25:集結
ヒエンの死体が山と積みあがる中、1匹のデモンエイプが何もない空中に拳を撃ち付けていた。
撃ち付けるたびに、こぶしの周囲が小さくゆがむ。
村の障壁を殴りつけているようだ。
「よかった。」
マナは呼吸を整えると、ゆっくりと移動を始めた。
エイプはまだこちらに気がついていない。
ビームで一撃、最悪でも機動性を奪わなければ。
エイプの斜め後方、万が一外れても、ハンター達に影響の出ないポジションを慎重に選ぶと、掌をエイプに向けて狙いを定める。
心臓を打ち抜ければ最高だが、この位置からでは、上半身を狙うと振り上げる腕や肩辺りに命中してしまう可能性がある。動きが大きすぎる。
一撃を諦めて、腰辺りを狙うことにした。動きが少なく、確実に機動性を奪うことができる。後は、相手が状況に対応する前に速攻で首を跳ねてしまえばいい。
ビームを放つと、結果も見ずにブレードを発現させて駆け出した。
ビームはエイプの腰側面に命中して、派手に血飛沫を上げた。腰骨は砕けても、貫通はできなかったようだ。
上半身を狙わなくてよかった。
当たったのが腕や肩なら、太い骨に邪魔されて体に届かなかっただろう。そうなれば、片腕のハンデはあっても、機動力はほぼそのまま、怒れるエイプと対峙しなければならなかった。正直、疲労の極みにある今、それだけは避けたかった。
地面へたり込んだエイプは、何が起こったのかまだ理解していない。
すぐに正面からではなく、横から強烈な攻撃を受けたと気づくが、その時すでに、マナのブレードはエイプの首を深々と切りつけていた。
(嘘だ。)
ここには現地の雑魚しかいないはずだ。
兄弟が、仲間が負けるはずがない。
自分はここで、中の連中の気を引いていればいいだけ、だったのに。
ぐるりと回る視界に、首のないデモンエイプの体が見えた。
首を切り落としたマナは、その場に膝をついてしまった。
さすがに疲れ果てた。
「ありがとう!さすが先生だ。」
駆け寄ってきた一人がマナに手を貸して立ち上がらせる。
しょっちゅう怪我をしてはマナに泣きついてくる少年で、村で活動中のハンターの弟子だ。
いつからか、マナを先生と呼んでなつかれてしまった。
(医師じゃなくて看護師なんだけどな)
医療の未発達なこの世界では、その差は無いようなものらしい。
「え!」
少年の声に、目線をたどる。
首を切り落とされたエイプの死体が、どんどん縮んでいく。
全身を覆う毛も無くなり、ボディービルダーのような筋肉で膨れ上がった人の姿になった。
「これって・・・。」
自分のレベルが上がってゆく感覚。プレイヤーだ。
(やっぱり、こっちに来てよかった。)
しかし、その思いは急速なレベルアップへの高揚感からでは無い。
こちらを選んで、その上即座に対処できたことへの安堵感によるものだ。
もし、人の姿ならだれでも素通りできることに気が付かれていたら。
大惨事になっていたに違いない。
あの時、こちらを選んだ自分を褒めたい心境だ。
ヒエン達はデモンエイプが死んだと見るや、一目散に逃げ去った。
もう安全だろうとは思う。
でも、もしまだ何かいたら。
そんな不安感がぬぐえない。
それでも、シンの元へ加勢に向かわなければ。
「すまない、面倒かけちまって。もう大丈夫だ。任せてくれ。」
マナの心境を察したマルクがそう声をかけてきた。
「こいつが一体何なのか、それは後だ。まだ他は戦ってるんだろう?俺たちじゃ、邪魔にしかなりそうにないからな。」
自嘲気味に言うマルクだが、表情は言葉ほど陰ってはいない。
「よーし、この筋肉だるまは念のため縛り上げろ!首は離しとけよ。どんな化け物かわからん。誰かひとり監視してくれ。ハンターと、解体の心得のあるやつは猿どもの解体だ!急いで片付けるぞ!」
「何かあったら、すぐに連絡して。」
そう言うと、マナはシンの元へと走り出した。
全身が重い。
それでも、まだ終わったわけじゃない。
短剣でも、レア装備をかなりの時間と労力をかけて強化した一品。
最大の長所でもある暗殺術を諦めたにもかかわらず、プレイヤーが変身したデモンエイプとかろうじてでも戦えているのはこの剣のおかげだ。
魔力はすでに尽き、回復手段ももう無い。
それでも、一瞬毎に、自分の選択は間違っていなかったと実感できる。
後はタイミングだけ。
自分はそのために、派手に暴れればいい。
「うぜぇえ!いい加減、諦めろや雑魚がぁ!」
何度殴ろうと、何度切り裂こうと倒れない相手に恐怖を感じたエイプが吠えた。
スロークの技術力のなせる業。ギリギリで致命傷を避け、攻撃と同じ方向に動くことで威力を削り、派手に飛ばされたように見せかけることで、頭に血を登らせ、冷静さを奪ってゆく。
警備会社で取り組んだ柔道や合気道が異世界で、最高に役立ってくれた。
楽しい。
職業や持ち越したスキルの偏りから暗殺を極めようと努めていたが、戦士もよかったかもしれないな。
そんな考えがよぎった。
ちょっとした心境の変化。それが、わずかな隙を作ってしまった。
デモンエイプに変身した男がそれを見逃すはずも無く。
鋭い爪が首元へと迫る。
が、スロークは少しも動揺しなかった。
「さすが自分だ。ナイスタイミング。」
軽いバックステップで躱すと、静かに告げた。
デモンエイプの首には、自分が使っているものと同じ短剣が深々と突き刺さっている。
振り切った腕の勢いそのままに力なく倒れるデモンエイプ。
その後ろから、すぅっとスロークが現れた。
「良い隙だった。」
ライアーたちの元から戻った分体が、隠密で潜みながら虎視眈々と狙っていたのだ。
分体を解いて一人に戻ると、わずかながら回復できた。分体もなかなか大変だったようだ。
「さて、もう一戦。」
鼓舞するように言葉にすると、隠密で姿を消した。
「シンさん!!」
鎧ごと体を引き裂き、その爪に大量の血をまとったまま、デモンエイプがこちらを睨みつけた。
もう一体は胸から大量に出血していて、両ひざをつき、ゆっくりと倒れていく。
シンを吹き飛ばした一撃が最後のあがきだったようだ。
瞬きする間もなく、両者は剣と爪を打ち合わせていた。
その横をすり抜けるようにアオイがシンの元へ。
「ポーション!なんで使わないの!」
シンの体を探すが、見つからない。
ユーシンから、ついてくるならしっかり回復しろと渡されたものは、ここまでの道中で使い切ってしまった。
せめて一本、何故残しておかなかったのか、自分を責める。
「なんで持ってないのよ!」
切り裂かれた胸からは血が溢れ、すでに顔からは生命を感じることができない。
「やだよ。」
なんとか出血を止めようと両手で傷口を押さえるが、効果があるはずもない。それほど広く、深い。
「もう、おじーちゃんなんて言わないから、、、。」
すでに事切れている。
理性がそう告げるが、認めたくなかった。
「嘘つき、、、。」
時間を稼ぐだけだから無理はしない。そう言っていたのに。
デモンエイプにとどめを刺したユーシンも、アオイの様子で間に合わなかったことを悟った。
急に目の前が暗くなり、手足から力が抜けてへたり込んでしまう。
(くそ!一匹減ったと思ったら2匹増えやがった。だいたい、俺がとどめ刺さないといけないのに殺しやがった!クソ猿が!)
イラ立ちをなんとか抑え、最新の注意を払って木の陰に潜む男。
視線はアオイに集中している。
(身長は160くらいか?顔は記憶した。胸はデカくねぇな。クソ、情報が足りなすぎるし好みじゃねぇが、そんなことも言ってらんねぇ。せめて名前を言えよ!発動できねぇ。)
男の額からおびただしい量の汗が滴る。
薄い頭髪を横になでつけ油で無理矢理固めて、さも有るように見せかけようとしている。が、努力は報われていない。
額と顎が飛び出た顔面は、どう無理をしても不細工以外の形容詞が見いだせない。
(あの男の、返り血か?奴の血か?どっちにしろ、あれだけハデに破れてるならダメージはあるはずだ。)
ユーシンの様子をちらりと確認した。
手負いとはいえデモンエイプを倒した相手だ。警戒しなければならないが、多くのプレイヤーを殺してきた経験が、発動さえすれば負けることはないと告げていた。
自分は魔物。しかも、無理やり引きちぎられたカスのような存在だと思い込んでいた。だから何人殺そうと、相手も所詮は魔物、欠片にすぎないと気にも止まらなかった。それは自分に対してもだ。
しかし、先程のやり取りで、ひょっとするとそうではないのかもしれない。そんな可能性が芽生えてしまった。それ以来、死にたくない、生き残らなければならない。という思いが頭から離れない。
向こうには妻も、小学生の子供もいる。死ぬわけにはいかない。
会社に勤めながら、退社後や休日は、自宅のローンと子供の学費を稼ぐために副業に明け暮れた。
二言目には稼ぎが少ないと文句を言う妻への愛情は枯れ、子供との接点もほとんどない。
ただ支払いのためだけに日々を過ごすような生活の中、自室で誰にも気づかれないように18禁のゲームをすることだけが生きがいだった。
妻も子供もどうでもいい。ただ、向こうの自分が死んで、コレクション(18禁ゲームの数々)を見られるわけにはいかない。
どんな手を使ってでも生き残らなければならない。
発動さえできればいい。
速攻で仕留めて逃げる。
そのためにも、観察しなければならない。
せめて名前、できれば、個人的な情報が欲しい。
エイプを仕留めた男がフラフラと女の元へ向かう。
「アオイ、もう、、、。」
かすかに聞こえた。
(名前か?!これで発動できる。いや、まだ、もう少し…。)
男の能力は、ターゲットとなる対象の情報が多いほど強力になり、発動時間も長くなる。外見、名前という最低限の条件を達成したが、これではまだ足りない。男を殺してこの場から立ち去ることはできても、この森の中から脱出するための合流地点まではもたない。
(男を仕留めて女をさらう。合流地点までもたせるには、せめて今日の行動がある程度わかれば…くそ!猿がいるからなんて余裕かまさずに魔物よけの魔導具を持ってくればよかった。)
魔物よけのさえあれば、今の状況でも十分始末して逃げられただろうに、仲間に虚勢を張って、合流地に置いてきてしまっていた。
男はアオイを戦力として見ていなかったし、男を始末すれば簡単に捕まると踏んでいた。死んだ男にオロオロとしているだけだと。
増援もこれ以上はないだろうと、エイプに化けた二人が負けるとは思いもしていなかった。それもあって、発動を躊躇した。万が一自分が苦戦したら、他の仲間に舐められる。
「アオイちゃぁん、やっぱりユーシン君と一緒だったんだねぇ。」
新たな声の主。
(な!猫だと?)
直立する猫がいた。
「え?シンさん!?」
愕然とする猫。
(くそ!余計なもんが増えやがった。元々は猫と一緒にいたが、男と合流してここに来たってことか。情報が弱ぇ・・・が、しかたねぇか。)
木の陰から、フラりと痩せた男が出てきた。
(こいつが黒幕か?)
ユーシンにとっては願っても無かった。
怒りをぶつける相手がまだいた。
(遠いな。臆病モンが!)
相手の実力が分からない以上、うかつに動くわけにはいかない。今日、いやというほど思い知らされたばかりだ。
刀を握りしめて、いつでも動けるように全身を緊張させる。
現れた男は、下品な笑みを浮かべると、アオイを指さした。
「お前に決めたぞ!」
そう叫んだ途端、男が変わった。
体が二回りも大きくなると、全身から黒い靄のようなものが立ち上がる。
その変化に警戒するユーシンに向けて、男が突進してくる。
「おせぇよ!」
胴体を真っ二つにする勢いで刀を撃ち付けた。
が、刀は男の体に触れる前に止まり、はじき返された。
「な!」
男の拳が迫る。
そこに、弾丸と化したユーコが飛び込んできて男の顔面にはじき返された。
「なんだこいつ!かてぇ!」
相手の攻撃や防御とぶつかってはじかれたことはあったが、無防備に近い胴体に全力で叩き込んだ攻撃がいともあっけなくはじき返されたことに少なからず衝撃を受け、距離を取るユーシン。
「カッチカチなのぉ~。」
スピードは大したことが無いが、とにかく硬く、破壊力も高い。
腕の一振りで木がなぎ倒される。
そして巧い。
ユーシンとユーコ二人を相手にして、倒せないまでも圧倒している。
その様子を見たアオイは、意を決したように立ち上がった。
「シンさん。ちょっとだけ待ってて。」
アオイは剣をつかむと、戦いへと駆け出す。
その肩を、息を切らせたライアーがつかんだ。
「だめだ。すぐに逃げて。」
「なんで!あいつだけは許せない!」
「あんたがいたら絶対勝てないんだよ。そういうゲームなんだ。奴に捕まっただけでも100%こっちの負けが確定するんだ。悔しいだろうけどとにかく逃げてくれ。」
初めて見るライアーの必死な様子に、ただ事でない何かを感じたアオイは、振り返りざま村へ駆け出した。
「てめぇ!ふざけてんじゃぁねぇぞ!」
逃げ出したアオイに気が付いた男がライアーを怒鳴りつけた。
(まずい。あのガキ、知ってやがるのか。)
今まで自分の能力に気が付かれたことがなかった。そもそも、知っているやつがいるなんて思いもしなかった。
「うるさいなぁ、ストーカーなら静かにしなきゃ。」
ライアーはストーカーを強調して、ワザと見下すような態度を取った。
「エロゲーの中でも格別にゲスいの選んでんじゃん。いや、マジソンケーしますよ。」
さらに侮蔑を込めた態度で挑発する。男の顔がみるみる赤く、怒りに歪む。
「え~、やっぱり変態なんだぁ。一目でわかったけどぉ。」
ライアーの意図に気が付いたユーコが乗ってきた。
「エッチなゲームでこの世界に来ちゃうってぇ、死んだ方がいいよねぇ。」
さらに言葉と態度で挑発するユーコ。
(さすが腹黒にゃんこ。いい挑発するね。)
男のプレイしていたゲームは、数あるエロゲ―の中でも特に奇抜さとゲスさで知られたものだ。
ターゲットに決めたキャラクターをストーキングして、情報を集め、弱みを見つけて追い込んでゆく。
ターゲットになるキャラクターはヤクザ親分の娘だったり、大物政治家の娘だったり、いわゆるVIP。
ターゲットを決めた後は、規定ターンの経過後に襲い掛かるわけだけど、護衛や警察などと選択式の戦闘モードに入るのだ。成功するには複数回の選択を正しく選ばなければならないが、集めた情報によってターゲットを捕まえるまでの猶予が決まる。というもの。
戦闘モードもめちゃくちゃで、興奮が最高潮に達した主人公は銃弾をはじき、コンクリートの壁を素手でぶち抜く。
そんなゲームが現実になったら、とてつもない脅威ともいえる。
ゲーム上では数日のストーカー行為で情報や弱みを見つけるわけなので、それほど多くの情報は掴まれていないのではないか、というのがライアーの見立てだった。
(発動させた以上、とにかく時間稼ぐしかない。)
アオイを追わせず、発動限界までこの場にくぎ止めすればいい。
それがかなり困難なことだと、ユーシン達を見て察していた。
(あ~、くそ、巧いな、あいつ。)
プレイヤースキルが必要なゲームじゃない。
元々格闘技か何かやっていたか、ここで上達したか。
どっちにしろ面倒だ。
挑発に乗ったかに思えたが、すでにユーシン達を殺すことよりも、アオイを追うための行動にスイッチしている。
侮れない。
倒すために大技を多用するユーシン、受けた腕で遠くへ弾き飛ばそうとする敵、それをけん制するように顔面や足めがけて突っ込んでは弾かれるユーコ。そうしながらも、敵はアオイを追う。
ライアーは二人が飛ばされた隙間を補うように、足止めに集中する。攻撃を途切れさせず、追わせない戦いに集中することにした。
それでも止まらない。
攻撃が通らない。
ユーシンはすでに肩で息をしている。
ダメージを与えられなくても、確実に敵の足を鈍らせている。ユーシンにはそのまま頑張ってもらうしかない。
ユーシンが射程外へ飛ばされないためにもユーコのサポートは必須。
ライアーは二人のスキをついて速度を上げようとする敵をけん制する。が、それも全力でかからなければ歯牙にもかけられない。
消耗が激しい。
(あぁ、ユーキさんもこっちに来てもらうんだった。)
着替えるために村へ戻った際、ユーキと落ち合って軽く話していた。アオンの進化で、多数を制圧するのに適したスキルを覚えていたからヒエンの制圧に行こうと思う、というユーキに賛成していたのだ。
まさかこんなデタラメな敵が残っていたとは。
(マナさんは・・・あ、魔石抜き押し付けたんだった。)
選択した行動がことごとく裏目に出ているような気がしてきた。
すでに村の中、3人が抜かれればすぐにでもアオイが捕まる。戦闘モード発動後、ターゲットの居場所が分かってしまうのもゲームの仕様だった。
その焦りが、ライアーの動きを鈍らせた。
(抜かれる!)
その時、狼の遠吠えが。
一瞬敵の動きが止まり、光線が顔面へ。
アオンにまたがったマナのビーム砲だった。
ダメージは与えられていない。それでも、強烈な光が目をくらませ、足が止まった。
マナがシンの元へ向かい走り出した時、ヒエンとの攻防へ向かっていたユーキがアオンに乗ってやって来た。
「あれ?なんでマナさんが?」
キョトンとするユーキに、いきさつを話す。
「じゃあ、アオンに乗っていってください。僕もすぐに追いかけます。」
明らかに疲労の見えるマナを、少しでも休ませられるだろうとのユーキの提案だったが、それが絶妙のタイミングでみんなを救うことになった。
アオンの速度でなければ到底間に合わないタイミングで、新しく覚えたスキル、広範囲威圧によって敵の動きを止め、マナのビームで視界を奪った。
一撃で仕留めるつもりだったマナにとって、ヘッドショットを決めたのに無傷というのは驚愕の結果だったが、無敵ぶりを見せつけられ、自分のミスで抜かれそうになったライアーにとっては、まさに天の助け、全身に炎をまとって体当たり、敵の衣服を燃え上がらせた。
「クソ!なんだ?何しやがった!」
突然燃え上がった衣服の感触と熱に、よく見えない目で状況を確認しようとする敵。その足は完全に止まり、炎を消そうとその場で転げまわる。
ユーシンの刀が転げまわる敵の体を何度も切りつける。
火が消えて敵が起き上がっても、刃は届かない。
裏拳でユーシンの顔面を殴りつけようとした時、その拳にナイフが突き刺さった。
そして、ユーシンの刀が、ついに敵の肩口を深々と切り裂いた。
「はっ?いてぇ・・・!?」
驚愕と激痛に歪む顔。
「やっとかよ。助かったっス。」
姿の見えないスロークに感謝すると、そのまま力を込めて刀を引き抜き、横なぎにフルスイング、胴体を真っ二つに切り裂いた。
「ぐげぁ・・・なんで・・・他の、やつら・・・ば・・・。」
その言葉を最後に、敵は二度と動くことはなかった。




