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烈風のアヤキ  作者: 夢闇
二章 ~アクリス武闘大会~
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『予選後のお誘い』

「さぁて、決行は明日だ。皆準備は出来ているな?」



俺は同胞の四人に確認をとった


小さく薄暗い小屋の中で残りの三人は無言で頷き、それぞれが決意に満ちた瞳で俺を見返す


人数は少ないが、やろうとする事に置いてはかなり大胆で、なおかつ大きな事件になるだろう


我々は、同じ志を元にした同士


そして、憎むべき敵をこの手で始末する



「すみませーんがぁ・・・」



突如四人の後ろから声がした


誰だ!?


誰かがそう叫び、四人が一斉に振り返った


ここに集った四人の同士以外にここに居る者は居ないはず



「少々そーれに私も混ぜてはくれぇませんかねぇ?」


「誰だ貴様は!?」



一人が卓上に置かれた剣を手にして男に向ける



「おっとっとぉー。そんな物騒なもーのを向けないでくださいよぉー」


「貴様が誰かと、問うている!」



男はニヤニヤと笑いながら小屋に一つしかないドアの前に立っていた



「私ですか?わーたしはそうですね、イチとでも読んでください」


「・・・・ではそのイチとやら。貴様は一体何が目的だ。そして何故この場所を?仲間にして欲しいというのはどういう事だ?」


「一つずつ答えるとぉー、目的は宝玉。この場所はそこの貴方をつけてきました」



指を差された男は一歩後ずさり、自分も含めて三人が彼を見る


仲間達からの視線が向けられ、その男は何も言えなかった


絶対にこの場所を悟られないように集まるように気をつけろと散々言っておいたというのに、そんなにあっさりと居場所がばれたのは痛い


もし仲間になりたいという彼で無ければ、我々はアクアサンタ騎士団によって一網打尽だっただろう


我々は騎士では無い


故に、直接戦うとなるとこちらの方が分が悪いのは明らかなのだから


その点、この男は一人で現れた


構図だけで言えば四対一。こちらが有利



「そして仲間になる、と言うよりは手を貸して欲しいのです。もーちろんあなた方のために私も力を貸しましょう」


「待て。お前は何故私たちの目的を知っている?」


「まぁ当たり前のぎもーんですねぇ。えぇ知っていますとも。まぁ情報源は言えませんがね」


「情報源?誰かに聞いたのか?」


「詮索はしない方が身のためですよ。フフフ」



男はにやりと笑った


その不適で不気味な笑みに全員が悪寒を覚える


この瞬間この場に置いて、四人はこの男の支配下に置かれたのだ



「リーダーはいるのぉですか?」


「リーダーは居ない。居るとするならば我々四人全員がリーダだ」


「そうですか。まぁ良いでしょう。それで、私を迎えてくれるのですかぁ?あなた方の仲間に」


「・・・・・お前が国の回し者の証拠でないことは?」


「そうですね。私がその回し者でないという証拠はあーりませんがぁ、しかしあなた方には何の興味もない。目当てはただ一つ、宝玉のみです」


「・・・・わかった」


「ちょ、ちょっとまてよ!」


「そうだ。もう少し話し合うべきだ」



もちろん俺が決断を下すことではないし、軽々しくOKを出すわけにも行かないと仲間達が止めに入る



「すこし、話あってもいいか?」


「えぇどうぞどうぞぉ。ご自由にどうぞぉ」



男はそう言って小屋の角に置かれた椅子に腰掛ける


そしてニンマリと笑って俺たちを見つめている


何なのだろう突如現れたあの男は



「どう思う?」


「国の回し者・・・というのは無いだろう。我々の事を知っている以上、国の回し者ならすでに俺たちはすでに捕まっている。なんせ四人だからな」


「だが・・・あの男、信用できるか?」


「信用できるかどうかはわからん。あいつの心を読める者が居るなら見てみたい。それより使えるかどうかだ」


「どうだろうな。仲間に入れて欲しいとは言ってきたが、それはあいつの目的のために俺たちが利用されるという事だろう?」


「逆に言えば、一人では出来ない。目的のためには俺たちが必要ということだ。金や商品に興味がない俺たちならば求めるものを取り荒そう事もないからな」


「その点で言えば、あいつと争う必要はない、ということか」


「そしてあいつも俺たちに協力すると言っている。どうせ利害は一致しているんだ。俺たちは仲間は一人でも多い方が良いからな」


「まぁ四人で全てに決着をつけるのはきつすぎると思っていたからな。この場所がばれている時点で、俺たちは捕まっていても不思議じゃない。どうせなら実行に移すべきだ」


「だな」


「ということで、いいなみんな?」



全員が頷き、男に向き直る


男は椅子に揺られていたが足でそれを止める



「結論は?」


「いいだろう。お前を俺たちの仲間に入れてやる」



男はクククと笑う



「懸命な判断ですよ。では、明日の予定を聞きましょうか?あ、そーうそう言い忘れておりましたが、現地では見方となる人物が一人居ますので動揺しないよーうにぃ。予定の方は、私から伝えますので」


「・・・わかった」



四人は、明日の予定を男に話した


男はまたしてもクククと笑う


決行は明日


予定に変更無し









彩輝はフラフラと商業区域を歩いていた


会場で行われていた予選は滞りなく全て終了し、まだ日も明るいので俺は以前参加費プラス余った分をお小遣いとして使って良いと言われていた分を持って街へと繰り出した


特に欲しいものは無いのだが、どうせ元の世界に帰るまでつきあう世界だ


いろんな物を見ておきたいと思ったのがきっかけだ


と、何故かガイドにツキが付き合ってくれることになった


先生は仕事があるからと自らの店に戻っていった


俺のために半日店を閉めていてくれたようである。ありがたい


今日も街中は活気で溢れていて、中には他国の人と思われる人たちがいくらか見えた


この大会や会談に合わせて、大会観戦や騎士としてついてきた人たちが今国内に多くいる


俺とツキはいろいろな店を回りながら見知らぬいろいろな物を見て回った



「へぇ、ってことはあれってそんな事が出来るんだ」


「うん。だからいつも常備してる」



会話をしながら次は何処に行こうかと考えていたとき、俺の背後から二つの衝撃が襲ってきた


どすんどすんと連続して背中に何かがぶつかって来たのだ



「な、なんだ・・・!?」


「やほー!」


「どうも」


「なっ!?」



俺の背中には二人の少女がくっついていた


緑色の髪をした二人の姿はうりふたつでまるで双子のようだ


茶色のローブを纏った二人の少女が何故俺の背中にくっついているのか?



「え、えっと、どちらさんで?」



俺は首を後ろに向けて、背中にくっつく二人に聞いてみる


二人は首を上げて俺を見つめる



「私たちはね――――」


「こら、声を落とせ」



そんな二人の後ろからまたしても別の人が現れた


青年で年齢は目測二十ちょっとぐらいだろうか


腰に帯剣しており、男はなんだか面倒くさそうに二人の首を鷲掴みにする



「すみませんねお二方」


「あ、いえいえ」



男が謝り、俺は大丈夫ですと手を振ると、首元を捕まれた元気な方の少女が俺をビシッと指さした



「しっておるぞ!お主、先ほどまで戦って負った奴だろう!」


「え、あ、もしかして客席で見てたの?よく覚えてたね」



これは驚いた。さっきの俺の試合を見てたのか?


なんというか、少し恥ずかしくもあるが・・・



「まぁの。お主の髪の色でいっぱつでわかったわ!」


「あー、そういやそうか」



俺だけ髪の色が黒かったのだ。すぐにわかって当然か


それにしても初対面で背中に飛びつかれるとは流石に思っていなかったが


後ろの人はお父さんだろうか?にしては帯剣するなんて・・・もしかして騎士とか?



「なぁお主、昼はもう食べたのか?」


「え、昼飯か?そういや食ってなかったなぁ・・・いろいろあって忘れてたよ」


「わしはお主が気に入ったぞ!バドール、この者を食事会に招待してもよいじゃろう?」


「王女がそう仰るのなら。お二方、もし良ければ私たちと共に遅めの昼食はいかがでしょうか?」



俺とツキは顔を見合わせた


え、今なんつった?王女?もしかしてこの二人・・・・


俺の目の前で、首元を捕まれた二人が笑いながら俺たちを見ている



「え?王女?ってことは、もしかしてお二人がその、リーナの?」


「そのような・・・勿体ないお言葉です。私なんかお呼ばれする意味がありません」



ツキはそう言って身をかがめた



「まぁそう言うな女の方。以前からチラチラと男の方はきいておったが、意味はなくともそのご友人とあらば歓迎する理由には値する」


「と、いうかさ、ちょっと道のど真ん中で話することでも無いし、身を隠して来てるんなら場所を変えた方が良いんじゃないですか?」


「む、それもそうだな。では歩きながら行くとしよう。運べバドール」


「思し召しのままに」



そう言って男は二人をひょいと担ぐ


男の広い両肩に二人は座るがその重さなど感じさせないようだった



「じつはな、お主を探しておったのだよ」


「え、俺ですか?」



俺は少女を見上げる


歩きながら、何処に向かっているのかは知らないがとりあえずご飯が食べられるところだろうとは思う


そうして皆で歩いているとそんな風に少女が言ってきた



「なんで?」


「まぁのー、こちらの国にもお主のような黒髪の女児が現れて・・・と、お主は知っておったなたしか。アーマルジュンから聞いておるぞ」



ん?なんか聞き覚えがあるな。たしか水鏡で話したあの髭をリボンで巻いたぽっちゃり系の老人か


すると女児っていうのはまぁ、千尋ちゃんのことだよなぁと俺はあの女の子のことを思い出す



「まぁそれでだ、一応もう一人、ええとなんと言ったかな。あの髪の長い・・・」


「一条さんですか?」


「おぉ、そういう感じの名前だったはずだったと思うが彼女も今家来に探させておる」



みんな・・・・来てるのか



「今日は皆で楽しくお茶会と行こうではないか!」



そう言って少女は進行方向に指をびっと差した





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