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31:リセット

次回は4/5水曜日16時ごろ更新予定です。

よろしくお願いします。

 森の中にいる。

 え?うそ・・・。

 周りには誰もいない。

 てっきり、皆がいると思ってたのに。

 ひょっとして、諦めて捨てられた?

 いやいや、そんなはずはない・・・あるか?

 あるよな、うん、何か月も死体をスキルの中に入れて置くって、結構負担だったのかも。気持ち的に。

 エイルヴァーンの蘇生魔法って、仲間の戦闘不能状態を回復するって但し書きで死者を蘇生するものじゃないし。

 いちおう死者蘇生方法を探したけど見つからなくて諦めた・・・いやいや、だとしても森に放置するようなみんなじゃない。よね?

 ん?

 この服・・・なんでこんなもん着てるんだ?

 白い簡素な服。

 この世界に落とされたときに着ていたやつだ。

 嘘だろ・・・。

 急いでステータスを確認する。

 そして。

 膝からくずおれ、両手をついた。

 

 氏 名:シン(15)/飯田 真一(48)

 性 別:男  種 族:ヒューマン

 職 業:超越者  レベル:1   経験値:0 

 生命力:5   魔 力:5   気 力:5 

 筋 力:5   体 力:5   敏捷性:5   器用さ:5 

 知 識:5   知 恵:5   魅 力:5 

 魔法 :無し  スキル:商会(MAX)  所持品:無し

 装 備:シャツ(服)・ズボン(服)・パンツ(服)・靴(服)肩掛けバッグ(袋)


 これってひょっとして、リセットなのか?

 レベル1だよレベル1!

 なんで?

 魔物倒した経験値は?

 向こうの自分を助けるためとか、悪魔から情報引き出すために余剰分の命を使って、その時弱くなるって言われたけど・・・。

 迷彩男を倒したとき、レベル20から40になってたからその分の経験値10万点分は減ると思ってたけどさ。

 そこまでは納得だったけどさ。

 まさかのレベル1・・・。

 装備も所持品も初期化って。

 ひどすぎない?

 う~ん・・・経験値を稼いでいた自分の命はデモンエイプに殺されてしまったんだから、経験値も無くなってるって解釈?

 詐欺だ~!

 諦めるしかないのね!

 納得はしないけどね!

 納得はしないよ!マジで!!

 はぁ・・・所持品までリセットかよ。

 しかも、ここどこ?

 ひょっとして場所もリセット?ってことは初めてこの世界に来た場所?わからん。

 まさか、時間までリセット…は、無いか。今昼間だもんな。あの時は真っ暗闇だったし。

 ちらほら融け残ったような雪も見えるし。ってことは、もうすぐ春かな。

 森の中、途方に暮れ四つん這いで呆然と地面を見ている青年(中身オッサン)一人。

 いかん、そんな場合じゃない。

 ここが最初の場所で、時間軸がリセットされてないなら、レベル1でここは不味い。

 あの時と違って、魔物の氾濫からかなり時間が過ぎているってことだろう。魔物の量も回復しているかもしれない。

 氾濫直後で魔物が激減した状態でも、魔物にはそこそこ遭遇したのに。

 頼みの綱は、生き帰る直前悪魔のサービスで選んだスキル、商会 だ。

 本来は大商人レベル90で解放されるスキル。

 町や村を指定して売買する商品を設定するすると、自動的に販売と買取をしてくれるというもの。

 熟練度MAXまで上げているので10店舗まで作ることができる。

 それぞれの店舗には1~5人までのNPC店員を雇うことができ、店員が増えれば取り扱える商品の幅や売り上げなどが増える。

 さらに、それぞれの店舗には貯蔵庫の1/3程度のアイテムを保管できる倉庫、しかも時間停止機能付きが付いている。

 ここまでは、本来のスキル効果を考えれば金策や拠点製造に必要な大量の資材集めを終えると、あまり活躍の機会が無くなるスキルといえる。

 重要なのは、スキルに付随する商品管理機能だ。

 商人系のスキル、貯蔵庫シリーズは、第一から第四まであるけれど、それぞれが独立している。

 なので、第一から第三へアイテムを移動しようとすると、一度第一から取り出して第三へ仕舞わなければならない。

 これが大量に移動しようとすると、とてつもなく面倒なのだ。特にこの世界では、ゲームと違って実際に自分で貯蔵庫に入って、自分で探して持ち出さなければならない。せめて一覧表でも見られればいいんだけど、どこに何が入っているのか調べるだけでもかなりの時間を要してしまう。

 商会の商品管理機能を利用すると、いとも簡単に移動、取り出しができるようになる。もちろん各店舗の倉庫や手持ちのバッグ、MODで導入した簡易貯蔵庫の中身まで管理できるというとんでも機能。

 ひょっとすると、まだ開放していなかった貯蔵庫の中身も出し入れできるようになるかも、との淡い期待でこれを選んだわけだけど。

 いろいろリセットされた現状では重要度がはるかに増してしまった。

 たのむ!期待通り動いてくれ。

 祈るようにスキル 商会 を起動する。

 目の前にタブレットのようなものが現れた。

 両手でつかむと、商品管理と書かれたボタンをタップする。

 全身に鳥肌が立った。

 「ありがとう。」

 思わずつぶやいてしまった。

 「そしてグッジョブ!あの時の俺。」

 スキル 商会 は、ゲームどおり機能してくれた。いや、レベル1で使えてるんだからそれ以上か。

 バッグから簡易貯蔵庫から、第四貯蔵庫まで、バッチリ中身を確認できるし、中身もちゃんと入っている。

 イカンイカン、感動してる場合じゃないんだった。

 大急ぎで、今必要な装備を取り出して装備する。

 スキル確保のために転職を繰り返していた時に愛用していた、レベル1でも装備できる最良装備の数々だ。売らなくてよかった。

 全身黒で、この世界では結構目立ってしまうのがちょっと難点だけど。

 まず、物理に強いオリハルコンと魔法に強いミスリルを組み合わせて作ったチェーンシャツ。

 ダンジョンボス、闇の眷属から採れる素材で作ったスラックスっぽいズボン。

 アーマードホーンブルの希少部位を集めて作った胸当。

 ミスリルベースの手甲や脚甲。

 疾走モードでのスタミナ消費を大幅に減少させるブーツ。

 耐熱、耐冷気、耐腐食など、各種耐性を付与したワイバーンのロングコート。

 ミスリルの兜、は、MODで外見を左耳に付ける装飾品に変更してある。

 左の手甲に隠れるように魔法攻撃力強化、右には物理攻撃力強化のブレスレット。

 左の指には各種耐性アップの指輪を4つ、右は地、水、火、風属性強化の指輪をそれぞれ1つずつ。

 刀身が高熱を発するロングソード。

 速度強化と、一戦闘に一回という制限付きだけどウインドカッターが撃てる2本のショートソード。

 命中補正が付いたスローイングダガー。

 連射速度強化のクロスボウ(MODで見た目はライフル)。

 時間停止機能付きのバックパック(MODで見た目はウエストポーチ)。

 もちろん限界まで強化済みだ。

 さらに、一度だけ生命力が尽きると即50%まで回復できる消耗品のネックレスも装備。

 ポーチにはポーション類を詰め込んだ。なんせレベル1だし。

 懐かしい。

 いや、実際自分自身が装備するのは初めてだけどね。

 ゲームではかなりの期間お世話になった装備だ。

 完全に安心はできないけど、とりあえずここが最初にいた場所ならやっていけるだろう。

 ようやく落ち着けたので、改めて、じっくりと商品管理で貯蔵庫内を確認する。

 ぬ?

 第一貯蔵庫が元に戻ってる?

 あ、簡易貯蔵庫もだ。いきなり無くしたショートソードと補正付きの斧がある。

 拠点をバラされて詰め込まれていた資材は村に運び出したはずなのに、また詰め込まれている。

 まずい。

 これ、補充じゃなくて回収されてたとしたら・・・貯蔵庫内の資材を大量に使ってる村は惨状では?

 やばいぃ。

 ・・・そうでないことを祈ろう。無信神者の祈りなんて意味は無いけど。

 お願いします悪魔さま。村が惨状になってませんように・・・。なってたら両替機燃やす。

 逆に、この世界で新たに入れたもの、主に魔素抜き中の食材や魔石はきれいに無くなっている。まぁ、戦闘前にほとんど運び出してたからたいして残ってはいなかったけど。

 やっぱり問題は資材関係か。

 はぁ・・・気が重いなぁ。村に戻らずにバックレちゃおうかな・・・。いやいかんな。 

 ここでウダってても仕方ないんだけどね。切り替えていこう・・・切り替えなきゃね。胃が痛い。

 村に行くのが怖い。

 遠くからそっと覗いてみよう。

 最悪の事態だったらまず土下座だな・・・。

 うん、そうしよう。

 みんなやさしいから、きっと許してくれるさ。

 さて、村の方角が分からないから、適当に歩いてまずは森を出ないとな。

 あ、そういえば騎乗用のモンスターがいたな。

 トライコーン(三本角の馬系魔獣)は足場が悪くて怖いなぁ。足の骨折なんて馬には致命傷だし。骨折するのか?するよな。現実だし。

 ウルフ系なら問題無く動けそうだし、ブリザードウルフにするか。

 騎乗用の馬や魔物などは、大型アイテム扱いのため第四貯蔵庫に入れなければならない。なので今まで使うことができなかった。

 ほんと、商会 選んでよかったよ。

 ブリザードウルフを呼び出すと、装着済みの鞍にまたがって森を疾そ・・・ちょ、ストップっ!

 想像以上に怖かった。

 小枝なんかもバシバシ当たるし。

 防具のおかげで痛くは無いけどさ。

 それでも怖いもんは怖い。

 遊園地なんて子供のころ以来行ってないから知らなかったなぁ。

 絶叫系NGだったんだな、俺。

 首をグルんと曲げて、不思議そうにこちらを見るブリザードウルフ。かわええやないけ。

 「ゆっくり目で行こう。うん。」

 ブリザードウルフにそう言って、再び走り出した。あぁ、名前つけてやりたいなぁ、あぁあ!

 だいぶ速度は落としてくれたけど、まだ結構怖い。

 けどがまんだ。

 とにかく森を抜けるまで。

 もつかな。

復活しちゃいました。


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