39:グーパン
明日4/30(日)16:00にも更新します。
よろしくお願いします。
「すげぇ。」
今俺たちは、トライコーンのハヤテが引く馬車に乗って、森の街道入り口にいた。
もう、すっかり浦島太郎の気分です。
死んだときはまだ、土の道だったのに。
それも、村周辺から始めてたところだったのに。
街道は、中央に一段高い道、手すりで仕切られてるし、入るのに数段の階段があるから歩行者用かな。左右におそらく馬車用の道。
「左側通行ってことなんですかね?」
ウシオが感心しながら左の路面を指さした。
左側の路面には、奥を頂点として、右側には手前を頂点とした大きな三角マークが描かれている。ウシオの指摘通り、進行方向を示しているのだろう。
左側の路面脇には、料金回収用であろう建物もあるが、誰もいない。
時間制なのか、まだ稼働前なのかは分からないけれど、料金表なども見当たらないので稼働前だろう。
何か言われたらその時考えよう。ということで前進。
街道を村へ向けて進む。
乗り心地は、これまでの道とは雲泥の差だ。
う~ん、マジ、俺帰っても役に立たないんじゃね?
なんか、急に不安になってきた。
「だれ?」とか言われたらどうしよう。
でも、この道なら馬車も魔改造で高級車並みの乗り心地にできそうだな。
乗合馬車とかもいいかもしれんよ。
2台を連結させて、前は魔改造したグリーン車、後ろは普通車とか。
騎乗用の鞍を作れば、たぶんこの世界の魔物も騎乗用化できると思うし、一度騎乗用化した魔物ならだれでも扱える。うん、良いんじゃないかな。
驚くべきは、歩道にベンチや、トイレと思わしき建物まであるところ。う~ん、実は何年も経過してるとか?
驚きと感動とちょっとの不安。
すごいなぁ。
魔物除けにはデモンエイプの毛皮を使っているようだった。
所々隙間があるから魔物との遭遇戦もあったけど、大きな問題も無く、路面脇に大きな広場が見えてきた。
「たぶん、野営用のキャンプ地かな。日も陰って来たし、ここで泊まろうか。」
広場には十字に石畳が引かれていて、それ以外は固められた土。テントの杭が打てるようにってことなのかな。
石積みの壁で囲まれているので安心感がある。
さっそく簡易拠点を設置して一泊。
ウム、快適じゃ。
魔物除けも村に近づくほど細かく設置されている。
村に近い=森の奥深く。なので、魔物も強力になるからきめ細かいケア。感服です。
途中戦闘を挟みながらも快適な行程。
おそらく、村手前最後であろう広場が見えてきた。
「あれ?誰かいますね。」
ウシオの声でうたた寝から目を覚ました。
賢いハヤテは手綱を握っているだけでちゃんと進んでくれるのでついね・・・。
うん、日も陰って来たし、まだ遠くてはっきりと分からないけど、誰かいるね。
「作業中かもね。移住もあったろうから道を先に通して、広場とかを後から整備してる可能性はあるよね。」
そんなことを話しながら近づいてゆく。
やっぱり作業中みたいだな。何人かが木材を運んでいる姿が見えた。
「ん?誰か来ますよ」
たしかに、一人まっしぐらに走ってくる姿が・・・
ウシオが緊張して立ち上がると、拳銃を構える。
「オークです!」
オーク?まさか・・・。ってか、目、良いね。
少しすると、自分にも姿がはっきり見えてきた。
「オヤカタ!」
バッと馬車から飛び降りると、自分も駆け出していた。
とりあえず再開の握手を、くらいのつもりだったけど、オヤカタはガバッと全力でハグしてきた。
うひ~。
強いから・・・なんか出ちゃうから・・・。
顔じゅうからいろんな汁が出てるからぁ~。
なんてやってると、広場の方からワラワラとオークやゴブリンが。
「お久しぶりです、主様。ご生還を信じてました。」
そう声をかけて来たのは緑色のゴブリン、トウリョウだ。
「おかえりなさい。シンさま。」
「ハジメマシテ。オセワニナッテオリマス。」
なじみのゴブリンに、初めて会うオークたち。
オークはまだ言葉がぎこちない。最近合流したのかな?
大歓迎で迎えてくれたオヤカタたちに案内されて広場へ。
管理事務所兼駐在所の建設中だという。
自分が死んでいる間は、オヤカタ達のスキルが機能しなくなり、言葉にも違和感があったそうだ。それでも、この村でのことは忘れることもなく、それまで通り一員として頑張ってくれていた。
それが、ほんの数日前にスキルが再起動したので、復活を予感していたという。
おそらく村にいるオリヒメも同じはずだから、皆も復活を確信しているはずだとうれしそうに話してくれた。
そういえば、全く気にしていなかったけれど、いつの間にか俺のレベルは再び20を超えていた。
MODで拡張したテイマーのスキルが開放されたためにオヤカタたちのスキルも開放されたのだろう。
その日は久しぶりに村の食事。
マスターのレシピで出向しているゴブリンの料理人メチが腕をふるったもの。を堪能した。
お返しに、エイルヴァーン製のエール酒を振る舞った。樽で、スタック上限の99個詰まってたからね。
恐る恐る聞いてみたけど、資材の方は問題無かったみたい。キョトンとされちゃったよ。ってことは、外に出していた分は倍になったってことだよね。儲け。
翌朝、朝食をご馳走になると、村へ向けて出発した。
酒、弱いのに昨日は飲みすぎた。
人生初の二日酔いのため手綱はウシオにお任せ。
もう飲まん!
スマン。嘘だ。
ほどほどにする。
お昼すぎにようやく復活。
トウリョウの話だと、夕方には着くだろう。
流石にこの辺りになると毛皮による魔物よけが密に設置されている。おかげで一度も魔物に遭遇していない。
お。
村が見えてきた。
ここからでもわかる。
建物増えたなぁ。
少し前で馬車を降りた。
なんだか、急に歩いて入りたくなったんだ。
村に入ると、職人と思しき連中がたむろしている中にアオイがいた。
元気そうだ。
こちらに気がついたアオイは、自分を見るや否や駆け寄ってきて、ボロボロと泣き出してしまった。
え?
いや、死んでたんだからそうだよね。でも、オヤカタ達の話だと生き返った確信があったって伝えられたのでは?
想定外の反応におたつく自分。
む。どう反応すればいいの?
致命的なほど圧倒的な経験値不足。
あ、手に日本刀らしきものを持っている。コレダ。
「ウマクデキルヨウニナッタンダネ。オメデト・・・ウ?」
次の瞬間、アオイの右ストレートが顔面に刺さり、そのまま暗転。
棒読みはいかんかったよね。




