30.5:苦闘
4/1土曜日16時ごろ更新予定です。
よろしくお願いします。
疲れた。
体が無いので疲れるはずがないのに、疲労感がハンパない。
このままいつでも過労死できそうだ。
常に真っ暗な場所で時間の感覚があいまいだからか、何年もここにいる気さえする。
散々苦労に苦労を重ねて、ようやく怠惰な丸い悪魔との会話が成り立つようになってきた。
きたのか?
話しかけると、しばらくして返事をするようになった。
最初こそ、かろうじて会話があったものの、それ以降は基本無視、たまに「あ~」とか「う~」とか声を発するだけだった。
仕方ないので、延々と話しかけ続けた。つもりだ。声出せないからね。
とにかく手当たり次第に質問し続け、それらを最低でも100回は繰り返しただろうか。
とうとう根負けしたのか、悪魔の回答があ~う~から単語に変わった。
質問から回答まで延々と時間がかかったけど。
質問したことを忘れたころに返事が返ってくるような状態だったけど。
ようやくたどり着けた会話(?)を続け、やっとのことで交渉を取り付けた。
残っている1人分の命を悪魔に差し出す代わりに、こちらの質問には可能な限り迅速に、単語ではなく言葉で、嘘偽りなく回答すること。期間は自分がここにいる間有効。
すでにここまでで疲労困憊だけど。
気力を振り絞る。
「で、ここは復活前に命が固まる(?)までの待機所で、不要のトラブル対策にお前がいるってとこまではわかったけど、そもそもなんで復活なんかできるの?向こうから来たものを殺した場合だけの特典ってこと?」
質問をしたら回答が来るまでのんびり待つ。
これが大変。なんせ、いつ戻ってくるのか分からない。
可能な限り迅速に、つまり”即答”ではないのだ。
即答での交渉は断固拒否されて仕方なく妥協したけど、失敗だった。
「「お前たち・・・異物・・・。死んで・・・命散れば・・・世界に拡散・・・異物混じる・・・。そうしないため・・・隔離・・・。自死・・・か・・・ここの物に・・・殺されたなら・・・隔離できない。」」
散々待ってやっと帰ってきた回答。
色々自分で捕捉しなければならないのでめんどくさい。
とりあえず、先に次の質問をしてしまう。
「そもそも、なんで自分たちはこの世界に召喚されたんだ?」
この回答が出るのも当分先だろうから、その待ち時間に先の回答を自分なりに解釈してみる。
う~ん、自分たちの命、ってか、この場合魂って言った方がしっくりくる気もするな。
勝手に拉致っておいて異物だとか腹立たしいけど、通常は死ぬと魂は世界に散るようだ。輪廻転生とかそういった感じではないんだね。
だから、異物である自分たちの魂をこの世界に混ぜたくないから、殺害した相手の中に魂を隔離すると。
ただ、自殺やこの世界の生物に殺される、たぶん、事故死や病死でも同じだろうけど、その場合は隔離することができないってことか。
自分たちはクソ悪魔によってこの世界に拉致されたけど、その時色々されたらしい。
プレイヤーの魂を隔離している状態のプレイヤー、つまり今の状態の自分を復活させるのは、確保している魂を拡散させないため?ってことかな。
何か弱いな。
人数を減らさないためか?ならだれも死なないようにすればいいよね?
なんか、しっくりこない気もしないでもない・・・日本語がおかしくなってきたな。自分の脳みそではこの程度が限界か。脳みそ無いけど。
その後も延々と質問しては回答待ちの繰り返し。
とりあえず分かった限りをまとめる。
この世界にはもともと魔素は無かった。
かつてある国の王が、不老不死を求めて悪魔を呼び出した。
悪魔は1万人の魂と引き換えに異世界から魔素を呼び込み、その魔素によって王とその一族は不老となった。
しかし、魔素はこの世界中に拡散し、あらゆるものに浸透した。
その結果、あらゆる生物が魔物化してしまった。
再度悪魔召還。
さらに1万人の魂を代価に、人種は魔素に耐性を持つようになった。
数百年たった今、諸悪の根源が三度悪魔を召喚して魔素を無くせと言い出した。
理由は知らないそうだけど、対価が少なすぎて断られたらしい。
どこがどうなったかは分からないけれど、異世界から魂をたくさん召喚して世界中に放り込む。
肉体を魔素で作るから少しは消費できる。
さらに特別な力を与えて、その力を使うために魔素を消費、消費した魔素を回復するために周囲の魔素を吸収する、要するに生きた浄化装置ってことだ。
その上この世界の生物を殺すことで、生物に内在する魔素を吸収して取り込み強化されるようになっており、強化することで浄化能力や消費する魔素の量が増えるようになっていくと。
なるほどなるほど。
空気清浄機代わりに拉致られたわけか。
ユルスマジ。
「「おい」」
突然声をかけられて驚いた。
向こうから声をかけてくるなんて、いつぶりだろうか。あ、時間の感覚無いからわからん。
「「門開いた・・・とっとといけ」」
指さす方には、なんだか波紋のように歪んだ光が。
「「命のサービス・・・一つ選べ」」
自分の視界に文字の羅列が浮かんだ。
あ、これエイルヴァーンのスキルだ。
ひょっとして、レベル関係なく使えるようになるのかな。
悩むぞこれは。
「「閉まるぞ」」
な!
はやすぎだろうが!
ってか、サービスあるならもっと早く言ってくれよ!
一か八か、大博打になってしまうけど、どうしても気になるスキルを選ぶと、小さくなっていく光に飛び込んだ。
最後までストレス!




