第十四話 「レビュー四天王・第二の門! 無言評価のインスタン・ショック!」
レビュー塔・40階フロア。
「……静かすぎる」
足音ひとつ響かない、完全密閉の白い空間。
壁も床も天井も、まるで無菌室のように“無個性”で、何も主張しない。
「ここに次の四天王がいるって話だけど……どこ?」
そう言いかけた瞬間、目の前の壁がスライドし、1人の男が現れた。
無言で、無表情。
タブレットを構えた彼は、指をすっと動かす。
次の瞬間――
【ユーリ・カスガ:評価 ★★☆☆☆】
「うわ!? 俺の評価、いきなり下がった!?」
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無言の星5レビュアー、登場
「彼の名はカメオ=インスタン。
インスタント・レビューの化身……“無言評価”の使い手よ」
ルミアが冷や汗をかきながら説明する。
「文章を書かず、感情も見せない。
ただ、星だけをつけて、世界を変える男……」
フォロワー数:6億。
レビュー文字数:常に0。
だが、すべて★5。
「星だけで何が伝わるっていうんだよ!」
ユーリが叫ぶと、カメオは無言で次の評価を投下する。
【ユーリ・カスガ:評価 ★☆☆☆☆】
コメント:なし
「下がったーーッ!!」
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レビュー・バトル第二幕:沈黙vs言葉
ユーリの評価スコアが下がるたびに、周囲の空間が変化していく。
・壁が暗く染まり
・床が崩れ落ち
・ルミアのアカウントまで★3.5に下落
「この階層のシステムは、レビュアーとしての格差で環境を変える“評価圧”が働いてる……!」
「つまり、俺が負け続けると、ここごと潰されるってことか!!?」
⸻
星に込められた感情を読み取れ!
「言葉を持たないレビューに、意味なんてあるのか!?」
怒るユーリに、イチコが呟く。
「……でも、伝わってないとは限らない」
「え?」
「カメオの★5レビュー、あたし昔、受けたことあるの。
施設はボロボロ、サービスも最低。でも彼は……★5をつけた」
「つまり、彼のレビューは……**“可能性への投資”**だったんだ」
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沈黙の中の真意を掴め!
ユーリは思い出す。
この世界に来て初めて★3をもらったときのこと。
「その時はまだまだだったけど、可能性は感じた」――その言葉を。
「カメオ……君は、“無言で背中を押すレビュー”をしてたんだね」
ユーリは立ち上がり、自らのタブレットに書き込む。
【カメオへのレビュー】
「言葉がなくても、君の星は光ってた。
沈黙の中にある“期待”を、僕は受け取った。
次は、ちゃんと言葉にして返すよ」 ★★★★☆
その瞬間、空間が輝き、カメオの手元のタブレットが初めて震える。
彼の星が★4.8へと変動し――
「……ッ」
カメオが、初めて口を開いた。
「……届いたよ」
そして静かに、ユーリへ**“沈黙の星”**を差し出した。
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塔の扉、再び開かれる!
「この星は……?」
「“意味を問われなかった星”。
評価は、言葉だけじゃない……君のレビューで、それが証明された」
40階の扉が開かれ、塔の上層部へのエレベーターが起動。
「次は……AIレビュアーの階層、か」
ルミアの声が緊張を帯びる。
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次回予告
第十五話
「AI評価者エモレス VS 感情のレビュー魂!」
感情ゼロの機械レビュアー“型番:エモレス”が評価するのは、完璧な数値と合理性。
だが、レビューに必要なのは、理性か? 感情か?
ユーリの“熱いレビュー”が、冷たい計算を突き破る――!
【読んでいただきありがとうございます!】
異世界レビュー生活、今回もお楽しみいただけましたか?
「現実もこうならいいのに」と思ってしまう方、大歓迎です(笑)
お気に入り・ブクマ・評価・感想など、いただけると魔王がガッツポーズします。
次回もまた、異世界の“ちょっと変わった日常”をレビューしていきますので、
どうぞお楽しみに!