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43:土方ぁ~ず(ドカタァ~ズ)

明日がGW連日更新最後です。

16:00に予定しています。

 ひと悶着もふた悶着もあった区画整理計画大発表。

 すこしでも良い場所をと大騒ぎ。

 特に商店や、独立希望の商人達の必死さよ。

 とはいえ、最初から全部くじ引きにしたから恨みっこなし。

 恨みっこは無かったけど、問題は起こった。

 くじを引く前に延々と箱をかき回してなかなか引かない(引けない)人、箱に手を入れる前に延々と神頼みを始める人、自分は運が悪いからと従業員に押し付け、責任取らされちゃいかんと従業員同士もお互いに押し付けあうなど、収拾がつかなくなったりもした。

 いやぁ、大変だったなぁ・・・ソンチョーが。

 例外はカブロとベリッサの店だけど、この村へ移住するための口利き役として全員から認識されていたので、表立って不満を言うものはいなかった。

 まぁ、村側としても面倒事を押し付けっぱなしだったみたいだから、そのくらいはとソンチョー達が優遇したみたい。

 移住してきた人の中には職探しできた人も多いので、同時に警備員や役所の職員も募集したりと大忙しだった・・・ソンチョーが。

 移住直後は人手も足りないだろうし、村独自のルールを周知するためにも読み書きできた方がいいだろうと、カブロがソンチョーと相談して移住の条件に、本人もしくはグループの代表が読み書きできること、と組み込んでいたんだそうだ。

 うん、できる商人は違うね。

 ということで、役所の人員はとりあえず確保できた。

 警備員は腕っぷしの強さも重要なんだけど、腕に自信がある人は一獲千金を夢見てハンターを目指してしまう、ということでイマイチ集まらなかった。一獲千金に値する魔獣なんか、新人ハンターにどうこうできるレベルじゃないんだけどね。

 当面はゴブリンとオークたちに頼ることになりそうだ。

 ゴブリンとオークと言えば、最近住人が増えた。

 ゴブリンは、元々近くで暮らしていてハダ族とも交流のあった小部族が合流を願い出てきた。どうやら、俺が土砂降りの中倒したグレートベア、あれの被害にあっていたらしくて、村は壊滅状態、指導者を無くして30名ほどがハダ族族長だったンダバを頼って来たと言う。

 オークは仲間の捜索に出ていたオーグルが、20名ほどの生き残りを見つけ出して帰ってきた。

 オーグルたちがどれほど探しても誰一人見つからず、途方に屈れて村の跡に立ち寄ってみたら、生き残りのオークたちが戻っていたという。

 みんな、デモンエイプが倒されたという話を聞きつけ、再建しようと集まっ来たそうなのだが、指導者もおらず、先行き不安の中暮らしていたところに、親衛隊長のオーグルがやって来た。

 姫も無事で、村の仇であるデモンエイプを討伐した村ならばと、傘下に入ることを快諾して村にやって来たのだ。

 彼らは今、ソンチョーの教育を受けている。

 会話が普通にできるようになれば、村の一員として職に就いてもらうことになる。

 俺はというと、ある組織に編入された。

 計画書を元に外周部から工事を始めるために、インフラ整備の精鋭”土方(ドカタ)ぁ~ず”が結成されたのだ。

 総監督クリフトを筆頭に、アオイ、カイト、アカネのサンドボックストリオが地面の掘り起こしと補強、地下整備後の整地、舗装などを担当。街道整備を中断して戻ったトウリョー、オヤカタをはじめとするオーク、ゴブリン作業部隊がクリフトと上下水道設備を、俺は必要な部材の作成要員で、ユーシンは資材運送。さらに、移住者職人軍団有志が10名ほど。物量を一気に投入して、なるはやでの完成を目指すのだ。

 自分の作業は少なめの設定。理由は魔素無し空間を作るための実験に、酒やら何やらのための資源調査に、魔物除けの解析と改良に・・・うん、多すぎないこれ?

 ノエルさんに差し入れるレシピづくりをマスターにオネダリするっていう重要案件もあるのに。

 自分の拠点作成は当分先だな。

 土方ぁ~ずエース部隊によって、瞬く間に掘り起こされてゆく地面。

 「おじーちゃん遅ぉ~い。」

 うるさい!部材の作成はデリケートなんだよ。時間かかるの!

 デリケートさのかけらもないバリケード娘は何かにつけてチャチャを入れに来る。

 さすがにサンドボックスゲームプレイヤーが3人もいると進行速度がハンパない。

 人数的に何倍もいる配管作業が追い付かない。資材が間に合わないのもある。人数バランスがおかしいよな。

 クリフトと二人、黙々とパイプだの資材を作っていると、暇を持て余したアオイがやってくるのだ。

 ということで、急遽トウリョーも製造班に移籍してチマチマやっている。

 作業速度のバランスを崩した大きな要因はもう一つ。

 掘り起こした穴は埋めずに周囲をがっちり固めて、将来何か追加したりできるように空洞のままにすることになった。結果、埋め戻しの作業が無くなった。

 一番早いエース部隊の作業が減ったのだから当然の結果と言える。

 そしてとうとうエース部隊も資材作成に加わることになった。

 あ、実験も調査も解析もオネダリも何一つできてない。

 

 そんな日々も早3か月。

 外周及び未使用だった区画のインフラ整備が終わった。

 いよいよ、入居している建屋の移築と使用中部分のインフラ整備が始まる。

 さすがに緊張する。

 自分がやるんじゃないけどね。

 カイトが家に両手で触れる。と、全体がボヤっと光り出した。

 次の瞬間、家がポンっとミニチュアサイズに。

 心配そうに見ていた住人もあっけとられている。

 家のあった場所は更地・・・あ、水が吹き上がってる!

 いかん、水道止めてなかった!ずぶ濡れになりながら水道管の先をふさいだよ。学習した。次は忘れない。

 若干一名ずぶ濡れのまま移設予定に移動。

 中央にミニチュアを置くと、カイトが離れた途端にボンっと元のサイズに。

 住人に中を確認してもらうと、花瓶一つ割れることなくばっちり元のままだったとようやく安心。

 急いで上水道と下水道を接続して移設完了。

 手順がはっきりしたら、カイト組とアカネ組に分かれて次々移設を進める。

 50軒ほどの移設は1週間ほどで完了し、中心部のインフラ整備に取り掛かる。

 とはいっても、エース部隊も巻き込んで資材は作り終えているので2週間ほどで完成、中央部に入る家を仮置き場から再び移設して、初夏には区画整理が完了した。

 この間ウシオやソンチョーたちは、畜産のための準備を進めていたようだ。

 土方ぁ~ずの次なる作業は牛舎や鶏舎などの建築、牧場にスレッドスパイダー繁殖地や果樹園、水田などの整備だ。

 自分はここでお役御免、というか、今までできなかったことを進めるために土方ぁ~ずを離脱した。

 さらっと、「おじーちゃんクビ?」とか言ってたアオイさん、忘れぬぞ。


 そんなある日、マスターのレストラン(食堂を移設、拡張してレストランとして新装オープンしていた)では、夕食後にアオイ、マナ、ユーコ、ミサ、アカネと、興行団から救出されて村に来た3人娘(マリア、セレイア、ソリスラ)、が女子会を開催していた。

 「あのぉ、どうしてシンさんは”おじーちゃん”と呼ばれてるんでしょう。」

 異世界人であることを知らないマリアが、どう見ても自分と同世代にしか見えないシンを”おじーちゃん”と呼ぶアオイに聞いてきた。セレイア、ソリスラと、ミサにアカネまでもが首を縦に振って質問を肯定した。

 「だって、中身50歳だもん。」

 「は?」

 と、意味が分からない3人娘と、理解したミサ、アカネ。

 「シンさんはぁ、頭の中身がすっかり枯れてるんですよぉ。女の子と遊ぼうとかぁ、良いかっこしようとかぁ、モテたいオーラがありんこの涙ほども無いんですぅ。」

 ユーコのフォローに、なるほど、そういうことかと納得する3人娘。

 「基本的にあの人は、仕事を頼んだだけの職人さんだと思って。それ以上期待してもがっかりするだけだから。」

 マナの評価も辛らつ。

 「それにしても、マナ先生には本当に感謝しています。まさか、奴隷の印が消せるなんて。」

 そう言って、ソリスラは自分の左肩を愛おしそうに撫でた。

 この世界での奴隷の証、焼き印は、本当にただの焼き印なのでマナの医療ポッドで消すことができた。

 意外だったのは、それ以外の傷が全くなかったことだ。あんな犯罪者集団にとらわれていたのだから、いろいろな意味で心配していた。

 「あぁ~、姉御とママ、どうしてるかなぁ。」

 ミサが漏らした姉御とママとは、歌劇場を取り仕切っていた古株の奴隷で、二人とも腕っぷしの強さと人柄で、下っ端の強面連中からも一目置かれていたらしい。

 その二人がいたおかげで、歌劇場では暴力や凌辱といった虐待とは無縁でいられたらしい。

 救出の時も、ミサが二人も一緒にと言っていたのだが、二人は残された演者たちが、最後の一人が親元に戻るまで見送る責任があると言って残った。

 四人にとっては、感謝してもしきれない大恩人だ。

 「歌劇場もできるんでしょう?できたらそこで歌いたいなぁ。」

 アイドル物のソーシャルゲームをプレイしていたミサの能力は、ファンの数などで上昇する。

 それにはやはり、ちゃんとしたステージで歌いたいようだ。

 「アカネちゃんも一緒に出ようよ。5人でユニット組んで。」

 「えぇ?私ですか?無理ですよぅ。人前で歌うなんて。」

 顔を真っ赤にして突っ伏してしまったが、歌劇場の話題が出たあたりからそわそわしているのを、ミサは見逃さなかった。

 「大丈夫よ。きっと楽しいよ~。」

 ミサはソロだったが、3人娘はステージでは親元に帰ったと人との5人組で弦楽器を弾き、歌っていた。

 盛り上がってはいるが、そうなるのはまだまだ先のこと。みんなそう割り切っていた。

 アオイが告げた事実がある以上は夢の話だからだ。

 「問題は、歌劇場を作るそぶりもないことだけど。」

 さすがにみんな現実に戻されてしまった。

 そう、歌劇場予定地はあるが、何一つ進行していないのだ。

 「そんなことなのでぇ、責任者らしき人を招集しましたぁ。」

 そういうユーコは、いつの間にかシンの腕をつかんで連れてきていた。

 「は?え、なに?」

 ただ単に、たまたま食堂に入ってきたばかりのところを捕まったのだ。

 「歌劇場はいつできるの?ってゆーか、作る気あるの?」

 詰め寄るアオイに、なるほどと手をたたくシン。

 「うん、早く作りたいのはやまやまなんだけどね。」

 「なら早よぅ。」

 「言い訳臭い。」

 すかさずアオイとマナの口撃。

 「いやいや、歌劇場って、とんでもなく難しいんだよ。素人が箱作ればいいってもんじゃないんだからね。

 あれって、音の反響だとかを綿密に計算して設計しなきゃなんないんだよ。って、自分もなんかの番組、あ~、書籍?でチラッと見ただけなんだけど、音響って沼なんだよ。ちょっとしたことでも聞こえ方が全然変わっちゃうらしいし。だから、作るならちゃんとした専門家に設計してもらわないとダメなの。で、ここには今、誰一人として詳しい人がいないのよ。」

 えぇ~。というブーイングにめげずに続ける。

 「いちおうカブロに頼んで、ちゃんと設計できる人を呼べるように手配してるから、焦らず待ってよ。こっちだって、どうせならちゃんとしたもの作って、いい環境で活動してもらいたいし。」

 そこまで一気に言って、あらためて様子を見ると。

 感動?して涙ぐむ3人。

 仕方ないなぁ、といった様子でも、一応喜んでくれているミサとアカネ。

 いつものようにニコニコしているユーコに、まぁ合格、とでも言いたげなマナ。

 に対して、訝しげなアオイさん。

 むぅ。

 大枚はたいてこっそりウィキネットで調べたけど、結局理解できずに丸投げしたことはバレてない。はず。

 とりあえずピンチは脱した。と、思いたい。

 これ以上難癖付けられないようにそそくさとレストランを後にするのだった。

 「仕方ない、夕食は貯蔵庫のもので済ますか。」

 トボトボ歩く中身アラフィフだった。

 

 こうして日は立ち、色々ありながらもなんとか手が空いた。

 のでさっそく調査に出発だ。

 ほしいものはいろいろある。ラサの木に、この世界のブドウ的な植物とか、できれば蜜蜂も。

 砂糖的な蜜を出す木もあったんだよね、確か。

 ゴムの木とかも無いのかなぁ。

 あ、あと岩塩とか。とにかくほしいものはいっぱいある。

 ここらでしっかり調査して村に持ち帰りたい。

 フブキを取り出して森へ。

 ガッツリ探すぞ~。

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