大会開幕
俺は、現状況からの脱出をこころみていた。自陣には前にしか進むことを考えてない雑魚が2匹、斜めにしかうごけないやつが一匹そして、我が主さまが一人である。なぜここまで追い込まれてしまったか?それがわかれば苦労するわけがないだろう。対して敵陣には以下略。自陣の王が敵陣の王に追いかけられていた。
「よくもここまで追い詰められますね。尊敬に値します。」
「好きでこうなったわけじゃねえよ?ただ、ねえ・・・」
「手加減はせえへんしゅぎでなぁ~。」
先輩は悪くない。うん。わるくない。だって俺が弱いだけ。
「もういっそのこと早くとどめをさしてくれぇ!」
言った瞬間先輩は勝利の方程式を完成させていた。一応手加減はしていたみたいだ。
「やっと、終わったわね。長かったわ。無駄に。じゃあ、次はわたし対可憐ね。」
楓はおもむろに駒をならべ始めた。そこで俺は気づいた。ミステリーサークル並みの新事実を。
「なんで楓のところには飛車しかいないんじゃー!」
飛車がとてつもない行列を作っていた。あれ、マジだったんだ。
「勝つためにはどんな手段でも行使するわ。」
「だからといって、せこすぎるのでは?」
それでも、楓は無理やり将棋をスタートしていた。
待つこと10分
「いったいぜんたいどうなったらこうなるというんだー!」
そこには歩に囲まれた王の姿が映し出されていた。
「意味がわからない!どうしてこうなる!」
「実は私ルール知らないのよ。」
「じゃあ、カリスマ司会者もやめちまえ!」
「司会者と将棋はべつものだわ。」
「それにしても、可憐ちゃんは強いなー。将棋部にスカウトしたいわ~。」
「もうそんな部は存在しないわ。」
「何くさくさしとるんじゃ、てめぇー!」
なにはともあれ、決勝進出は決まった。とても見ごたえある勝負である。
「一本勝負。ガチでいくでー!」
先輩の目がめずらしく耀いていた。
俺達はそろって部室をでた。今日はものすごく疲れた一日だった。将棋って体力使うんだな。と再認識させられる。
「それにしても、可憐ちゃんは強いなー。負けるかとおもたわ。」
「やっぱり先輩はつよいですよ。」
「じゃあ、私と可憐ちゃんこっちやからまたなー」
「はい、また、月曜日にあいましょう。」
俺は和やかに先輩と可憐を見送っていた。
「ねえ、幸助」
今は俺と楓だけである。俺と楓はすこしばしょが違うが、同じ方面であることが発覚していた。おれは男らしく女の子を送るべく、迂回ルートで帰っている。というか、命令された。暴君に。
「わたしから、ひとつお願いがあるの。聞いてもらえないかしら。」
「ん?なんだ?悪い予感しかしねえんだけど。」
そこから出た言葉は目から鱗だった。
「明日わたしとデートしましょう。」
それはあまりに突然で、予感的中だった。