『それは唐突に』
※必読!
この物語はフィクションです。
実在の人物・国名・歴史とは同じ名前、事件が出たとしても一切関係有りません。
「事実と違うぞ歴史と違うぞ」と言うご意見は一部例外を除いて受け付けませんのでご了承ください。(もちろん描写方法や誤字脱字、話の展開や人物の主観、人体の構造としてあり得ない動き等々の意見や話の感想などはもちろん大歓迎です)
それと、軽度と言えるかどうかは人によりますので断言しかねますが、人や生き物の血や死といった表現が入ってきます。頭とか腕とれますのでそのあたりも了承、承諾したうえでお読みください。では、ごゆるりとページをめくってくださいな
第一章 〜龍の神子〜
日本海沿岸、高速バスは海沿いを走っている
たいした揺れもなく、むしろ心地よい温度に設定された冷房と、バスの中へと差し込む柔らかな陽光が強い眠気を誘う
乗客は数名
恐らくバスの運転手を含めても十人ほどだろう
一番後ろの長い座席には3人の家族が座っている。
その前に座っている若い男女はカップルだろうか
その前には少し大柄な男の人が座って本を読んでいる
皆楽しそうにしている中、携帯音楽器から伸びるイヤホンを耳に付けて俺は一人で適当な座席に座って外を眺めていた
隣には誰もいないため、持参した小さなリュックを置いた
まぁお盆だからなぁ・・・
地平線を望むことができるほど広い海を見てそういえばお盆って水場で事故が多いよなとか思う
バスに揺られること3時間ほどだろうか
何度か料金所で発生した小さな渋滞に巻き込まれつつも、さほど支障はなくバスは進んでいく
途中事故した車を見たりもしたが別に同情したりはしなかった
曲が終わり、次の曲に入る
最近話題になった曲で有名歌手が自分で作曲した曲だったはずである
ゆったりとした曲調である意味癒し系の部類にはいると思う
そんな曲が耳元から入ってくる
いつの間にか俺は眠りに落ちていた
紅葉色の陽光が瞼の裏にうつる
目覚めは良いほうなのですぐに目を覚ます
覚醒が早いとでも言うのだろうか?とにかく脳も寝起きを理解したのかちゃんと働いてくれたようで目はすぐに覚めた
膨大な数を入れてある携帯音楽器だが、全ての曲のうちどの程度まで終わっていたのかが分からず、俺はそれをお気に入りの曲まで飛ばして再び再生する
陽光はちらちらと見え隠れしておりその度にバスは影に入り、暗くなったり明るくなったり、視界の中の光りが明滅を繰り返した
窓の外を覗き、草木がキラキラと光るように見えるのは風で葉が揺れているのと差し込む木漏れ日のせいだろう
俺は揺れるバスがいつの間にか山の中に入っていることに気がついた
そして陽差しの色が弱まっているのは恐らく日が傾いて、そらが夕焼けに染まっているからだろう
腕時計を確認すると午後5時34分をさしていた
予定ではもう少しだな
もう少しでバスは有料道路を降りて近くにあるバス停に止まる事になっている
俺も周囲と同じように実家に帰るためにこのバスに乗っている
強制ではないはずなのに、それをしないといけない気がするのは何故だろうか
日が傾き、背の高い樹木が日の光を隠した
暗い影が道路一杯に広がりバスや周囲の車を覆い隠した
「君も里帰り?」
突如通路を挟んで隣にある席に座っていた女性がいつの間にか立ち上がっており、走っているというのにバスの通路に立っていた
顔がこっちを向いていることから自分に話しかけていることが分かる
「はい。このバスの人は全員そうでしょうね」
音量を低めにしておいてよかった
でないとその声は音楽でかき消されていただろう
イヤホンを取って電源を切る
「でしょうね。すいません話しかけたりしてしまって。一人旅でつまらなかったもので」
「いえ、俺もすること無かったですから」
話しかけてきたのは20代前半であろう女性
落ち着いた色の上着を羽織っており若干渋めな感じもするがそれでいて胸元のアクセサリーやその整った顔立ち、サラリと背中まで伸びる髪が美しさを思わせる
「見たところ高校生みたいですけど?」
「そうです。高校2年です」
「私は自由気ままな占い大好き大学生。隣、いい?」
ちゃっかり自己紹介に趣味を混ぜてきている
断る理由も無いので俺はその人を隣に座らせた
話題が入ることで次の会話につなげそうな感じである
自分も自己紹介の時に何かを入れておけばよかったか?
とは思いつつも時間が逆戻りするはずもなく、俺は彼女の話題の種に乗ってみる
「占いですか?」
「そう!」
と目をぱちくりとした目がキラキラと輝くように俺を見つめる
聞いて欲しかったのだろうか
リュックの小さなポケットからカードの束を取り出す
カバーを外してそのタロットカードをシャッフルする
「大アルカナですか?」
「お、分かるかね?」
・・・・・しばらくバスの中で占いをしながら会話が続いた
「君はたぶんリーダー気質があるとでているね」
彼女が自ら考え出したという占い方で占って貰うとどうやら俺はこれからリーダーになるらしい
彼女曰く、自ら考えた方法にしてはなかなか当たると大学の友人に高評価を貰っているらしい
まぁリーダーになる予定なんてないし、それほど人に自慢できる程の事をしている訳でもないんだけど
「うぇ!?お隣の高校だったの!?お姉さんビックリだー!」
そして一番意外だったのは彼女の通う大学、そして自分の通う学校がすぐ隣にあると言うことだ
目と鼻の先の大学に彼女は通っていたらしい
「もしかしたらどこかで見かけていたかもしれませんね」
「おぉ・・・ということはもしやこれから通学路でばったりという可能性も・・・!?漫画やアニ・・・エロゲで良くあるシュチュエーションではないか!?」
「いや、アニメを言い直してエロゲをたとえに出す理由が分かりません」
「お、エロゲに食いついたね?いまエロに反応したな!?お姉さんの胸を見たな!?嫌らしいぞ思春期真っ盛りの高校生!」
と、隣に座る女性が頭をバンバン叩いてきた
痛かった
なんなんだこの女性
「はぁ・・・いや、俺そんなところ見てませんから」
と、焦りかかったがこれは良くあるパターンだなぁと思いため息をついて落ち着けーと自分を促し返答する
「いやいやいや、もうちょっと焦ったりしてよ!つまんないじゃない!」
予想通り、年上だからって俺を手玉に取らないでくださいよ
「手のひらで転がされるほど甘くないですよ俺?」
「おおぅ、自分で言うかね自分で」
少し考えてみて・・・自分でも発言に嫌気がさした
そとの景色を見て、見慣れた景色な事に気がついた
「もうそろそろで着きそうですね」
毎年変わらぬその道をバスが行く
吹き付ける風がバスにぶつかり、そして流れていく
「もう少しで・・・ぶべっ!?」
彼女がバランスを崩して身を乗り出した状態で目の前の座席に顔を打ち付ける
俺も必死に前の座席にしがみついた
というのもバスがもの凄い動きをしたからだ
な、何が・・・!?
そう思うことすら忘れるぐらいに強烈な揺れがバスを襲う
「何かにつかまってッ!!」
座席に顔を打ち付けた彼女が片手で顔を覆いつつバス全体に聞こえるように叫んだが、ギュルギュルとバスにかかる急ブレーキ音のおかげで彼女の声はかき消されたように思えたし、そんな言葉を聞いている暇すら内容に思えた
縦揺れとも横揺れとも言えないようなすごい揺れに周囲の人たちも叫んでいたりするが皆一応何かにつかまっていたようであった
「何がっ・・・」
窓ガラスが割れる
荷物が宙を舞い、黒い影が視界を覆い隠す
あ、子供だ
遙か前方の席に座っていた子供が座席をいくつも飛び越えて飛んできた
「きゃぁぁぁ!」
彼女の悲鳴と共に、少女の小さな尻が俺の顔面に直撃した
ぐらりとバランスを崩して倒れた俺は床に頭を打ち付け、俺の意識は暗闇へととけ込んでゆく
ポニーテール・・・だったなぁ・・・
ぶつかってきた少女の髪型を思い出して俺は気絶した
風が吹いた
風はグルグルとつむじを作り、古い落ち葉を巻き込んだ
落ち葉はその中心まで渦を巻いてパサリと地面に落ちた
道路上を走っていたバスが一台、地球上から消えた
物語のはじまりはじまり~
現在23話まで修正済み。情けない事ですが、誤字が多いですので誤字報告は修正済みの範囲まででお願いします。あくまで習作のつもりだったので今後の誤字修正は気が向いた時に行います。これは誤字脱字と成長しない作者の物語(違