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109:謁見後の夜

ややこしくてすいません。

思いつくまま、忘れないように複数話を同時進行で書いていてこんがらがってわけわかんなくなりました。

前後しちゃいましたが、これが109話です。

 「本人たち次第じゃないのか?」

 窓際に置かれた豪華すぎる椅子に腰かけたスロークが返してきた言葉は、マナに期待するものとは違っていて、予測していた通りのものだった。

 「だから問題なのよ。どうもユーシンは、シンさんに遠慮している節があるもの。」

 話題の種は、アオイとユーシンのことだった。

 一度、女子会で飲みすぎたアオイがこぼしたことがあった。

 ユーシンがもどかしい。

 それ一言だけで以降もその話題には触れてこないのだが、やはり心配になってしまう。

 「一番付き合いが長いわけだしなぁ。ユーシンにとってシンさんは父親、とまではいかなくても兄貴くらいの気持ちでいるらしいよ。でもだからって、シンさんを差し置いて、とか考えてしまってアオイとの仲を進展させないでいるっていうのか?。」

 さすがに世代が違う。いくら義理堅い性格のユーシンでも、そんなことはないのではないだろうか。

 「でも、それ以外にためらう理由って何?」

 そう言われるとそんな気がしてきてしまう。

 「シンさんにも伝えてみるか?」

 そう言ってみたものの、シンに解決できる気がしない。

 「移動中にそれとなく伝えようと思っていたんだけど、派遣先の国名を知らないとか馬鹿なこと言い始めたから…。それで伝えたからってこの人に解決能力は無いってあきらめた。」

 そう言って、どこかさみしそうな表情でため息を吐いた。

 「それにたぶん、私は嫌われているから・・・。ユーコから話を振ってもらえないかしら。」

 酒の勢いもあってか、ポツリと漏らしたマナの心情に驚いた。

 お互いに苦手意識はありそうだと思っていたけれど、まさかそんな風に思っていたとは。

 「嫌われてはいないと思うよ。ただ、苦手だとは思っていそうだけどね。」

 「同じじゃない。」

 ちょっとすねたような、スローク意外の前では決して見せない表情で食って掛かるマナ。

 「同じじゃないさ。シンさんにとっては、マナは唯一叱ってくれる相手だしね。どうも自分たちは、シンさんに対して恩を感じすぎちゃってる分甘やかしちゃうんだよな。」

 (お互いにもっと交流があれば、あの人ももっと普通に・・・無理かな。)

 興味の無いことにはとことんいい加減なシンと、何事にも真摯に向き合うマナは水と油みたいなもの、今くらいの距離感がちょうどいいのかもしれない。

 特に、前職が看護師と言うだけあって自分の命を軽く扱いがちなシンを理解するのは難しいらしい。

 お互いに苦手意識があるから積極的に近づくことの無い二人だが、シンがやらかすたびに率先して苦言を呈し、叱責するのが彼女だ。

 シンを心配してのことだと、シン以外のみんなが分かっていることだ。

 多くはシンさんのことだからと諦めに似た感情で流してしまう。

 アオイやユーコはチクリと刺すが、やはり諦めに近い思いがあるようだ。

 問題は、何度叱責されても変わらないシンの方だろう。

 「酒の席で聞いたことがあるんだけどね。シンさんの家系は代々心臓に疾患があるらしくてね。親父さんもお爺さんも、親戚も60前に無くなっているそうなんだよ。シンさん自身にも疾患があって、俺も後10年の命だから、なんて言っていたよ。」

 あの時は珍しく酔っていた。

 まだ甘いミードしか無かったけれど、当時成人していた(実年齢で)自分とソンチョー、シンさんの3人で飲み明かしたのを覚えている。

 普段は、これ以上飲むと酒の味が分からなくなるから無駄だと、ほろ酔いまででやめてしまうので、酔っぱらったシンさんと言うのはかなり貴重だ。

 「バカみたい。もう関係ないのに。」

 そう、もう関係ない。

 それでも、シンの心の奥底には、そう言った心理が根強く残っているのかもしれない。

 「だから色恋沙汰にも興味を示さないのね。」

 60歳前までの寿命だと、本気でそう思っているなら。

 残された家族のことを思うと、むしろ結婚しない方が良い。ならば恋愛もしない方が良い。さらには、どうせ長生きできないなら趣味だけに生きてやろうと・・・そう思っていたってことか?

 「・・・ありえる。」

 興味の無いことにはまったく適当になることも、対人関係、特に女性に対して深く付き合おうとしない所も、ぴったり当てはまってしまう気がする。

 彼に対しては、遠慮せずにガンガン思ったことを言い、多少強引でもバカ騒ぎに引き込むべきだったのかもしれない。

 逆にこじらせてしまう可能性もあるか?

 そう思い悩んだ結果、

 「今回の措置は、シンさんにとっても良いきっかけになってくれるといいな。」

 シンの専売特許(?)丸投げすることにした。

 貴族の子息や役人が側近になるんだ、今までとは全く違った環境、シンさん(の実情)を知らない人たちが近くにいる環境が、彼にとって良い方向に影響してほしいと願うしかない。

 「シンさんは手遅れなんだから、まだ間に合う方を何とかしなきゃね。」

 ずいぶんと酷い言い草だが、新天地に期待するとしよう。

 「まぁ、ユーシンの背を押すならアオイが遠征している間が良いだろうな。」

 そう言って話題を切り替えた。

 出立の直前まで爵位を返上してでもついて行くなんて言っていたくらいだ、今なら案外すんなりと押せるかもしれない。

 「帰ったら、ユーコに相談してみるとしよう。一応シンさんにもね。」

 

 

 あぁ、やってられない。

 マジないわ~。

 ブラック企業ですか?この世界は。

 ナレハテなんて規格外相手にしながら開拓ですと?

 しかも、開拓地がモデルケースとして扱われるから自重せずに最高の街を作れと?

 いや、自重しなかったらとんでもないもの出来ちゃうんですけど。

 かつて「エイルヴァーン自慢の我が拠点」コンテストで100位以内に入った実績を舐めんでもらいたいですな。

 「お前の開拓地を見て俺には無理だと匙を投げる程度なら民も付いては来るまい。気概のあるものに任せねば発展は無いからな。

 それに任命する側の力量も問われる。能力の無い者を任命すれば、領主の見る目が無かったということになる。」

 ふるい替わりにしようってわけね。

 開拓地が発展して領の収入が増える、って実績が出来上がれば、領主も実力のあるものに実権を握らせたくなるだろう。

 しかも、その話をスロークも同席する謁見の場でしたってことは、領都が負けるわけにはいかんだろう、なんてプレッシャーをかけているわけですね。

 思惑は隠すつもりもないのでしょう。

 すっごく分かりやすかったです。

 でもまぁ、活性化には程よい刺激になりそうだね。

 まぁ、自分の好き勝手に町造れって言われたようなものだからそれだけやればいいさ。

 自重はキャストオフってことで。

 ・・・

 ・・

 ・

 最後に、俺と王族以外が退出した後で凄い重りを付けられました。

 居残り命じられたところで嫌な気はしたんだけどね。

 いや、そうだよね、そっちもケアしないとね。

 側近の一人として伯爵家四男の少年と平民の青年を押し付けられました。

 本の虫で知識量はとても優秀だけど、剣を振るうどころか振り上げることもできない貧弱少年。

 王家直轄領の一つで地道に、まじめに勤め上げてきた文官。

 うん、この思惑もわかりましたよ。

 彼らを使って、うまく功績を上げさせて出世させろと。

 文官系でも出世できる道を示せと。

 それも、貴族、平民関係なく。

 そういうの苦手~。

 あと、それとなく開拓地まで指定されてしまった。

 ノスランザ大森林東の果て。

 極一部だけど、他国と接している部分がある。

 一応隣国を警戒する拠点として。

 さらには武力、繁栄による富、両面で威圧する町になることを期待されているんだろうけど。

 厄介ごとの臭いしかしないんですけど。

 その国って、ロン毛が兵を集めるのに利用していた地域なんだよなぁ。

 てっきりファーレンの辺境地域からだと思っていたけど、後の調査で判明していたんだよ。

 実はこの国、ナレハテを自力で処理したってことで派遣依頼が無かったんだけど、どうやらロン毛が関わっていたらしい。

 だからこそ、平民と変わらない立場なのに徴兵が可能だったということか。

 大陸覇道3で徴兵コマンドが使えるのは、首長(この世界で言う領主)か団長(盗賊や傭兵をまとめる在野の武将)。

 ファーレンではもう首長にも団長にもなれない。

 国外で団長(傭兵団の団長って立場か?)として周囲から認められるためにナレハテ討伐に力を貸したとしても不思議ではない。

 なら、厄介な種をバラまかれているかもしれない。

 なんせ、あいつは俺との直接対決にこだわったためにミスっただけで、そのミスが無ければ俺はいいようにやられていたかもしれないんだから。

 あぁ、先が思いやられる。

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