青春との出会い
よろしくおねがいします。
「ようこそ、吹奏楽部へ!歓迎するよ!」
その時俺の目の前に広がっていた光景は、とてもキラキラしていた。
音楽室に広がる、様々な音色。
音楽から繋がる生徒の笑顔。
そのどれもが、俺にとって新鮮で、峻烈な瞬間であった。
「えっと、俺は何をすれば」
「あっ、いきなり引っ張ってきちゃったもんね!じゃあ説明するよ?」
シュンヤ先輩は、少し早口で俺に指示をしてくれた。
「君にはこれから楽器の体験をしてもらう。だからまずはやりたい楽器を見つけて、見つけたらそこにいる吹奏楽部員に話しかけてみなよ!そうすれば体験できるはずだからさ!」
「は、はぁ」
その雰囲気に圧倒はされたものの、俺自身あまり吹奏楽の曲は聞かないのでさてどうしたものやらと思いを巡らせながら、音楽室を徘徊していた。
その時だった。
耳に響く乾いたスネアドラムの音。それをアクセントに始まる”それ”は、周囲のタムと溶け合うように音を重ねて、そのスピードは天井を知らないかの如く上昇してゆく。スティックの照準がシンバルへと向く。派手で豪快なサウンドを響かせたそれは、どんどん豪快さ加減を増してゆく。それがとうとう最高潮に達した頃には、演奏者の周りにとてつもないオーラを感じ取れた。
それほどに、飲まれたのだ。演奏者に。
「俺、この楽器やってみたいです、いや、」
最後に派手なシンバル音が音楽室を包む。周りからは拍手が割れんばかりに響いていた。
その日、俺は「人生の先輩」に出会った。一瞬でそう呼べるほど、衝撃的な出会いだった。
それは俺の今までの概念をぶち壊すような、そんな出会いだった。
「この楽器、やります、吹奏楽部、入ります」
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