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烈風のアヤキ  作者: 夢闇
四章 ~古今の異邦者~
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『静かなる雪積もる地』

フェリエス聖王国、シーグリシアの森。


止むことのない雪が森を一面真っ白に染めるその森は、まるで別世界のようである。


日の光を閉ざす灰暗き雲がその森をよりいっそう静かな場所にして不気味さが漂っている。


野生生物の声すらも積もった雪の壁が受け止め、たまに聞こえてくるのは魔獣の遠吠えぐらいとなってしまった。


あれほどにまでさえずっていた鳥たちはどこへ行ってしまったのだろうか。


あれほどにまで聞こえていた木々のざわめきはどこへ行ってしまったのだろうか。


元神子であるライ・メルティンは小さな枝に飛び移って、死んでしまったかのような森を眺める。


見た目は十数歳ほどなのだが、実年齢はきちんと此方の世界では成人している。


見た目で彼女を大人だと言う人間はまずいないだろう。


その小さな背には数日分この森で滞在するための食料や道具を背負っている。


本来なら森で獣でも見つけて食料にでもしようと思っていた彼女であったが、どうやらそれは見込めそうもない。お肉は当分お預けのようだ。



「本当に、寒い……」



白いため息が、凍り付いた木々を吹き抜けてきた風にながれていく。


雪の森はどこまでも続いていて、まるで果てがないかのように錯覚させられてしまう。


まるで奥へ奥へと自分を誘っているかのような、それはあたかも生き物のようで、メルティンは僅かながら恐れを抱いた。


足を滑らせぬよう、次の木の枝目掛けてジャンプするメルティンはそんな森の奥を目指して突き進む。


この先には小さな村があったはずだが、これほどにまで雪が積もれば森の外との交流も途絶えているだろう。


今や雪は1メートルを超えてしまっており、常に道を使っていなければ道など無いに等しい光景となっているだろう。


現にこうして辺りを見回しても獣が通った足跡一つ無い。


それほどにまで雪が積もり、雪は全く止む気配がない。


やはり自分も四天王の一人、北の双刀と一緒に行くべきだったのだろうか…。


そう考えそうになるも、首を横に振って森の奥を見つめた。


駄目だ。自分にはやることがある。他でもない自らの慕う神獣からの願いなのだ。


メルティンはいくつもの木を飛び移っていく。


森の奥へ奥へと進むほどに彼女の小さな体を阻むように雪が降り積もり、あっという間にその積雪は自らの身長を超えている。


もちろんメルティンの頭や衣服にも大粒の湿った雪がどんどんと付着して体の重みを感じる。


時より足を休めてその雪を落としながらメルティンは灰暗きシーグリシアの森を進んだ。


森に踏み込んで二時間程たっただろうか。


もはやどこにも生物の影はなく、あるのはただ雪のみという森の中でメルティンはついに目的地にたどり着いた。



「ここだけ雪が積もっていない……ってのもねぇ、なんだか不気味だわ」



異様な光景だった。


木の上から見下ろすそれは、まさにこの白雪の世界でただ一つ不釣り合いな存在だった。


紙垂しでをつけたしめ縄が巨大な岩に巻かれている。


その巨大な岩とその周囲には何故か雪が積もっていない。


まるで雪が岩を避けているかのような。


すぐ近くにメルティンは着地して大きな岩へと歩み寄った。


この岩はこの地方に伝わる昔話にある、魔獣が封じ込められているという岩である


それまでメルティンは迷信程度にしか捉えていなかったが、どうやらそうではないらしい事を知ったのはほんの少し前だ。


実際にここには太古の魔獣が封じ込められているのだとか。



「全く、意味がわかんねぇよ。私にどうしろってんだよ……あー、寒い……」



例え本当にこれが魔獣だとして、私は一体どうやってその復活を遅らせればいいのか。


砕いて終わりならそれほど楽なことは無い。


だが思慮無き行動は慎まないといけない。そこが自分の良くないところだと分かっているからだ。


もう少し具体的に復活を遅らせる方法を教えてくれても良かったじゃないか、と思いながらメルティンは愚痴るが聞かなかった自分も自分だとため息をついた。



「さて、テントでも張るか……」



メルティンは背負った荷物を雪の上に置いて見張り兼宿泊用のテントを張ろうと準備を始めた。


だがそこでメルティンはあることに気がついた。


足音だ。


ざくり、ざくりと雪を何者かが踏みしめている。


それもゆっくりとこちらへ近づいてくるではないか。


それも重なる足音は一つではない。


足音からして恐らく獣ではなく人であろう。少なくとも二本足の生き物だ。


やがて足音の主が白の森を抜けてメルティンの前に姿を現した。



「あら、先客が居るとは思わなかったわね」


「こんな寒い場所によくもまぁ来られたね。寒かったでしょ?ご苦労様~」



一つは女、一つは男の声だった。


女の方は長い髪を二つに分けて縛っており、男の方は長身で二人とも防寒用と思われるローブのようなものを纏っている。



「このような場所に人間が何用で?」


「なぁに、ちょいとこの大きい石の見張りをしないといけなくてね。あんたらこそこんな森の奥まで何しにきたんだ?旅行じゃねぇよな」



犬歯を剥き出しにして女は笑う。



「あらあら、そんなに警戒しないで欲しいわね」


「それは無理だな。こんな場所に理由無く人が来るわけないからね」


「…………それもそうね。私も寒いのは嫌いだから、立ち話はやめてさっさと仕事を済ませましょうニール」



レミニアは纏っていたマントを脱ぎ、その小さな背から広がる翼をメルティンに見せつけた。


それを見たメルティンは素直に驚いていた。



「へぇ……驚いた。獣人じゃないな。ってことはその翼は」


「えぇ、私も、彼も、お噂の吸鬼よ」



レミニアはフフフと笑う。



「絶滅したかと思ってたよ。それで、吸鬼さんがこんな場所になんのようだい?」


「察しがついていると思うけど貴方と同じ、その石に用事があって来たの。尤も目的は正反対のようだけどね」


「へぇ、神獣もあんたらが来ることを知ってたみたいだけどあんたらも私がここに来る事を分かっていたってか?」



目的も含めて、とは付け加えずも恐らく分かっていて言ってるのだろう。


メルティンもまた驚きもせず、また焦りもせず、ただただ会話を進める。


この会話に意味は無いと分かっているのだ。


とるべき道はすでに決まっているのだから駆け引きなんて意味が無い、と。


どうせメルティンは情報なんてろくに引き出す技術は持っていない。


メルティンが自分が何を持っているかと聞かれれば、それは一つしかない。


純粋なる、力だ。



「やっぱり貴方は神獣の使いだったのね。確信が持てるって良いわね。不安が無くなるもの」


「不安?何の不安だ?」


「貴方は感じたことが無い?自分の考えが本当にあっているかどうか。外れていたらどうしようという不安が」


「無いな。自分で考えるなんて面倒だしそんな自慢できるほどいい頭してないからな、その辺の事は他人に任せてるよ」


「線分けがきっちりしているのね」


「誰にだって出来ること出来ないことあるだろう?出来ないことを他人に任せて何が悪い?」


「――――」



吸鬼の少女は少し黙り、言葉を探していたようだがこう続ける



「そうかしら?確かに人間という種は群れを作り、役割を分け、その中で人間種は考えることで知能を得て進化してきたのよ?なら考えることをやめた人間は―――ただの獣じゃなくて?」


「獣さ。私は。・・・それぐらい・・・分かっているさ。ただ、獣は獣であるほどに知恵を削った分純粋な力を持っているもんだ。獣は利口じゃないからな。信じられるのは自分の力、ただそれだけだ」


「力―――獣のあなたが信じる力は、一体どれほどに野蛮で醜いのかしら」



フフと笑みを浮かべるレミニアに対し、メルティンの方は無表情を貫いていた。


だがその一言で思わずメルティンの頬が緩んだ。



「ッハッハッハ!まさか吸鬼に醜いなんて言われるとは思わなかったよ。だけど、まぁそうだなぁ。私の力は確かに野蛮で、醜くて、そして荒々しい、美しさの欠片もないものさ。それでもそれが絶対だと信じて私は使っている」


「・・・どうやら本当に貴方は獣らしいわね。良い笑顔をしているわ」



メルティンは笑っていた。


それはもう不気味なほどに。


嬉しいのか、楽しいのか、面白がっているのか。


獲物を見つけた、獣の表情をしていた。



「ククッ……」



と、突如レミニアの後ろにいた吸鬼、ニールが思わずといった感じの笑みをこぼした



「あら、何が面白かったの?」とレミニアが聞くとニールはいやいや、と首を横に振った



「いえ。少し面白いものを見られたな、と思いまして」


「ふぅん。私貴方が何を考えているのか全く分からないわ」



レミニアがニールを見上げて呟く。


深紅の鋭い瞳がニールの細い深紅の瞳と交差する。



「それはそうでしょうねぇ。貴方が僕の考えを知る必要はありませんからね。あいにく僕の方は能力で全部解っちゃうんですけどね」


「解を知られるなんて、嫌な能力ね。私とは正反対ね」


「これは失礼。レディには恥じらいという心があることを忘れていました」



ニールは失礼しましたと軽くお辞儀をする。


と、レミニアも当たり前だと言わんばかりの形相で腰に手を当てる。



「あのさ、いくら私が獣だからって別に言葉が分からない訳じゃ無いんだけど」



そこにメルティンが横やりを入れて会話を中断させる。


目に見えて無視されたことに苛立っている事が二人にも分かった。



「おっと、これはこれはもう一人のレディを忘れていましたね。このニール、申し訳ないと頭を下げましょう」



ニールはそう言って軽くお辞儀をするが、彼の口調から本気の謝罪ではないように聞こえる。


メルティンにはまるでそれは上辺だけの社交辞令のようで、その笑みは毒が潜んでいるようにも見えた。



「さて、獣のあたしとしては面倒くさいことはすっ飛ばしてしまいたいと提案するわ。どうせ退かないんでしょ?」


「えぇ。話が早くて助かるわ。早く腰を据えて暖をとりたいもの」



メルティンが足を開いて腰を落とし、両手の拳をグッと握り締める。


レミニアも腰を落としてその黒翼を惜しげもなく広げた。



「じゃぁ僕は少し離れて見ているよ。精々両者頑張ってくれたまえ」



ニールは一人ふらりと宙へと舞い上がり離れていった。


どうやら空中から観戦するようだ。



「2対1じゃなくていいのか?」


「大口を叩くわね。獣は自分より強い者か弱い者を感覚で悟って、勝てない戦いを挑もうとはしないわ。その点に置いてはまだ貴方は人のようね」


「知ってた?私は獣になりたい人なのよ」


「なんだ、まだ獣じゃないの。なら、余裕ね」



ピシッ



「そうかな?」


「!!」


「言わなかったかしら?私の力は醜くて、野蛮で、荒々しいって」



雪積もる静かな森に轟音が響き渡る。


同時に、雷光が森の中央で弾けた。


神獣、金角の元神子にしてレティール聖王国騎士団元副団長ライ・メルティン。司るは『雷』の魔力



「光の速さ、その紅い瞳で捉えきれるかしら?」



一瞬にして周囲の雪と木々が吹き飛んだ。


術式も、魔法陣も、詠唱も、何もかも存在しないただの力の解放。


上記のものが魔術行使時に行われるのは魔力を制御するためのものであるが、それらを必要としないで魔力を具現化する方法が無いのかと言われると無いわけではない。


ただ単に、マナを取り込み、魔力を練り、それを思う方向に向けて放出するだけだ。


しかし飛び出した魔力は制御出来ず、ただただ周囲を破壊し尽くすだけの存在となる。


下手をすれば自分まで巻き込まれかねないような行為であり、普通の魔術師はこんなこと絶対にしないししてはいけないと知っている。


というよりこれを魔術と呼ぶことすら間違っているのかも知れない


それはもう術でも何でもない、ただの力の塊を周囲にぶちまけているだけの行為だからだ。


だがそれは彼女には大した問題では無いのだ。


パラパラと木くずや雪が落ちてくる中、右手を斜めに突き出したメルティンの姿がそこにはあった。


なぜなら彼女はこの大陸でただ一人、雷化という能力を持っているからだ。


原理は彼女自身理解しているところでは無いが、彼女は雷の魔術を得意とし、本来ならその雷の魔力を術式で魔術にせずに放出すると、普通ならその瞬間自らも感電してしまう。


そうならない為に、雷の魔術師は魔法陣や詠唱に自身の絶縁を含めた術式を刻む。


しかし彼女はその瞬間、何らかの方法で感電を阻止することが出来ているのである。


その瞬間彼女からはどこから生まれたのかと思うほどの大量の電気があふれ出し、その光景を見た者がまるで彼女は雷そのものとなっているかのようだと言い表したことからいつしか彼女の能力は雷化と呼ばれるようになっていた。


その方法は今だ彼女の口から漏れた事は一度として無い秘術として扱われることもあれば、それは体質なのだという者もいる。



「……避けられた?」



彼女は静かに声を漏らす。


その突き出した右手に手応えは全くなかった。


しかし彼女の目では確かにレミニアを捉えていたはずであの至近距離からの放電を避けられるはずが無い。


放電の瞬間、視界を埋め尽くす光の中でレミニアは一体どうやって視界から消え去ったのだ。


故に戸惑うメルティンであったが、それを表面には出さず状況を分析する。


雷の速さを超えてあの距離から避ける?そんな事出来るわけがない。


知覚した瞬間にはすでに被弾しているはずの速度である。僅かに避けたとしても、側撃雷を起こす可能性は低くは無かったはずだ。一体どうやって……



「確かに早いし、威力もあるわ。でも何で貴方の体は感電していないのかしら?」


「っ!?」



メルティンは咄嗟に前方に向かって飛んだ。


突如背後からあの少女の声がした。


何故、どうやって!?



「それに今の退避行動の速度、人にしては……早すぎるわ」


「……そりゃそうさ。恐らく私は大陸で尤も早い存在だからな」


「へぇ。速さを司るのは金角では無く龍だったと記憶しているのだけれども」


「!!」



メルティンは驚愕した。


この吸鬼は自分が神子でった事を知っている、と。


世間一般には神子という存在はあかされていない存在であり、知っているのは精霊台を所持する国の最もトップの存在、あるいは神子に限りなく近くて信頼できる相手ぐらいなものだ。


秘匿度としては国家機密に並ぶレベルであるその事を、まさかこんな小さな吸鬼が知っているとは。


それに自分がどの神獣の神子であるかもバレているということは、恐らくメルティンの事を調べてきているのだろう。


メルティンにとっては予想できない偶然の戦闘であったが、彼らにはすでに私がこの岩を守護することを知られていた、という事になる。


邪魔者が入る可能性があるとは伝えられていたが、それ以上にあちらはそれを前提とした上での行動だということなのだろうか。


絶滅していたと思うぐらいに人前に姿を見せないかと思えば、秘密にすべき存在の事を知られていることに困惑し、また一目につかないようにしたうえでここまでの情報を手にしていることに驚き困惑した。


一体吸鬼は何をどこまで知っているのか。


そしてこの吸鬼達の目的であるこの岩を一体どうするつもりなのか。


封じられているという魔獣に関係していることはメルティンにでもわかる。


が、どこかでこんな大きな岩を魔獣に戻せるわけが無いとは思っていた。


それにいくら絶滅したと言われていた吸鬼とはいえ、まさか自分の一撃を止めるなど予想すらしていなかった。


だが、自分に任されたこの仕事を投げ出す訳にもいかないし、そんな気も無かった。



「へぇ……神子の事を知ってるのか」


「そりゃ、えぇもちろん。あなた達の力を奪った彼らとも戦った事があるわ」



メルティンの力は確かに数ヶ月前に突如失われた。


確かに突如力がなくなったことには驚いたが、かといってどうすればいいのかが分かるわけも無い。


金角は自分の前に姿を現すことは無くなり、しばらくは途方に暮れていたほどだ。


しかしつい先日、自分の前に現れた金角と一角天馬の命令によってライ・メルティンはここに誘われた。


何故自分の前から姿を消していたのか。何故神子の力がなくなってしまったのか。すべての質問を無視し、神獣金角と一角天馬はただただ自分に命令した。


この岩を守れと。



「力を奪った、ねぇ。その表現は正しいのか?」


「えぇ。彼らはあなた達の力を、神子の力を新たに得た訳でも授けられたでもなく、分けるでもないなら、その表現は奪った(・・・)が正しいのだと思うのだけれど。現に貴方の力はもう欠片も残っていないのでしょう?」



確かに自分の中には神子の力は残っていない。


神子となってからは義務のように感じていたそれが無くなっただけであり、私が神子という特別な存在では無くなったことに思うところは特に無い。


神子であることに執着していた訳でも無いのに、何故その力を奪ったであろう相手を責めなければならないのだと。驚きはしたが。



「ふうん。まぁそれが誰であろうと、金角が別に私に取り戻させようとしなかったのならそれはそれで問題は無いんじゃないかな。何か考えあっての行為だろうし」


「つまらないわ。獣はバカだから、成り行きの説得で彼らと貴方をぶつけようと考えていたのに」


「フ、いくら獣でも獣なりに考えるものさ。彼らが何者であろうと、別に私は神子じゃないといけないなんて誰も言ってないからな。さて、おしゃべりはここまでかな?」


「そうね。良くも悪くも、貴方は拳で語る性格のようね」



少女はクスリと笑い、自分も分かっていたことだろうと言いながらも釣られて笑う。


違いない、と。



「そういうあんたはどうなんだい?」


「私?私はそうね、面倒くさいことが嫌い、そういう性格よ。だって、わかっているのに二度もやるなんて、面倒じゃない。なら早く、効率的に終わらせたいのよ」



レミニアは“ただ有って先を知る能力”を持っている。


それ故に、一度見た未来をもう一度現実として行うことが面倒で面倒で仕方がないと思っているのだ。


だがそんな事を知らないメルティンはこう解釈した。



「要するに、さっさと終わらせるにはこれが一番って事なんだよなっ!!」



バチィッ!


雪が弾け飛んだ。


と同時にメルティンが消え、レミニアの目の前に出現した。



「む」



今度は捉えた!


雷化をしたメルティンの小さな拳がレミニアの頬にめり込む。


今度は手応えがあったのを感じ、そのまま魔力を放出して光の速さで殴りつける。


雷の持つ威力とその光の速さ、それこそがメルティンの強さの秘訣と言ってもいいだろう。


メルティンは雷の魔力を操るが、ただの雷の魔力を操る魔術師という訳ではない。


彼女はこの大陸で唯一、肉体を雷に変化させることが出来る人間なのである。


メルティン自身はそう解釈しているが、変化、変換、同調、同化、まぁ言葉はなんでもいい。


電気が体に当たらない、というよりかは体自身が雷となる事がメルティンには可能である事がこのような無茶苦茶な事を可能にしていた。


爆音と共に積もった雪が、巨大な山を作るかのごとく舞い上がる。



「女の子だからって手加減は出来ないし、するつもりも無いからなっ!覚えとけっ!」



その言葉通り、手加減なしの雷光が白い世界を更に白く包み込んだ。


――貴方の方がよっぽど女の子じゃない、とは誰が言ったか。


その呟きは轟音に掻き消された。


ほぼここから最終章みたいなもんです


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