把握Ⅱ
あれ?なんか勝手に…
「数だけ多くても、こんなに弱かったら意味ないだろう。」
…狼にしては多少強い程度だったか。
あの群れの狼の中に一回り大きなのがいたが、群れのリーダーのような物だったのか?
他の狼に命令も出していたようだが、まあ殺したが。
俺の周りは死屍累々といったところだ。
まあ、相手が悪かったな。
さて、そんなことよりこの雑木林から出ようか。
まずは道路に行ってから考えよう、なにか見えるかもしれない。
…なにもない、訳じゃないな。少しばかり遠くに村が見えるな。
ふむ、そこなら情報も得られるか。
「おい」
服に血がべっとりついているが、軽く落としていけばいいか。
「おい!」
…なんだ?
「今気づいたみたいな顔してんじゃねえ!さっきから呼んでるだろうが!」
…男が喚き上げているが、何者だ?
「てめえがさっき倒した黒狼の群れにいる黒狼長を討伐するよう依頼されたんだよ!」
「黒狼?」
「ああ、ってあんたしらねえで倒してたのかよ。ともかく俺と一緒にギルドまで来てもらうぜ。なんせ狼種とはいえあの数の黒狼を一人で倒しちまったたんだからな。ギルドに報告しなきゃいけねえ。」
「ギルド?」
「おいおい知らないかよ?あんたどこの人だ?」
「さあな。」
「いや、さあなってなんだよ?はあ、とりあえず話しも聞きたいしギルドに行こうぜ。」
「近いのか?」
「いや遠いな、心配すんな。俺がいればすぐに着く。肩を持っててくれ、行くぜ!【テレポート】」
「なに?」
へんな男に捕まり急にテレポートと言いやがったらなんだこれは?
…部屋のようだが、ギルドか?
「うし、着いた。さてここなら安心して話が聞けるぜ。あんたに聞きたいことがあるんだが質問いいかい?急に連れてきて悪いとは思うが。」
「…別にかまわない。」
…なかば誘拐みたいな物だがまあ好都合だ。
こちらも聞きたいことは山ほどある。
…そして、まあ数十分くらい質問し合っていたんだが、まさかね。
異世界に来てるとはな。たしかに剣と盾持ってるっておかしいよな。
なんかテレポートとか使ってたし。しかも魔法も存在するらしい。
さらに聞けば銃もあるとか。…は?なにこれ?
は?魔物?ああ黒狼とか言ってましたね。俺殺したけど。
国?はあ?アメリカ?日本?イギリス?ここ異世界じゃないのか?
「あんたホントに何も知らないんだな。まあこれくらいだぜ。俺の知ってることは。ってあんたのこと聞かせてもらってねえぞ!今度はこっちが質問するからな。」
…俺は震えた、心底震えた。
「…ここはどこだった?」
「だからこっちが質問するって…はあ、ベルリンだ。」
「ベルリン…国か?」
「いや都市国家ってやつだ。都市だけだが結構な規模だぜ。ここのギルドもかなり大きいしな。」
「ほう、お前以外に超能力使いや魔法使いとかベルリンにいないのか?」
「いんや、俺の知る限りではいないはずだぜ?逆に俺みたいに剣や盾を持ってる奴が珍しいくらいだ。」
「そうか、ありがとう。本当にありがたい。おかげでスッキリした。」
俺はゆっくり立ち上がる。体はまだ震えている。
「いや別にいいんだが。ってこっちの質問はまだ終わっちゃいねえぞ!」
「いや終わりさ。」
「は?何を…」
「さようなら」
俺は黒いナイフで綺麗に男の胴体と首を離れ離れにした、首が落ちた、血が舞った。
俺は笑っていた。
毎度のことながら難しいです。ちなみにギルドは依頼斡旋所のような物です。