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同じような人間しかいない組織は動脈硬化していく

作者: 作家をめざしている不動産屋

例えば朝飯に毎日ステーキが出てきたら、余程の物好きでもない限り御免こうむるだろう。少なくとも私はごめんだ。第一太る。それと同じで、時には絶世の美女とか可愛い感じのお姉ちゃんとお話するのも悪くないけれども、馴染みのボードゲーム屋でお話する相手はやはりおっさんに限る。これは私がおっさんだからだと思う。


しかし女性諸君や若者諸君だってそうだろう。例えば貴方が婚期を逃しつつある独身女性だとしよう。すると貴方が一緒にいて一番気が休まるのは、同じくらいの年頃の独身女性のハズである。


或いは君が十代の、まだまだ将来が有望な少年ないしは少女だとしよう。だとするとやはり君は自分と同じ年頃の少年少女と一緒にいたがる筈だ。間違っても36歳のオッサンの近くが気が休まるなどとは言わないだろう。(同年代の友達がいない場合は除く)君が少女にしても同じことだ。


そして私は当年とって36歳のオッサンである。未だにTwitter上で下らないこと言って喜んでいる独身男性である。そんな奴がボードゲーム喫茶で話すことなんてバカバカしいったらありゃあしないのだった。例えばこんな感じだ。


私「やっぱりねえ、一緒に遊ぶならオッサン同士が一番いいですねえ。いやあ綺麗なお姉ちゃんと一緒というのも捨てがたいけど、一番いいのはオッサンですよ。オッサン。」


するとカウンター越しのオーナーさんも調子を合わせてくれる。

オーナー「そうですねえ。私もこないだ一人でお姉さんばっかいる店にいきましたけどね。やっぱ、私なんかがお姉さんの相手して申し訳ない気分になってくる・・」

私「そのうち自分が女になりたくなってくる」

オーナー「そうですねえ」

※最後の方には突っ込むのも面倒になってきたらしい。このひとは私の扱い方を心得ている。


大体ボードゲーム喫茶には独身男性が多い。仕事帰りで一人っきりで家の中にいるというのに耐えられなく、それでいて女性みたいに社交的ではないから仕事を離れた繋がりがない、という所ではなかろうか。すると寂しいからボードゲーム屋に来る。(多分彼女とか出来るんじゃないかなぁなんて甘い期待を持ちながら)


けれどもそんなボードゲーム屋に屯しているのは、自分と同じオッサンばかり。皆そろそろ頭が禿げ初めてきて、それでいてお腹は自己主張が激しくなってきた体型の連中ばかり。話す話題も20年くらい前のアニメとか、早くても精々10年以上前のドラマとか話題ばかりが飛び交う。そんな不思議な空間である。(間違っても大学生とか高校生は寄り付かないだろう・・)


実はカタンの新宿定例会とか川崎定例会とかもこんな感じである。時折高校生か学生がやってくるかな、といったくらいで大体は30〜40代の男性。時折チラホラ女性もいる。さてはてこうなると少し厄介でもある。集団を構成する似たもの同士で、徐々に組織全体が動脈硬化を起こしていく。

以前SF大会に行ったとき、参加者はお互い顔見知りのようで、何も知らない人間が入り込む余地が結構少なそうではあった。実際、呑み会の席では誰も話す相手がいなくて寂しい思いをしたものだ。

私はSF大会に常連で参加していると思しき人間から堂々とこう言われたことがある。

「SF大会はね!毎年毎年参加者の平均年齢が1歳ずつ上がってくんだよ」

それくらい、人間の出入りが少ない世界だという事だろう。けれどもボードゲーム喫茶がそういう感じになると結構マズイのではないかと、半ば真剣に考えている。

事実、SFなんて普通の人が読まないマニアックな分類になって久しい。少数のマニアだけだけが盛り上がる業界なんて行く末が見えているものだ。


或いはこういう事もあった。都内のボードゲーム喫茶で、子持ちの若夫婦が赤ちゃん連れでやってきたときの話。奥さんの方がカタン愛好家であり、実際に結構強い。だがカタンに熱中しだすと赤ん坊が泣き始める。そして旦那は本当に赤ん坊の扱い方が下手くそで、結局奥さんが抱きかかえることになる。するとカタンどころではなくなる。奥さんの顔が徐々に険しくなっていき、結局彼ら若夫婦はそのボードゲーム喫茶を退出してしまうことになった。


この一幕を見て、託児所の近くでゲーム会を開けないものかな、などと考えてしまったのである。


若奥様たちが託児所の近くの喫茶店か公民館に集まり、そこでボードゲーム会を開くのである。別にボードゲーム会とは名ばかりの駄べり会でも構わない。大都会の中で、会社から離れて育児するというのは孤独な作業である。そうするとどうしても鬱になってくる。だからそうした需要はあるのではないか?

そうやってボードゲームに興味を抱いてくれれば、やがて子供が学校に行き始めたあたりで、奥様方がボードゲーム喫茶にやってくるようになる。


子持ちの既婚女性というのがポイントだ。


奥さんがボードゲームに興味を持てば、旦那さんや子供さんも興味を持ってくれるかも知れない。或いは親世代もボードゲーム屋に来てくれるかも知れない。(定年退職したあと、公園や図書館で燻っている高齢者は意外といるものだ)


独身男性だけがワイワイする社交場よりも、本当の意味で老若男女で賑わう社交場の方がこの先の発展性が見えて愉しいじゃないか。


その手始めとして、

・託児所近くでのボードゲーム会開催

・幼稚園や保育園へのボードゲーム説明会(クラブ活動としてのゲーム会もあり)

・小中学校でのボードゲーム普及(将棋やチェス、囲碁の延長として、知育としてのボードゲーム)

・老人ホームでのボードゲーム会開催

・外国人への日本語教育も兼ねたボードゲーム会開催

・身体障害者のレクリエーションを兼ねたボードゲーム会開催

をやれないものだろうか。


少数のマニア同士で盛り上がっている状態から早く離脱して、色んな人間がワイワイと楽しんでいる状態にしたいもんだ。

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