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6、私は今を知っている





私は今、現在の自分を知っている。


自覚している…はず。



だけどね、みんな気づいてないこともある。




失敗はできない。


私の実験で、しかも見えるところで2人死んだ。


別にいいんだけど、そんなことしたら社会が許してくれないのも知ってる。



まぁ、私は知らないし、関係ないんだけどね。




私は早めにゆめぐすりを飲み込んだ。


頭痛なんか大っ嫌いだ。



幸せ、見つけないと。


幸せにならないと。



しょうがないから次はあなたで。





薬の材料が足りなかった。


だからメルちゃんに連絡をしたけれど、今材料も、薬も不足しているという連絡に私は落胆した。



だからとりあえず少量のそれを別のものと掛け合わせてみる。


出来た。


できたそれは副作用は多分少ない。


だけどその分、痛みとかは完璧に治らない。


それだけはよく分かる。



とりあえず保管だけしとこう。




廊下を歩いていれば、うっすら声が聞こえた。



それは、傘下さんの声だった。



あ、…そうだった、私は何も知らない、知らない。


関係ない。最初から騙されてた可哀想な子。







そういえば今日は珍しく外を歩いた。


そしたら、財布が落ちていた。



白いうさぎさんのついた、多分子供の財布。



3万円くらい入ってたけど、とりあえず私は警察に届けに行こうと思うわけで。


それがいいって聞いたから、初めてだけどやってみた。




うさぎさんの財布、可愛かったな。


私も今度買い換える時にちょっと考えよう。




私は自分の財布を眺める。


義兄に買ってもらったばかりの新品だ。



すごく可愛いから気に入っている。



とりあえず交番かな。





なるほど、なるほど…。




私は少し、実験をしていた。


薬の1部の材料を濃縮してみたりだとか、色々なものに混ぜてみたりだとか。


そうしたらその人、倒れちゃった。



まぁ、しょうがないか、なんて思って起こそうとすればその人は血を吐いた。



いきなり、私に話しかけて薬作ってるんですよね?って聞いてきたもんね。



手伝いたいとかいいながら薬作れるような資格も何も持ってないなら…



こうやって手伝うしかないんだよ。



もう、使えなくなったみたいだからしょうがない。



ばいばい。







白衣って嫌だね。


綺麗だから好きだけど、汚れたら目立つ。


私の手は見えない血で染ってるから、こんな白いと私が汚れに見えそうだね。



ま、冗談だけどさ。






私は頬に着いた赤い絵の具を白衣で拭った。


この白衣、もう使えないな。


ぜんぶ、捨てなきゃ。




多分、この後茶色くなっちゃうもんね。






わたし、しーらない。






私は部屋でいつも通り作業していたのだが、先程外から鍵を締められたようだ。



あ、閉じ込められた、と気づいた時にはもう終わり。



とりあえず興味の欠けらも無いので仕事が終わるまではここにいようかな。



誰だろ、まぁ傘下さんだよね。


でも、教えられた、こういう時こそ決めつけは良くないって。



んー、…でも、傘下さんだと思う。



とりあえず私は悪くない、悪くない。


そこに倒れてる死体も私のせいじゃないからね。



私の薬を勝手に飲んで勝手に自分で自分を刺しちゃった可哀想な人。



だから、私は何も知らない。



後で捨てないと。






メルちゃんとして生きる俺には今問題がある。


薬が足りないこと。


材料も足りないこと。


「…どーしようかなぁ。さすがに妹ちゃんに作ってもらえるほど送ることも出来ないしなー。薬ももうちょいで切れる。」




正直困るね、今回は。


外国から毎回送って貰ってんのが今回、色々あって遅れるらしい。


予想外だ。



「…んー、とりあえずまだまだあるから溜め込んだヤツ売りに行くかぁ。」



またいつもと同じようにして俺は薬を売りに行った。


新しい子たちに薬を無料で渡して次回から有料。



これが俺の普通。


罪悪感?



若い時にそんな感情は捨てたね。




だって売れるし。






今日のことについて言うなら私の目の前に変な女の子が来た。



名前は覚えられなかったので割愛。



「未意思、ルエさん…ですよね?私、ーーーー…と申します。お薬作ってらっしゃるってお聞きしましてお手伝いしたいなと。」


こんな感じで話しかけられて正直怖かった。



ここで思いつくのが、じゃあ実験体になってもらおうということ。



「手伝ってくれるんだよね?」


彼女はにこりと不気味に笑って頷いた。



「はい、勿論です。」


私も笑顔で彼女の口に無理やり薬をねじ込んだ。



すごい叫んでて、うるさいから1発殴りたかったけど、そんな力は私には無い。



それに今回は新薬だ。


効くかは知らないし、テキトーだから正直効果は見込めない。


一応、この薬を飲むと罪悪感を覚えるということをさっき知った。



「で、えっと、…これ…。」



私は彼女が苦しむくらい実験に使った。


そしたら彼女、吐血して死んじゃった。



後半頭おかしくなっちゃったから、しあわせぐすりってすごいなって思った。



それが今日の記憶、白衣は汚れちゃったし、床も汚れた。


今は閉じ込められてるからいいけどこれは早く燃やさないと。



私はそれの髪の毛を掴んで引きずり袋に入れる。


私は体力が無いんだから、やめて欲しいね。



入れ終わって数分してドアを開けてきたのは義兄だった。



「ぁ…」


…ばれる、怒られる。どうしよう。



私悪くない、勝手に薬飲んだこいつが悪い、それでいい。


義兄にいつも軽くは伝えてるからこんなことしてる事は今回知らないわけで、…



どうしよう。



「ねぇ、どうしてこの部屋は外から鍵かかってるのかな?」



いつもよりギラギラと殺意を込めた瞳で私に近づいてきた。


殺される訳じゃないのに、怖い。


これは多分一生なれないんだろうな。




「…分かんない、です。勝手に閉められた、から…。」



義兄は最初から分かっていたようで私の部屋の奥の方を指さした。



「で、その袋は?」



その場が凍った。




私は悪くないという一心で、最初で最後の嘘をついた。






私の記憶上、いじめは大人になっても子供になってもあるものはあるし、そこまで変わらない、と思う。


子供の方が無知だから『やりすぎる』『加減が分からない』、それに対して大人は『ちょうど良い』『やりすぎじゃない』を好むんだ。


だから、大人になってからの方が楽。



子供の頃は、良く浮いていた子は、ゲームでハブられたり、遊んで貰えなかったりしたわけで。


私ももちろん、大抵の人には好かれていて、一部の人には嫌われていた感じ。


そこまで困ってなかった。



もちろん、いじめにはあった。



小学生の時と同じように、前回も水をかけられて、小学生に戻ったのかなと錯覚しそうだ。


ある日、興味深い人が現れてその人に釘付けになってたら女の子たちに恨み言を吐かれた。



私知らないのに。


遠くから見てるだけなのにな。面白いから。



その人は女の子を一定期間使うと別れて、次の子と付き合う。


それは所謂クズ男というもの。



何故か知らないが、周りの子達より大人びている私(先生談)の所にも、その男の子は来た。



で、教室内で突然告白してきた。


「やめな、やめな!」って、善意で止めてくれる子と、嫉妬心の塊と色々居てそんな中で告白された。



どうやら、私が恋愛したことないのを知ってるみたいだ。



実際、義兄に頼りたかった、分からなかったから。


小学四年生の私と、小学六年生の義兄。



兄や姉がいるだけで、学年の中で権力は強くなる?みたいな風潮もあったので私は強かったのだ。


で、お父さんとお母さんはもうおかしくて私を殴っている時期なので私の服は大抵長袖長ズボンの時期。




嫌な事ばかり思い出す。


もうあんなの家族じゃないけどさ。


あれは、ニセモノだったからね。




で、その告白に関しては確か、義兄が来て笑顔で「相手のこと責任持って愛せない恋人は最悪だよ?」って言って幕は閉じた。


その後から兄の株が上がった気がする。




あと、その人はその後も何故か告白をしてきたが、普通に興味ないので一刀両断してきた。


小学生で恋愛なんて早いと思うけど、これはおばさん思考とやらなのだろうか。




私の思い出はロクなのがない。


それとも、これの中にも幸せなことがあって私の主観が歪んでるから気づかないだけ?




不幸ぶってるように見える?


別になんとも思ってないってのが正しい。


大事なのは今だし、将来。



でも、ごめんね。


主観が歪んでたとしても、おかしかったとしても、社会で生きて行ければいいんだと私は思ってるよ。







まぁ、私知らない、知らない…知らない。



そんなことやって、義兄に嘘まで着いたわけで。


笑顔の義兄の前に私は立っている。



で、ゴミは捨ててくれた。


燃やしてくれたよ、即刻。



だけど、「あ、怒られるんだろうな。」って。


とりあえず理解した。





私は息を吸う。


死にそうなくらいの圧に負けそうで不安だ。


でも、嘘がバレるのも事実がバレるのもどちらも怖い。



どっちが正解なんだろう。


私は今を知っている。





読んでいただきありがとうございます。

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