第十五話 『AI評価者エモレス VS 感情のレビュー魂!』
副題:
「レビューは理性か感情かで意見が割れるので、今日は決着をつける日です!」)
――レビュー塔・第三の門。
そこに立ちはだかるのは、感情を持たぬAIレビュアー「エモレス」。
エモレス「この施設の★評価は2.7。
内訳――接客:3.1、清潔度:2.8、効率性:2.0。
感情による上振れ補正は、0。合理性こそレビューの真実」
冷たい。あまりにも冷たい。
もはや氷点下。
口調も顔も心も、冬将軍をデータで具現化したような男――いや、機械。
ユーリ「でもレビューって……もっとあったかいもんだろ……!」
唐突に語られる、レビュー観の違い。
これは文化の衝突。価値観の対立。
論理 vs 情熱。数値化 vs 体験。
そしてここに「レビュアー大戦・感情論編」が、開幕した。
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ナレーション(CV:ナレーションの人)
「レビューとは何か。数字か、想いか。
論理的な評価が正義か、心がこもっていれば★5でも許されるのか――
今日、その因縁に終止符が打たれる……はずである!」
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心理戦:第1フェーズ
ユーリ、魂を込めた一言レビューを放つ!
ユーリ「ここの温泉……湯上がりに、もう一回入れたくなる。
つまり“身体がまた戻りたくなる、記憶に残るお湯”ってことだ。
そういうレビュー、データには出ないだろ?」
だが!
エモレス「“湯上がり二度入浴率”は全体の7%。
統計的有意性に乏しく、主観と断定されます」
「よって、その感想は★に反映されません」
強い。AI、強い……!
しかし!
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心理戦:第2フェーズ
ユーリ「……ならこれはどうだ!」
ユーリ「“おかみさんの笑顔が、祖母に似てた”
それだけで、ここは俺にとっての★5なんだよ!」
エモレス「祖母の顔情報は収録されていません。比較不能です。
“懐かしさ”はレビュー基準に含まれておりません」
――撃沈!
ナレーション「AI、想像以上にえげつない!!!」
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クライマックス:最終心理合戦
ユーリ、最後の一手!
ポケットから取り出したのは……
一通の“手書きレビューカード”。
それは、かつて倒した★1魔女イチコが残した「★3」のレビュー。
ユーリ「これは、あいつが命をかけて認めたレビューだ」
「言葉じゃない、“想い”で書いたレビューだ!」
「AIには読めないかもしれない。でも、俺には――伝わる!」
静まる場内。
一瞬の沈黙ののち、エモレスの片目が青から――赤へ。
エモレス「……感情……データ、更新完了」
「……あなたのレビュー、★4.9と認識。
要因:評価不能な“熱量”」
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勝敗
勝者:ユーリ。
エモレス、レビューの「熱」を受け取り、
静かに“いいね”を押すように、親指を立てて門を開く――
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ナレーション
「レビューに必要なのは、理性か、感情か。
答えは、どちらもだ。
今日、塔の第三の門に、確かなレビューの未来が刻まれた!」
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次回予告(第十六話)
「レビュー塔・最終門!ネガ・ポジ太郎の二面評価地獄」
好評価の裏に、必ず毒がある!?
褒めても貶す、貶しても褒める“二面レビュー”の魔人・ネガ・ポジ太郎!
ユーリは真のレビューとは何か、正と負の混在をどう打ち破るのか!?
【読んでいただきありがとうございます!】
異世界レビュー生活、今回もお楽しみいただけましたか?
「現実もこうならいいのに」と思ってしまう方、大歓迎です(笑)
お気に入り・ブクマ・評価・感想など、いただけると魔王がガッツポーズします。
次回もまた、異世界の“ちょっと変わった日常”をレビューしていきますので、
どうぞお楽しみに!