入部
読んでもらえるとうれしいです。
感想待っております。
入学式。俺は軍隊よろしく律義に隊列を組んでいた。これから、俺が最も嫌いな時間がやってくる。
それは、なにをかくそう。校長先生のお話だ。なにを好きで、もう老い先短い人のいつ役立つのか全くわからない話を聞かねばならん。まったくもって理解不能だね。
そんな、正直どうでもいい話を聞き流し、入学式は進んでいった。
教室に戻ると、見慣れない顔ぶればかりである。担任の話をこれまた聞き流し、一日は進んでいった。
事件が起きたのは放課後である。俺は、荷物をまとめそそくさと学校を出るべく歩きだした。しかし、急に筆箱を忘れたのを思い出した。なんでこの歳にもなって筆箱なんてわすれるのかね。恥ずかしいったらありゃしない。しかし、忘れたのは本当だ。その事実は揺らぐわけがない。俺は、恥ずかしさに胸をおさえながら教室に戻った。
教室は閑散としていた。俺は、物をとりさっさと帰ろうとしていた。その時だった。
「ねえ、そこの一日中退屈そうにしていたの。」
後ろからこえをかけられた。というか罵倒だった。振り返ると同じクラスの女の子だった。
「なんでしょうか?退屈そうに見えて退屈ではないのですが。」
退屈である。
「そうだったの?わるかったわね。いかにも、退屈そうにしていて、仮面ライダーが空から降ってきてほしいな~。という顔をしていたわよ。」
「ものすごいな。空から改造バッタが降ってくる妄想を繰り広げているやつがいたとは。ちなみにそんなことは1ミリたりともかんがえてはいない」
「あら、そうなの?」
「そうだ。」
「アンパンマンだったかしら。」
「間違いはそんな些細なことではない!」
「それはそうと・・・」
なにがそれはそうとだ。俺にとっちゃ大問題だ。登校初日にそんな妄想を抱いているとは死んでも思われたくわない。だがそんなことは口にはださない。相手が何か話そうとしているのを邪魔するほど暇ではない。
「退屈そうにしていたのは本当でしょ?」
「そうだな。」
「じゃあ、これから一緒に部活やらない?私は楓。涼華楓よ。」
これが、俺と楓の出会いだった。