に興味があるみたいでいろいろ質問していた。

 あ、そう言えばカワイイもの好きだったね。

 資源調査、行きたくないなぁ。

 もうしばらくここでマッタリしていたい。

 とはさすがに言えないので、そろそろお暇しなければ。

 「あら、もうお帰りなの?」

 あぁ、社交辞令を微塵も感じさせない感じアザッス。

 素材調査の道中に立ち寄ったことを伝えると、ならばちょっと待っていて、と家に入っていった。

 少しすると、一冊の本持って戻って来た。

 「昔、まだ外に出られたころに書き留めたものなの。ずいぶん時間がたってしまっているから参考になればいいんだけれど。」

 と言って手渡された本には、この周辺にある様々な植物や鉱物のメモが、簡単な地図とイラスト入りで記されていた。

 「こんな貴重なものを。」

 分厚い本には、かなり詳細な説明でビッシリと埋め尽くされていた。

 「私にはもう必要ないから。少しでも役に立ってくれれば、書いた甲斐があるものよ。」

 そうして立つ間際に、引っ越しの件を話してみた。というか、いつ言おうかタイミングを計っていたらこの時になってしまった。

 「私はもうあきらめてしまったけれど。そうね、あなたならきっと、叶えてくれるかもしれないわね。」

 はい、OKだということで受け止めさせていただきまっす。

 最優先事項は決定した。

 歌劇場?知らん。

 この本だけでも、チート持ちの調査チームが数か月かけての調査に匹敵するのだ、優先順位が変わるくらいなんてことないさね。

 本当に感謝だ。

 のそのそ歩くフブキの上で本を読みこんでいく。

 ふむふむ・・・とりあえず今回は本に書かれている自生地をチェックしよう。

 ノエルさんの家中心に、10か所ほどが効率的に回れそうだ。

 「ついでに危険そうな魔獣は経験値と素材になってもらおうよ。」

 ユーキの提案了解です。

 裏に「ノエルさんの生活が魔獣に脅かされないように」という意図が多分に含まれてることも了解です。

 

 まずは、砂糖の木(仮称)だ。

 樹液を煮詰めて濃くし、乾燥させたものが、黒砂糖と酷似した物になるという。ということは、精製すれば砂糖になるはずだ。

 通常は、シュガーハンターと呼ばれる専門のハンターたちが命がけで取りに行く。

 商人が、数人でチームを組むシュガーハンターを雇う。そのチームが複数合同で森の奥深く、砂糖の木の群生地へ向かう。そのため、黒砂糖を扱う商人たちは示し合わせてハンターを雇って、協力させて送り出し、樹液は平等に分配される。それだけ危険だということだ。

 砂糖の木は魔素が濃くないと樹液を出さないらしく、群生する地が危険でしかも限られているため、貴族でもなかなか手が出せない貴重品。

 森の深くにある村なら、魔素も濃いはず。樹液を取れる可能性はある。ダメでも、魔素を押し出す魔道具の応用でなんとかなるかもしれない。

 本の略地図を元に魔導地図と照らし合わせて自生地付近にたどり着くと、描かれたイラストと見比べながら、目的の木を探す。

 楓の葉を大きく、切れ込みも大きくしたような、特徴的な形状の葉なので割と早く見つかった。

 幹の外周が10mはあろうかという巨大な木だ。

 「こんなに大きいんだね。」

 巨大な木を見た時の定番というか、両手を広げて幹にピタッと張り付いたユーキ。5人いても足りないな。

 カブロに聞いた話だと、せいぜい1mくらい、大きくても3mまではいかないって聞いてたんだけどな。

 魔導地図にマーカーをつけると、周囲を探索する。さすがにこんな巨大な木は持ち帰れない。

 理想は幹の外周1mくらいの木なんだけど。

 無いな。

 種類が違うのか、それとも環境なのか。

 1mくらいの物で高さが約10mって話だったから、第四貯蔵庫にギリ入れられるサイズだからと、簡易拠点とか騎乗用モンスターとか、いろいろ置いて中身を空にしてきたのに。

 とりあえず今回は断念。

 確か、カイトたちがプレイしていたビルダーズでは原形のままアイテム欄に保管できたはずだから、戻ったら可能か確認しよう。無理ならここに採取に来るしかないな。

 「接ぎ木とかで増やせたらいいのにね。」

 次の目的地へ向かうためにアオンにまたがるユーキ。残念そうに巨木を眺めている。

 「やり方わからんし。取れるようになるまで時間かかるだろうし。仕方ないね。」

 略地図を見ながら次の目的地へ。ラサの実やヌイクの実(初めて森でさ迷っていた当時に食べた丸い実。のちに家畜のえさだと判明)とか、この世界の果物系が自生している周辺だ。

 フブキたちの足なら1時間ほどで着くだろう。

 と思ったのだけれど、以外と魔獣が多くて時間を食ってしまった。

 「蛇って、鶏肉みたいっていうけど蛇の魔獣もそうなのかなぁ。」

 鶏肉といえば鶏唐、食べたいなぁ。

 この世界に来てからまだ、揚げ物は食べてない。

 油が貴重なのだ。

 魔獣は油があまり多くない。

 まぁ、考えてみればそうなんだよ。

 弱肉強食の極みともいえるこの森に野生で生きることは簡単ではない。余計な脂肪をため込めるほど食料があるわけではないし、激しい闘争を勝ち抜くために筋肉でガッチリ。なのだ。

 強い魔獣ほど美味い。を期待していた時期もあったけれど、魔素抜きしてもマスターの御業(ミワザ)無くして魔獣は食えん。かっこ 一部除く かっことじとじ。

 さておき、魔獣の油は炒め物くらいには使えるけれど、揚げ物ができるほど量が無い。

 油の取れる植物も欲しいところだ。

 なんて考え事をしていると、またやって来た。

 前足が異様に大きく、巨大で鋭い爪が驚異の爬虫類系魔獣、グロウリザーだ。

 俺のレベルではとてもかなわない強敵。だけど、装備のおかげで労せず倒せる。ありがとう”商店”を選んだ俺。ナイスチョイスだった。

 そんな感じで倍近く時間がかかってしまった。

 周囲はもう暗い。

 魔物除けを稼働させて、軽食を取ると寝床を確保して就寝。

 う~ん、今回の調査はあと二日の予定だったけど、10か所は回り切れないかも。

 

 帰路。

 結局8か所しか回れなかったけれど、最初の予定では空振りも覚悟していたのだからノエル様様だ。

 持ち帰れたのはラサの実20Kgと原木10本、ヌイクの実5Kgと原木10本、野生種のブドウっぽい木を2本、油の取れる植物3種20本、ゴムっぽい樹液を出す木10本、岩塩窟の発見と岩塩100Kgだった。

 砂糖の木は次回に保留、香辛料系の自生していた場所は、残念ながら消滅していた。

 今回の反省点。

 簡易拠点は持ってこよう。

 魔物除けあるし、すでに初夏、そのまま地面にごろ寝でも問題無いだろうと思ったけどね。やっぱ、寝具は大事だね。

 村の近くまで来ると、トライコーンのハヤテに乗ったライアーと、グリフォンのエースに乗ったカイトが出迎えてくれた。

 貯蔵庫から出した騎乗用アイテム、というかモンスターたちを乗りこなすための訓練中だったようだ。

 もう仕舞うつもりはないので、このままみんなに慣れてもらいたい。

 特にグリフォンは飛行ユニット。ゲームと違って、習熟にはかなりのコツと経験が必要だろう。

 さらに、サイをモチーフにしたモンスターのアースドラコ(ブル)がいて、自分が所有していた全騎乗用アイテム4種が活動中。

 いや、今回は収穫が多いし確認しなきゃならないこともあるしで報告が大変だ。

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