『彩輝、捕縛される』
「キュイイッ?」
袋から顔をのぞかせるソーレは周囲をきょろきょろと見渡し、最終的に首をかしげて鳴いた
試しに買った袋にソーレを入れてみたのだが大きな羽も尻尾もすっぽりと入り、サイズもちょうどいいのか袋から顔をのぞかせるカンガルーのような状態になっている
大きな袋はナップザックのような感じになっており、彩輝の肩にかけられていた
「でもまぁちょっと重いかな・・・」
苦笑いしながら彩輝がソーレの頭をなでてあげるとうれしそうにするソーレを見て少し和む
家に犬とかペットがいる家ってこんな感じなのかなぁ・・・これならペットを飼ってる気持ちも分からなくはないな
和むわ
ついでにお茶と和菓子が欲しいなぁ・・・
爺臭いかな?とか思いつつ暖かい陽気の中、彩輝はツキの後ろで座って行き交う人々を眺めていた
が、すぐに飽きてしまう
ツキは商売をしており忙しく、することがない俺は昼寝することにした
ただでさえ昨日はいろいろなことがあり、筋肉痛が酷いのだ
運動不足だな俺。
そのうえ睡眠時間も少なかった為か相乗効果を発揮して眠気を誘っていた
でも素直に眠気に身を任せるのも悪くないかもな。
そのうち自分を追い返した兵が交代するだろう。それまで昼寝することにしよう。うんそうしよう。
横になった俺の横に、袋から出てきたソーレが寄り添う
「バカ、お前は窮屈だろうが入ってろ。さらわれても知らんぞ」
いつ何処でさらわれてもおかしくないからな。歩く大金みたいな奴だし
出てきたソーレを俺は袋の中に戻し、再び横になる
今度はソーレの入った袋を近くまで持ってきてしっかりと口を締めておく
首が自由に動かせる緩さまで締め、俺は大きなあくびをする
一人と一匹が暮れゆく太陽の暖かな陽光に包まれている真っ直中、王都の中央はあわただしくなっていた
すでに日は昇りきって、沈む一途をたどっている
「なんとしてでも今日中に探し出すのだ!」
アルフレアがお立ち台のような場所から叱責する
あれから数時間経つが未だ手がかりが無い
数人、彼を見た飯屋の主人やすれ違ったという人間に出会えたものの、今どこにいるのかを知るものはいなかった
赤く派手なドレスを身に纏う王女の後ろに黒髪の一条があらわれる
「軽挙妄動っすなー」
「けいきょもーどー?なんだそれは?」
「深い思慮無く軽々しい行動するってこと〜」
両手を頭の後ろに持って行き、にひひと笑う
「この件に深い思慮がいるのか?」
「さぁ、どうかな〜」
分からない
彼女の考えることがよく分からない・・・
アルフレアはため息をついて眉間を押さえた
妙な行動や思考を取るのが彼女の世界の普通なのだと思いたいのだが、それでもその頭の中を読み取るのには苦労する
そういうことを言うくせに、こちらの行動には積極的に手伝ってくれた
ある意味彼女は独特な思考回路を持った人間だったりすることはアルフレアも感じ取ってはいた
いったい何を考えているのやら
とにかく今は彼の捜索を早急に行うべきである
追い返してしまったというのは流石に不味かったが、まだ生きているという点とすでに王都についているという点においては幸運だった
これで兵を向かわせずにすんだ
ビラには彩輝を城までつれてきた者には金貨1枚の贈呈と記されていた
「結構な大金を出すんですねー」
「主要人物だからな」
「主要・・・ね・・・」
唯は顎に手を添えた
いったい何をどうしたら自分たちが主要人物になるのやら。特に国に貢献したわけでも無いんだけどなぁ。
自分がそんなに大事な位置にいる人間という訳ではない
自分が死のうが消えようが、この世界の人たちには気にすることは何もないというのに……
一条には未だに自分の異世界の知識の価値に気がつかないでいた。
「おーきーてー」
「あだっ!?」
ガツン!!という衝撃と棒読みの声で俺は起きた
ついでに間抜けな声も出てしまった
後者だけでも十分起きれたと俺は思いつつも身体を起こす
ツキが袋を担ぎながら彩輝を見下ろしていた
「な、何?」
「今日はこれでおしまい。早めに宿を見つけておかないといけないからね」
彼女のつけるゴーグルがオレンジ色に染まり始めた太陽を反射させている
まだ日暮れには少し時間があると思っていたのだが、予想以上に眠っていたらしい
「売れた?」
「ぼちぼち」
ツキは残った商品を後ろに止めておいたダトルの引く荷馬車に入れる
手早く、手慣れた様子でかたづけるツキを尻目に俺はまだ眠ったままのソーレの入った袋を担ぐ
その揺れで起きたのかソーレは数回瞬きをして俺の方、つまり上を向く
「おはよう。今から宿探しだとさ」
「カゥ?」
「やっぱかわええなお前」
本当にこんなにかわいい奴があんな恐ろしい姿に成長するのかちょっと疑問に思えてきた
「和風でもなけりゃ洋風でもないな・・・。足して2で割った感じか?」
俺はソーレを押し込んだ袋の口を開いた
部屋にはベッドが一つ、そしてタンスが一つと緑地のカーテンが窓に。床はフローリング、全体的に部屋はシンプルだった
「することねぇ……」
夕食は後々食堂のような場所で取るらしく、その時間になるまでは自由である
というかお金を彼女に出させっぱなしでなんか男としてはなんだか意気消沈する
アルデリアについたとしても返せるお金が無いしなぁ……
所持金5円。しかも向こうの世界の
使えない上に俺の気が晴れない
窓が風でがたがたと揺れる
ベッドに横たわり、天井を見上げると同時に部屋をノックする音が響く
「どうぞー」
入ってきたのはツキだった
俺は体を起こしてドアを閉めるツキを見つめた
ゴーグルははずしており、服装も結構ラフな感じになっている
俺の服装は今、洗って乾かした元の世界の服装に戻っている
流石に泥全部を落とせたわけでは無いがかなりきれいに戻っている
「いや、たいした事じゃないけど、まだ合ったばかりだけどお互いのこと何も知らないから」
ふむ……そういえばそうだな
アルデリアに行く目的や相手の素性など、まだほとんど何も知らない
「そういえば、そう……だな」
「私はツキ・ルベル」
「俺は桜彩輝。だけどたぶんここ風に名前を言うなら彩輝桜が正しいかな」
俺はベッドの上であぐらをかき、ツキは椅子に座った
ぎしっとベッドが軋んだ
「あなたの国じゃ名が後なの?」
「まーね。でもまぁ俺の事は彩輝でいいよ」
「わかった。じゃぁ私のこともツキでいい」
「おーけー。じゃ、簡単な自己紹介も終わったことだし、何から話そうかね?」
「共通目的かな」
「俺がアルデリアに行くのは……そうだな。今のところ俺の帰る場所がそこしかないからかな」
自分で言っておいてなんだが俺の帰る場所は今、アルデリアなのだ
そりゃまぁ帰れるなら元の世界に帰りたい
が、この世界での俺の居場所は何処なのだろう?と問われたら、俺はどう答えるだろうか
やはり、アルデリア王国が帰る場所なのだろうか
ちがうな。そこは帰る場所じゃない。単なる今の居場所なだけだ
帰るって言葉を使えるのは、元の世界の、我が家にという意味を持つときだけだ
「私は合わないといけない人がいるから」
「そういや前もそんなこと言っていたな。あのときは教えてもらえなかったけど」
「いろいろあって薬をおじいちゃんに渡さないといけないの」
「おじいちゃん……って自分のだよな?」
「うん。数ヶ月前から病に倒れて、それでその薬を取りに北方の方まで取りに行っていたの」
「へぇ、でもそれだったら直接アルデリアに行った方が早いんじゃないの?」
ふとした疑問をぶつけてみる
アルデリア王国は縦に伸びる二つの山脈、レサド山脈とシドア山脈が王都を挟んでいる
北方から来るなら直接その間を通って来た方が早いはずなのだが・・・
「あそこはだめ。あそこは荒れ地だから魔獣がいっぱい居るの」
「魔獣かぁ……。そういやこいつも魔獣なんだよな」
ソーレは昼にたっぷり睡眠をとったため、今になって元気よくはしゃぎはじめた
今はちょうどベッドの四方についている小さな支柱のような場所にとまって翼を舌でなめている
「これでもれっきとしたBランクだからね」
「そういや生後一年間の幼少期の間はBランクなんだっけ」
「でも言うほど危険じゃないはず。口から火を吐くのは一週間から1ヶ月の間でできるようになるって聞いたことあるけど、龍の子供なんて普通研究しようにも出来ない対象だから」
「へー、やっぱり火は吐くんだな。何というか、かっけぇ」
最後にぼそっとつぶやいた声はツキに届いたかどうかは分からないがソーレは聞こえたのだろうか、俺の肩に留まる
「なぁ、魔術師なんだよなツキって。魔法ってさ、俺のいた国じゃ無かったからちょっと、いやかなり興味があるんだけど」
「魔法が無いの?そんな国あるんだ……」
「いや、純粋にその国の人たちの体質からして使えないらしいんだわ。例外もいるけど魔法自体が架空の産物だからね。信じる人はいないし、使い方も分からないからさ」
「アヤキは使えるの?」
「あー、まぁ、使える素質はあるみたいなんだが、まだマナとか魔力を感じるぐらいが精一杯ってところかなー」
「誰か師でもいるの?でもあなたの国じゃ魔術は無いんでしょ?」
「えっと、魔法が使えるって聞いたのも、師って言うかまぁ魔術師の人にちょこっとご指導をいただいた程度でまだまだ」
「適正は見てもらったの?」
「適正ってえーっと、属性の?」
「そう」
むぅ、言って信じてもらえればいいんだが
信じてもらえるだろうか。全属性の魔法使用可能って
「全部」
「え?」
「俺は全部の属性を使える人間なんだってよ。えーっとなんて言ったかな・・・ディラ?いや、ディナ?違う違う、えーっとディ、ディ」
「ディアグノ?」
「そうそれそれ!」
思い出せずにいた俺に変わってツキが回答した
すっかり記憶の片隅の奥深くに置き去りにしてきていた
なんというか、最近はいろいろありすぎてすっかりど忘れしてしまった
「それ使って調べてみたんだけどなんつーか、全部でた」
我ながらどういう説明の仕方だとあきれる
まぁ全部出たことに代わりはないのだがもう少し具体的に説明できたはずなのだが
「全部?」
ほらみたことか
ツキも流石に顔をしかめている
「先に言っておくけど嘘じゃないぞ。魔法でも調べてもらったし。だからたぶん氷魔法も使えると思う」
「すごいね。そんな人がいるって聞いたこと無いけど」
「疑わないのか?」
「少なくとも私は聞いたことは無い。でも、それが本当ならすごい。証明は、この場じゃ無理だし、私はその手の魔法は苦手だから」
「へぇ」
そんな感じで俺たち二人は自分の事を話し合った
腕が上がらないことや魔法、ギルドや渡商人のこと
実は渡商人という言葉は元々行商人という言葉が一度廃れて復活した際にできた新しい言葉なのだということもここで初めて知った
そうこうしているうちに時間は過ぎ去り、夕食の時間となった
ちなみにこの場ではまだ俺が異世界の人間だってことは打ち明けていない
そのうち言うことになるだろうが今言っても混乱するだけだろうし俺の身元がそういった、過去で言うアグレシオンと同じだと悟られたくない事もある
もしここでツキが俺を敵視するような事はしたくなかった
これからアルデリアへ向かう、そのための仲間をここで失うことは、この先の道のりがさらに過酷なものとなると思ったからだ
多少は隠して行動するということも覚えなくてはいけない
ここは日本では無いのだ
俺とツキは食堂へと降りた
食堂は一階にあり、階段を下りて二人は食堂へと入った
「あ」
「どうかした?」
俺は足を止めた
奥の方に座っているのは確か昼に飯屋で相席になった男だった
今度は麺類をずるずると食べていた
「いや、何でもない」
俺とツキは注文をすませた
もちろんどんなものが出てくるかは分からない
とりあえずツキのおすすめで注文したので間違いは無いはずだ
食券を受け取り俺とツキは近くの席に腰掛けた
後で番号が呼ばれるはずなのでそれまでは暇になる
「あー、腹減った」
「そうね」
後ろのドアが開いた
「紅炎騎士団だ。この男を捜しているのだが心当たりのある者は・・・者は・・・」
ばっちり目があった
鎧を着込んだ男が俺の顔が描いてある紙を突き出しながら制止した
「俺?」
「だね」
「どゆこと?」
「さぁ?何かしたの?」
「記憶にございません」
「そう」
「み、見つけたぞーーー!!」
男は外に向かって大声で叫ぶ
「私が居ない間に何かしたの?」
「だから記憶に無いって言ってるじゃん」
「とりあえずソーレ迎えに行かないと」
「呼んだら来るんじゃない?」
「来るかな?ドアに鍵はかかってないけど」
「さぁ?」
「声も届くかな?ソーレー!!」
遠くで爆音がした
何かが吹き飛び、砕ける音と、文字通り爆発音が
音に男は気を取られて後ろをむいた
「逃げるべきか、捕まるべきか」
「んー、悪いことしてないっていうんなら向こうにも何か事情があるだろうし、おとなしく捕まっておけばいいんじゃないかな?うん、美味い」
「そうかな、ってオイ」
いつの間にか先ほどまで麺類食ってた男が俺の隣で今度はサラダを食べていた
何故にこんなフレンドリー?
「知り合い?」
「いや、昼に相席になった人」
「そうだな、あそこの焼き飯は美味かったぞ、うん」
「いや、そうじゃなくて」
「かぅーっ!!!」
がしゃぁぁん、と大きな音を立てて男が地面に転がった
長い机をまっぷたつにへし折り、男は沈んだ
「やりすぎだぞソーレ」
ソーレは騎士の男の頭を蹴飛ばして俺の肩にとまる
「でも紅炎騎士団が出てくるなんてよっぽどのことだろう?」
「紅炎騎士団って……この国の騎士団ってことでいいのか?」
「そうだけど」
アルデリアではアクアサンタ騎士団って名乗っていたがそれと同様の組織みたいなもんか
と、横でサラダを貪っていた男が騎士が落としたビラのようなものを拾った
そこには俺の顔が描かれていた
「ふむ、この者を見つけた者には金貨一枚を報賞金とする……………………金貨か。いいなぁ……どれだけ飯食えるかなぁ……」
「え?」
「男を捕らえましたー」
「裏切り者めぇーーー!!」
「別に仲間になってないから裏切ったわけじゃないと思うけど?」
「かぅ〜」
城門の前に立つ3人と一匹
いつの間にか縄で縛られた俺は男に連れられて城門をくぐった
ソーレも後ろからぱたぱたと羽ばたきながらついてくる
ツキは付き添いとして入城を許された
彼女も彩輝を助けようとするそぶりすら見せず、ただただついてきた
ちなみに俺は縄で縛られて地面を引きずられている
そのうち広間に通され、しばらく待つようにと付き添いの兵に言われ俺たちはしばらく待つことに
「ちきしょう、別に縄で縛ることないだろうが」
「念のためだ。見知らぬ輩を王女の前に、手枷も何もさせずに出すわけにはいくまい。そして俺の食費のために犠牲になってくれ」
「誰がお前の食費だ」
「お前だ」
くっ……。見知らぬ輩はお前だろうが
「覚えてろ……えっと……名前は?」
「レイル。レイル・ルニセンダ。ま、覚えてもしょうがないけどな」
ご丁寧にどうも!!
そこにガチャガチャと音を立てて二人の騎士が現れた
騎士は俺たちの前方に立つ
「アルフレア様がいらっしゃる。静かにしろ」
室内の空気ががらっと変わり、ツキとルニセンダは膝をついて低頭した
俺は縄で縛られ身動きがとれないので倒れたままで顔だけを見上げた
カッ、カッと靴音が次第に大きくなり、ドアの前で音が止まった
ドアノブが回る音がしてすぐにドアが開いた
開いたドアを開けて入ってきたのは以前水鏡で見たあの女性であった
「おや?誰かと思ったらルニセンダじゃないか。君だったのか」
「お久しぶりですアルフレア様」
「ふむ、二人とも、下がれ」
アルフレアは二人の騎士に命じた
意外にも素直に引き下がった騎士達だったが顔にはやや不満そうな顔が出ている
そんな二人の心配を察したのか
「心配無い。こいつらは信用できる客人だ」
「しかし……」
アルフレアは渋る騎士にため息をついて言い放つ
「こいつは元・私の側近だった信頼できる奴だ。お前達も知っているだろう。それにそこで縛られているのはアルデリアから来た私の知り合いだ。別に私に危害を加えるわけでも無いだろうしそもそも探していたのはこっちなのだからそんな心配は無用だ。レノンに叱られそうになったら命令で仕方なく〜とでも言っておけば良いだろう」
二人の騎士は顔を見合わせてしぶしぶ部屋を出て行った
「さて……と。よもやこんな出会いをするとは思っておらんかったぞアヤキ」
「は……はははは、ど、ども〜」
「昼は部下が追い返した上に失礼なことをしたようですまなかったな。昼真っから酒を飲むとはまったく……。とはいえアルデリアから捜索願が来た時点で門番に知らせておかなかったのはこちらの不手際だ。すまない。それでだ、つれてきたのが何でお前なんだレイル?」
「成り行きです。別に他意は無いですよ?」
「何処が成り行きだ何処が」
明らかにお前金、いや、飯が目的だろう
レイルはアルフレアが取り出しレイルに金貨を投げる
投げた金貨を受け取るレイルがニヤッと笑みを浮かべる
「本当か〜?さて、顔を上げてよいぞ。そなたは誰だ?見たところアヤキに付き添っているようだが?」
ツキが顔を上げる
「ツキ・ルベルと申しますただの渡商人でございます。先日、こちらのアヤキ・サクラと出会い、道中を共にしてきました」
「ふむ、保護されたか。して、どうやって逃げ出したのだ?とても興味がわくのだが」
「え、あいや、逃げては無いんですよ?いや、グレイからは逃げましたけど……」
何処から話すべきか
「えーっと、簡単に言うとですね、さらわれて龍の神子って事をしらされて……で、なんかソーレの、あ、この龍の子の名前なんですけどこいつの孵化と使命とかいうのを聴かされましてですねー。まぁなんやかんやでツキ達の渡商人一行に助けられ、アルデリアに戻るべく旅をしている途中なのです」
「ほぅ……なかなかおもしろい事に巻き込まれているようだな」
「笑い事でもおもしろいことでも無いですよ。まったくもって何がなんだか。下手したら死んでましたしね」
本気で死ぬかと思った
ドラゴンに連れ去られ、グレイに追いかけられ、追ってきた大きな群れと遭遇して……
寿命縮むわ!!
「まぁ気になることも多いが旅の土産話は後々聞くとしよう」
そういってアルフレアは再びツキを見つめた
「お前にもアヤキを助けた褒美をやらねばな。ほれ」
そういって金貨をもう一枚取り出してツキに放り投げる
ていうかお金の扱い雑だなおい!俺だったら金貨をそんな風になげねぇ
ていうか俺の扱いずさんすぎるだろ!
とか内心思いつつ、あわてて金貨を受け取るツキをみてやっぱりお金持ちは違うなぁと思った
「今後の予定は?」
「えっと、ツキと一緒にアルデリアに向かう予定です。まぁ数日は滞在する予定ですけど」
「ふむ、なら城に泊まっていくといい。それとお前達が無事だという知らせも向こうに送っておいた方がいいな。まぁそれは後でいいとして、レイル、お前はどうするんだ?今なら反乱分子はいないぞ?」
「そうですね。昔を思い出すのも、また悪くないかも知れないな」
「ふ、言ったな!よし、そうと決まれば……っと、レイル、お前は昔の寮、たしかお前の部屋は開いていたはずだ」
「げっ!?またあそこに戻る……ってまだ空いてるのかあの部屋!?」
「昔に戻るがいい」
クスクスと王女は笑う
対するレイルは苦笑い
完全に蚊帳の外だ
「ぐ、いいさ。久々に皆に顔も見せておきたいしな」
「そうしろ。皆よろこぶ」
「では、お先に失礼します」
レイルは部屋を出て行った
どうやら会話からしてこの男は昔この城につとめていたらしい
今は違うらしいがそれなりに王女とも親しい仲と彩輝には見えた
というより、もっと違う何か違うものが二人の間にあるように見えたがたぶん気のせいだろう
「と、そろそろ来る頃か。もう一人のゲストだ」
ドアが開き、現れたのは……
「…………………………君は蓑虫か!?」
「や、やぁ。ってちげぇよ!!」
やっと出会えたというのにそれは違うんじゃないかと思った彩輝であった