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この顔が誰のものか君は知らない  作者: 水鷺ケイ
第一章:もう返せなくなった”顔”
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【間話】玉座の上の暇人

魔王様はお暇なようです。

 ──魔王城、玉座の間。


 豪奢な大広間に、暇を持て余した魔王の溜息が響く。


「……ひまだあああああああああああああっ!!」


 地鳴りのような絶叫に、玉座の下で震える側近レイドがびくりと肩を跳ねさせた。


「ま、魔王様。どうかお静かに……」


「静かにしてられるかああ! 誰だ、魔王は玉座に座ってるだけでいいとか言ったやつは!!」


「ええと、それは……魔王様ご自身では……?」


 魔王は口を尖らせてそっぽを向く。


「俺、ああいうの苦手なんだよね。ジッとしてるの。戦とかはさあ、ドカーン!ってできて楽しいけど」


「はあ……」


「……そういえば、以前人間界に送った者ですが……」


「おおっ! そうだそうだ! あの、何に化けてたっけ……」


「数々の異形に擬態してきましたが、最近は人間に化けて『リオ』と名乗り、冒険者稼業に扮しているようです」


「マジか! あいつ、まだやってんのか!」


「はい。戦闘力は皆無に等しいのですが、過去に擬態したモンスターたちの特性や知識を活かして、地道に問題を解決している模様です。監視には細心の注意を払っていますが、本人はまだ我々の目に気づいていないようです」


「へえ〜、いいじゃんいいじゃん! おもしれーな、そういうの!」


 魔王が身を乗り出す。


「俺に化けてもらって、このつまらん玉座にずっと座っててもらえばよかったな〜」


「いけませんよ魔王様っ!!」


「ははっ、冗談だってぇ。レイド、ほんっと固いなあお前ぇ」


「は、はあ……」


「でもさ、そいつ……リオか。人間界で頑張ってるんだな」


「ええ。今のところ、正体がバレる気配もありませんし……王族の動きとも微妙にリンクしているようです。監視には細心の注意を払っていますが、本人はまだ我々の目に気づいていないようです」


「ふーん……俺も人間界に遊びに行ってみてーなー」


「絶対にダメです!!」


「え、なんで?」


「魔王様が出向けば、余計な軋轢を生むに決まってます。世界が動きかねません!」


「ちょっと観光に行くだけでも?」


「“ちょっと”で済んだ試しがありません!」


「……ちぇー。つまんねーの」


 魔王は腕を組んで少し唸ると、くくっと肩を揺らして笑い出した。


「なんかさ、ちょっとワクワクしてきたわ。もっと早く報告しろよ〜」


「申し訳ありません、毎日逐一報告はしておりましたが……魔王様が聞いてなかっただけです」


「え? あ、うん。だよね。俺が悪いね、うん。反省してまーす」


 反省ゼロの態度で口笛を吹き始める魔王に、レイドは深々と頭を下げながら小さくため息をつくのだった。

短くてすみません!次回も魔王回続きますが短いです(宣言)

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