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碧落に君は消えゆく  作者: 藤橋峰妙
序章 凍雲の日のひとり
3/18

00*3 名無しの手紙




 ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼




 親愛なるあなたへ



 霧の国の窓の外にも、銀雪の景色が広がっています。こちらは冬篭りの季節です。



 どうしてもあなたに手紙を書きたくて、筆を取りました。



 まず初めに、この手紙に名を記さない無礼をお許しください。誰にも読まれることのない手紙だとしても、あなたの名前も、僕の名前も、書いてはならないということは承知しています。



 一つ前の手紙で、学を修め、評議会の一次採用試験に合格したことをお伝えしましたね。



 今日は二次試験の結果が発表され、これも無事通りました。



 晴れて僕も今日からあの評議会の一員です。



 望みどおりに運ぶかは分かりません。けれど、そうなると――そうなるべきだと、思っています。


 


 僕はいまだに、あの日のことを忘れられません。赤と金に染まった空が、眠るたび、夢に現れます。



 なぜ、あのような出来事が起きたのか。評議会に属した今も、その核心に触れることは容易ではありません。



 情報は高度な魔法で秘匿され、すべてに第一級の封鎖法式が施されています。さらに上へ進まなければ、閲覧すら叶わない――そういう仕組みです。



 聞いたかぎりでは、あなたの耳飾りの片方は評議会の最深部で保管されています(これはいつか必ず取り戻してみせます)。



 もう片方はまだ見つけることができていません。あなたの手の中にあるのなら、それで良いのですけれど。



 あの時、第一の守人(もりびと)様が指揮権を持っていたとだけ、耳にしました。



 あのお方の真意は、僕には全く汲み取れません。



 友人であったあなたなら、あの方の考えに納得されたのでしょうか。



 あのような仕打ちは、正しかったのだと言うのでしょうか。



 あなたを貶めて、何の後悔も抱いていないのでしょうか。



 考えれば考えるほど、のうのうと生きているあいつらを見ていると、堪らないのです。



 なぜあいつらは生きていて、あなたは生きていないんだろうって。



 まだ約束を覚えていますか。



 あの時の約束を、僕は違えてしまった。



 許して欲しいなんて言いません。だけどもう一度、もう一度だけ、機会をください。



 あなたが死んでから、十二年の月日が経った。



 この年月は、僕にとって、長く、そして短いものでした。



 今はただ、あなたの無念を晴らしたい。



 カラディの戦いも、夜明けの乱でも、あなたの行いは正しかったはずだ。何も間違えたことなんてしていなかった。



 だから僕は、あなたの身に起きた出来事の真実を、必ず明らかするつもりです。



 短いものとなってしまいましたが、今回はこのくらいにします。


 

 ――いえ。


 

 本当は、あなたへの手紙はこれで最後にするつもりです。どうかこれは、僕の決意だと思ってください。



 それでは、また、いつか全てが終わった時に。



Runue(ルエネ) - theruna(チェルナ) -| ieruramorutaイエルラモルタ



 いつまでも、あなたの傍に。




✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼




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