第十一話 「鬼焔泉、復活。湯煙の中の再評価バトル」
「……まさか、もう一度この泉に入る日が来るなんてね」
〈鬼焔泉〉の封印が解かれた。
赤黒く煮えたぎる湯面から立ち昇る蒸気は、空気さえも灼く。
ここはかつて、誤った湯加減レビューが引き金となり、温泉街を一夜にして溶かした“禁断の源泉”。
ユーリは身震いした。
「やっぱりやめようって。レビューで解決できる限度ってあるし、火傷じゃすまないって……!」
だが、隣で湯桶を構えるイチコはニヤリと笑う。
「星の数が、命より軽いと思ってるの? 私は違うわ」
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レビュー認証の儀式、開始
鬼焔泉をレビュー認証するためには、“真評価の湯浴”という特別な儀式を行う必要があった。
ルールはただ一つ。
「湯に耐え、感想を残せ。
嘘をつけば、湯がそれを呑み込む」
温泉の霊的存在“湯守”によって、泉の中心にレビューテーブルがせり上がる。
「……何このレビュー版・地獄の釜の蓋みたいな空間」
「私たちのレビューは、もう娯楽じゃなく、戦術なんだよ」
そう言ったルミアの言葉は、ユーリの背筋を凍らせた。
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竜人族、再来
「我らが定刻通りに来てやったぞ。どうした、湯は用意できたか?」
ガル=ドラグニス卿が再び姿を現す。
彼の背後には、星1爆撃を準備する竜人レビュアー軍団《火竜の筆》が控える。
「評価とは、“熱”である。我らはそれを持たぬ泉に価値を見出さん」
「じゃあ見せてあげるわよ、レビューの“真の熱さ”ってやつを」
イチコがレビュー席に着き、ついに——
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レビュー・バトル開始!
【泉質】
「刺激強すぎて、肌がピリピリ。悪くない」 ★★★★☆
【温度】
「人間は入れない。つまり最高」 ★★★★★
【風景】
「湯気で何も見えないが、想像力が掻き立てられる」 ★★★☆☆
【総評】
「“危険”という言葉すらも超えた一種の芸術。
湯に煮られながら、私は生を感じていた」
★4.8(※個人差あり)
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その瞬間、鬼焔泉が黄金色に輝き始めた。
湯守がゆっくりと頷く。
「真評価、認定。龍鱗泉として記録される」
「……ふむ。ならば我ら竜人族も、これに評価を返さねばなるまい」
ガル卿がゆっくりと泉に入る。
一瞬、鱗が軋み、蒸気が叫ぶように上がったが、やがて彼の口元に笑みが浮かぶ。
「――これが、戦う湯か」
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最終評価
【鬼焔泉・竜人視点レビュー】
★★★★☆
〈骨まで熱い。誇りを感じる。茶菓子はまだ改善の余地あり〉
評価投稿の瞬間、竜人族たちの武器が静かに下ろされた。
「交戦の意志はない。ただし……次もぬるい湯を出すなら、本気で燃やす」
「ひぃ……はい、善処します!」
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レビューで外交は救えるか?
「……ユーリさん、やりきったね」
「うん……ってか、また命削った気がするよ。
こんなレビュー、前職じゃあり得なかった……でもさ……」
湯煙の向こうに見える、再評価された温泉街。
再び客足が戻り始めた町の風景に、ユーリは笑った。
「なんか、ちょっと誇らしい気もするね」
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次回予告
第十二話「レビューインフルエンサー襲来! 星の操作は正義か悪か?」
突如現れた“レビュー界の支配者”を名乗る男。
彼が持つのは、星を自由に操る謎の力――。
評価の正義が、再び試される!
【読んでいただきありがとうございます!】
異世界レビュー生活、今回もお楽しみいただけましたか?
「現実もこうならいいのに」と思ってしまう方、大歓迎です(笑)
お気に入り・ブクマ・評価・感想など、いただけると魔王がガッツポーズします。
次回もまた、異世界の“ちょっと変わった日常”をレビューしていきますので、
どうぞお楽しみに!