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淑女の嗜み?

4月すっ飛ばして5月になりましたね!!!!!時間の流れって早いなぁ!!!!!

 女の身支度には時間がかかると言うが、金もかかる。


「しかも相手は公爵家出身。あまりケチると彼女の評判に傷が付くし、実家の公爵家から睨まれるやも知れん…」


 俺は顔から血の気が引いていくのを感じながら、恐る恐るノエルに尋ねた。


「幾ら…かかると思う…?」

「女性のお洒落に関する熱意は相当なものがありますからなぁ。キース様の倍以上の値段はかかるかと」

「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ー予算があああああ…」


 頭を抱えてデスクに倒れこむ。頭が痛い問題だ。特産品も観光地もないこの領地で、出来る金策などたかが知れていると言うのに。


「旦那様!大変です!」

「ヴィルマ?」


 突如ノックもせず勢い良く扉を開けて転がるように入ってきたのは、先日アガサ付きにしたメイドのヴィルマ。珍しく血相を変えてやって来たな。


「どうした?」

「どうしたもこうしたもありません!お、奥様が…奥様が!ととと、とにかく来てください!」


 よほど急いでいたのか、普段きっちり纏められている銀髪が乱れているのも気にせずに俺を急かすヴィルマ。…奥様って…アガサに何かあったのか?


「案内してくれ、ヴィルマ」


 金銭問題はひとまず置いておいて、まずは目先の問題を片付けるため俺は椅子から立ち上がった。




 専属庭師(という名目の時折土いじりに来る領民の爺さん)がおろおろと所在なさげに佇んでいるのを尻目に、せっせと庭の一角を耕す人影が一つ。青みがかった真っ直ぐな黒髪を頭の天辺で一つに束ねて頭巾を被り、安そうなウールで出来た衣服を腰のベルトで止めて更に大きなエプロンをした美少女だ。


 そう、農民の格好をしたアガサ・レッドフィールドである。


 『何度お止めしても聞く耳を持ってくださらないのです!』と嘆くヴィルマの声を聞きながら、俺は呆然としながら彼女に声をかけた。


「あの…一体、此処で何を……?」

「まぁ、キース様。ご機嫌よう」

「いや、ご機嫌よう、ではなく…」


 呑気に笑っているアガサにますます困惑する。農作業をする令嬢など聞いた事が無いぞ、如何したんだ。


「ああ、これですか?折角実家を出たのですし、ずっとやってみたかった家庭菜園を作ろうと思いまして。ふふふ。淑女たる者、野菜くらい作れなくては」

「えぇ……?」


 嗜み?嗜みなの?そんな淑女聞いた事無いんだけど。と言うか、その服は何処から手に入れたんだ?そして何故家庭菜園?そんな事を考えながらじっと見下ろしている俺に不安を抱いたのか、気まずそうにアガサが尋ねてきた。


「以前、お庭の一角を使用して良いと仰られたので…あの、駄目、でしたか…?」

「あー、いえ…認識に差があった様で、少々驚いただけです」


 言ったよ、確かに言ったけど!『植物が好き』って、自ら育てるレベルでかい!俺はてっきり庭師に世話させた花を眺めるのかとばかり…。この数日接してきた所感だが、アガサは元来自由な性分なんだろう。王都の貴族はマナーやら家格による身分差などが凄まじい。そんな中、公爵令嬢として過ごしたアガサは、きっと息苦しい思いもしたのだろう。此処に居る間くらい自由に過ごさせても良いんじゃ無いだろうか。取りあえず言えることは…。


「構わないですよ。収穫できたら料理人に渡してください。遠慮せず使うよう、言っておきます」

「本当ですか!私、美味しい野菜を作れる淑女になりますね!」


 淑女って、よく分かんない…。

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