表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/15

第三話:★1の主、レビュー討滅戦! ~風呂の恨みは魔界より深し~

温泉改革から三日後──魔王城には行列ができていた。

風呂目当ての観光客、温泉旅館として生まれ変わった「地獄沼湯処」、そして……レビュー欄に★1を連投する謎のアカウント「灼熱至上主義」。


「また★1レビュー入ってるぞ。しかも“地獄のぬる湯”返せって……」


俺はレビューボードを睨みながら、ぽりぽりと頭を掻く。

あのままぬる湯で放置してたら、利用者ゼロで廃業コースだったろ?

それなのに、なぜこんなにも反発が強いのか。


「湯温上げただけで敵視されるとは思わなかったな……」


「……“湯派閥戦争”かもしれません」


ルースが深刻な顔で言った。


「湯派閥?」

「魔界には“ぬる湯至上主義”の過激派が存在します。火山熱を使う熱湯派とは水と油で……下手をすると温泉テロが起こります」


──温泉テロ。

なんてパワーワードだ。


その夜。俺は一通の手紙を受け取った。

内容は簡潔だった。



《挑戦状》

貴様のレビューは魔界の風呂文化を汚した。

真のレビュー力を見せてみろ。

──灼熱至上主義 総評官サウナ・バアル



「……なんだよ、バアルって」


だが、その名前にルースは震えた。


「サ、サウナ・バアル……!? 魔王軍時代、“レビューで戦争を止めた男”です! 魔界のレビュー四天王の一角!!」


──レビューで戦争を止めた?


どんな世界だよ。

でも、俺の中の何かが静かに燃え上がるのを感じた。


「上等だ、バアル……レビューで勝負してやるよ」


 


――翌日。場所は魔王城温泉前の“レビューバトルステージ”。


審査員には魔王本人、ギャラリーには観光客と魔族兵たちがずらり。

テーマは《温泉の未来》。

各自が施設をレビューし、どちらの投稿が多くの支持を得るかで勝敗が決まる。


まずはバアルがレビュー投稿。



《レビュー投稿:ぬる湯原理主義者より》

評価:★★★★★

・28℃の快適さは精神と魔力を癒やす。

・熱湯は肉体を削る暴力。

・火山熱は自然を冒涜している。

・魔界に人間の文化はいらない。



それに対し、俺は一つだけ投稿した。



《レビュー投稿:元社畜レビューアー》

評価:★★★★☆

・湯温は41.5℃。ぬる湯文化を尊重しつつ、初心者にも優しい。

・人間も魔族も、癒されるために風呂に入る。

・“心が温まる風呂”が本当の勝者。



──ギャラリーがどよめく。


「……感情が……伝わってきた……」

「温泉って、争うためのものじゃないんだ……」

「バアル、ちょっと入ってみたら……?」

「え、いや……わ、わかったよ……」


 


バアルは一歩、風呂へ足を踏み入れる。


「あっつ……でも……悪くない」


その瞬間、レビューボードに★が次々と増えていった。



★4.5 → ★4.7 → ★4.9 → ★5.0!



魔王が高らかに宣言する。


「勝者、元社畜レビュアー・カズマ! 魔王軍正式レビュー担当官に任命する!」


こうして俺は、正式に“魔界レビュー官”となった。


……が、舞台裏でルースがぽつりと呟いた。


「でも、★1の投稿……実はまだ続いてるんです」


――次回、「★1荒らしの正体、まさかのあの人!?」


 


──つづく。


【読んでいただきありがとうございます!】


異世界レビュー生活、今回もお楽しみいただけましたか?

「現実もこうならいいのに」と思ってしまう方、大歓迎です(笑)


お気に入り・ブクマ・評価・感想など、いただけると魔王がガッツポーズします。


次回もまた、異世界の“ちょっと変わった日常”をレビューしていきますので、

どうぞお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ