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この顔が誰のものか君は知らない  作者: 水鷺ケイ
第一章:もう返せなくなった”顔”
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【間話】人間界ウォッチングは今日も平和です

ウキウキウォッチング(死語

別の日、魔王城──。


魔王は玉座に足を投げ出し、宙を見上げていた。

頭上には、魔力によって浮かぶ水晶の球体。そこに映っているのは、人間界で“リオ”と名乗る擬態モンスターの姿だった。


「なあ、レイド。あいつ、また何も食わずに動いてるぞ?」


「調査によりますと、彼は外見・記憶・技能以外を模写できず、食事による栄養摂取も不要のようです。そのため、味覚もほとんど存在しないとか」


「マジかよ。せっかく人間の姿になってんのに、飯食わねーのはもったいねぇなあ。俺なんて一日三食に間食までしないとやってられねーってのに」


「加えて、彼は睡眠も不要な存在のようです」


「……うわ、マジで? しかもあいつ戦わねぇだろ? 三大欲求の『食う』『寝る』『殺る』、何ひとつ残ってねーじゃん!」


「最後の一つは、少し違う気がしますが……」


「生きてて楽しいんかね。うまいもん食って、ベッドでゴロゴロして、殺って寝るのが人生の醍醐味ってもんだろ?」


「ええと……殺って? 寝ることはしませんが、私も正直、彼のような存在を理解するのは困難です」


魔王は顎に手を当て、唸るように言った。


「……ちょっとさ、俺も人間界でグルメの旅に出てみようかなって思ってんだけど」


「ダメです!」


レイドが、即座に食い気味で否定する。


「ええー、なんでよ。俺がちょっと遊びに行くくらいでさあ」


「“ちょっと”のつもりで滅ぼされた人間たちの立場はどうなるんです」


「……あれは、向こうから襲ってきたじゃん?」


「彼らは本能的に“魔王は倒すべき存在”と感じるのです。接触した瞬間に、避けられない戦いになります」


「そんな体質、俺のせいじゃないし……」


「しかし、結果として人間界は一度滅び、我々は種としての復興に膨大な時間と労力を費やしました」


「まぁ……悪かったって……反省して復興“手伝った”じゃん?」


「今の人間たちは、あなたの存在など知る由もない。だからこそ、静かに見守るべきなのです」


「……次は襲ってこないように”調整”したつもりなんだけどなぁ(小声)」


「なにかいいました?」


「い、いいや!何も言ってないぞっ」


バツの悪い魔王は、少ししょんぼりした様子で、再び水晶に視線を戻した。


「ま、まぁあいつ──“リオ”か。なんやかんやで頑張ってんだな。人間っぽくなったっていうか……いや、人間以上に人間してるかもな!」


「……話、逸らしましたね?」


「……っ。ごめんてええええ!!」



これにて一章完!読んでいただきありがとうございました!


登場人物紹介を経て

第二章へ…


ブックマーク、高評価よろしくお願いいたします!

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