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雷の使い方、間違っていると思います!  作者: 焼かれた魚
神が鳴る
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癒し



プールの手前には立て看板が置かれている。


そこにはこう書かれていた。


『疲れたらつかかってね☆』



これはどうすればいいのでしょうか……。


見知らぬ場所にど真ん中にプールがあって、それにつられてダイブする奴っているんだろうか。


いや、もう入ってくださいと言わんばかりに設置されてるからね?


試しに触って見るけどさ!!



宮廷のお風呂かっ!と言わんばかりの広さに半目になりながら近く。


看板のすぐ後ろ、中央部分手前に入る用の階段が設置されている。


あ、ここから入れってことね。


しかし!


まずは調査です。


底が見える透明な水は少し甘ったるい匂いで、試しにすくって飲んで見ると甘い味がした。


トロッとした甘さに果実の様な酸っぱさが口に広がる。


「あ、これってもしかしてあの川の水と一緒のやつ?」


少し体が熱くなってだるさが取れた気がした。


その代わりまぶたが重くなるのはまた酒の成分か入ってるからかもしれない。


でもさ、これにつかかれってどういうことだろう。


普通あの川みたいに飲むものではないのか。


どこからかあの川に繋がっていないか確かめようと、辺りを見渡したが排水溝も穴もない。


そして、これ以外にこの部屋には何もないし、扉もない。


あの水に見せかけて毒とかだったら恐ろしいので一度散策してみようか。


「……いや、もう飲んじゃったけどさ」


もしかしたら霧に隠れて扉が見えなくなっているだけかもしれない。








……と、思った自分もいました。


白い壁に片手をつきながら項垂れる。


なんたる時間の無駄!!!


結局隅から隅へと調べまわったが壁ばっかりで何にも霧なんてなかった。


そんなにこのプールに入って欲しいのか。


「あー。もう。ヤケだ!天野窿太郎、いっきまーす!」


槍を握ったままプールへ突っ込む。


あれ?


俺走れてる?


さっきまで歩くのもやっとだったのに。


不思議に思ったのも一瞬で、淵に足をかけジャンプする。


ドボンッと水しぶきをあげながら入水。


水が枠を飛び越して乗り上げる音がザバンと聞こえた。


水の中はレンガが見えるほど透明で、上を見上げるとあの時みたいにキラキラしていた。


激しくデジャヴです。


飛び込んでも足がつかないほど深い水に息苦しくなり、水をかいて浮上する。


「ブハッ!」


空気が冷たく感じるほど水面があったかく感じた。


って、痛くない…?


あれだけ擦り傷と貫通箇所があったのに沁みたりもしない。


自分の体がついに麻痺してしまったのかと思って腕を自ら上げて見ると、寒さは感じる様だ。


その反面、水に浸かっている部分がだんだん熱さを増して沸騰しそうになった。


そういえばずっと雪山用の服を着ていたから水の中では動きにくい。


即座に上着を脱ぎ捨ててプールの外へと投げる。


重ね着していたものは全部とったためかなり軽くなった。


服がどんどん積み上がっていく。


残ったのはVネック式の黒いシャツと白いズボンだ。


全部ボロボロに擦り切れているが気にしない。


それよりも、腕をまくった瞬間、その光景に目を疑った。


「傷が……なくなってる」


血が落ちて代わりに水が赤色に染まっている。


これって、もしかして癒しの効果があるとか?


いやいや、でも貫通した肩の穴まで肉とか血を埋めて繋いでくれるものだろうか。


ただ、体が熱くなったのは傷を治していたからだろう。


今はもう熱さは感じない。


疲労感も全くなくなったので、プールから上がってみる。


すると、今まで何もなかったかの様に体も服も乾ききっていた。


……傷もないし、水に触れてもないし…。


どうなってるんだ、これ。


服の傷が治ってないことを見ると、治癒効果は生きているものにしか効かないんだろうか。


聖水みたいなもんかな?


あ、一応服も洗っておこう。


脱いだ服を全部プールに突っ込んでジャバジャバと洗濯する。


さらに水は真っ赤になったが服は濡れてないし汚れも落ちた。


傷を無視すれば綺麗だ。


すごいぞこの水。


めちゃくちゃ洗濯に便利じゃないか!


くそっ、入れる容器がないのが悔やまれる。


突然くらっとして視界が歪んだ。


しゃがんで見るけど世界が回っているみたいに感じて気持ちが悪い。


「あ、これ」


酔った。


甘ったるい匂いが服とか髪に染み付いたのかプールから離れても匂いは治らない。


それどころかさっきよりきつく感じるぞ。


もう、寝てもいいかな、これ。


ベットがないのが残念だけど、サボリ魔として眠気に逆らうのは邪道である。


さて、万が一のために雪山用のグローブをつけて槍を握る。


そのまま壁に背をつけて座り込む。


これで準備万端。


脱いだ服はもう知らん。


「さて、おやすみなさい!」


誰に言ったのか俺自身もわかないけど、挨拶は大事です。










さて、本日は何回寝たんだろうか。


あれはもはや気絶レベルだったが、寝起きが気持ちよくないと俺の中では寝たことにならんのだよ。


だから、今回もノーカンです。


で、起きたらあいも変わらずプールがタプタプしておりますよ。


どうやって揺れているかは気にしないでおこうか。


「で、これはどっから出ればいいんだ?」


戦う前以上に元気になっている体をシャキッと起こしながら辺りを見渡す。


すると、入って着た方から反対方向に扉が出現していた。


……もう驚かんぞ。


疑問にも思わんぞ!


考えたってわからんからな!


どう考えても人外の力が働いているこの空間では抵抗など無意味だろう。


ずんずんとその扉に突き進んでバンッと勢いよく開く。


すると今度は廊下ができていた。


それもガラス製の廊下です。


「ここの人は割れるものが好きなんだろうか」


さっきの砕けた骸骨といい、指輪、パリンパリンという音しか最近聞いてない気がするぞ。


足を乗せると白い編上げブーツの底からカツンと音が響く。


見た目はツルツルなのに滑らない。


また魔法か?


何気なく進んでいると屋敷みたいな調度品が至る所にある。


その全て、絵画までもがガラス製というのはどういう感性なんだろうか。


なに描いてるのかさっぱりワカラナイ。


迷宮に迷い込んだ様に次々と別空間に出るのに辟易しつつ。


突き当たりまで歩いた。


…迷宮?


ここの世界は普通に人間がいるって神様は言ってたし、城があるなら都市や街があるってことだ。


この空間がこの世界独特だとすると、普通の人間が入らない様な空間に位置しているってことになる。


しかもそこにはあの鎧みたいな魔物が出る。


そのあとの報酬的な指輪。


壊しちゃったけど……。


使えなかったけど!


でも、魔物のものとなると金目の物にはなるかもしれない。


地上で金がないのは心許ないからな。





そして、ある一定の何かを終えた瞬間に次の道が開かれる。


それって、迷宮とか……ダンジョンって言わないか?


「え、ほんとファンタジー?」


魔法があるのはわかっていたけど、ここまでとは…。


ダンジョンって、上に続くか下に続くにつれてモンスターとかが凶暴になっていくやつだよな。


……もし、そうなら、俺が向かっている先って……。


そう思った瞬間に、次の扉を開く手を止めた。


まさか、どんどんダンジョンに潜って行ってるとか言わないよな!?


どっちが出口なのかわからない。


霳太郎には珍しい早歩きで前の扉へ戻り試しに開けて見るがロックがかかっている。


ガチャガチャとノブを回すが押しても引いても開かない。


進むしかないってことか。


ホラーゲームかっ!!


二度手間で先の扉を開くと、先もまたガラス製。


大広間みたいな場所に出た。


あの城のダンスホールみたいに広い。


ただ、窓ガラスはあってもその向こうは真っ暗。


ただ単にどこかのホールを模写したかの様なこじつけた空間はもの寂しさを感じる。


何にもないな…。


音を立てない様にして中央へと足を進める。


途端に音楽が鳴り響いた。


「っ!?びっくりした…。どこからだ……?」


頭上から響いているかと思って見上げてもシャンデリアが光っているだけだ。


確か、壇上みたいなものが二、三段の階段の上にカーテンを引いていた場所があったな。


そのカーテンの向こうかと思って振り返る。


カチリッ


「ヒュッ!?な、んだ?」


とっさに飛び退いた。


()()()から少しでも距離を取ろうと槍を構える。


いつからそこにいた?


音もしなかったのに…。


ドレス姿の長髪の女性。


…いや、人形か。


袖から覗く腕の関節が球体によって取り付けられていた。


カクカク動く動作は壊れる寸前の踊り人形みたいだ。


金髪のウェーブがかった髪はボサボサに垂れ下がって顔の半分を覆っている。


一歩一歩動くたびに口角をランダムに上げ下げするのはやめてほしい。


ただのホラーだから!!


中世ヨーロッパ式のドレスはすっごい似合ってるけど、その背に生えてる黒い羽と両手で持ってる馬鹿でかい黒鎌は全く似合ってませんよ!?


それを振り回すとか言わんよな?


淑女にあるまじき行為だと思うんですが!


カクカクと迫ってくる無機質な表情に恐怖がふつふつと湧いてくる。


いつ突進してくるのか。


と身構えていたら彼女は数十歩離れた場所で止まった。


そして後ろのカーテンがバッと開く。


その向こうには金色の扉が待っていた。


彼女をかわしてそこにたどり着けば……。


先手必勝。


俺の方から突進して、彼女の前へと出る。


下から振り上げられた鎌をさらっと避けて背後へと回り込んだ。


これで走るだけ。


視界の片隅に鎌の先端が映った。


「いっ!?」


とっさにしゃがむと頭上でシャキンという音が鳴る。


そのまま地面へぐさっと刺さった。


「へ?」


ガラスって硬いもんだよね?


そんなにサクサク刺すもんじゃないと思うんですがって、その腕どうなってる!?


彼女は俺に背を向けたまま鎌を振り回していたのだ。


つまり、振り上げた鎌をそのまま斜め下へと背後に動かしたんだ。


そのせいで不自然な体の形になってます……。


球体関節、万能ですね。


顔を引きつらせていると、音もなく鎌が引き抜かれ横薙ぎにされる。


前方へ飛び込んで回避。


そのまま扉へ走り出す。


だが、カクカクと一定の間隔で音がする。


その音量は変わらず付いてくる様だ。


ちらっと後方を見やると、人形は後ろ向きに走りながら鎌を振り回している。


「ちょっ!?なにそれぇ!!!」


鳥肌が全身に広がる。


すると、首がグリンと180度回ってこちらを向いた。


その顔は笑っている。


「ひっ!?」


もう妖怪です!


逃避速度をさらに上げて扉へすがりつく。


開いてくれっ!


突進する様に開くとノブが回った。


よし、開いた!


「って……おぉぉぉぉ!???」


足でブレーキをかける。


勢い余ってスライディングに。


開けた瞬間飛んできたのは黒い羽を持つコウモリみたいな生き物だ。


それも大量!!蛾の様にたかってくる。


その翼か顔に掠める度に、ほのかに熱い血液が喉を垂れる。


もうカミソリの壁といってもいいほどの量に、かすり傷を無数につけられる。


このままではミンチになるだろうと、あえなく後退する。


でもそこには…。


ジャキン!!


黒鎌の演舞が光の如き速さで繰り広げられていた。


「ですよね!!」


まさしくカマイタチ。


ここがホールでよかった。


逃げ場は結構広い。


鎌が見えなくなるほど振り回す速度は尋常ではない。


それをカンカンと槍でいなしながら壁際をつたう。


「んー」


こいつも魔法を使ったりするんだろうか。


試しに自分の魔法を打ち込んでみる。


バリッと手から槍へ雷を移動させて鎌を弾いた瞬間にそれを鎌へ移す。


鉄製であれば感電が可能かと思ったんだ。


いやでもさ、相手が人形だなんてさっぱり忘れるでしょ、戦闘中は。


髪の毛が爆発した様にボンバーになるが人形はのけぞっただけで効果はなかったみたいだ。


……ほんと、こいつに魔法とか聞くのか???


隙をついてむき出しの腕を叩くが硬い!


あの骸骨より硬いってどういう素材を使ってるんだ!


「耐久性が高すぎる……」


眉を寄せて観察するも性能の高さが際立っていく。


魔法も物理も聞かない。


次第にコウモリが扉から出てきて頭上でこちらを観察しているし。


天井にびっしり敷き詰められて蠢く様は気持ち悪い以外のものでもなんでもない。


こっちが消耗するだけで相手には一向にラチがあかなかった。


「クッソ…」


切れる所は髪の毛だけで他は殴打も通らない。


どうしろと!?


これってもうラスボスレベルだよね?


さっきからラスボスにしか遭遇していないんだが…この迷宮どうなってんだ!








壁に追い込まれた。


まぁ、この世界は重力があまり効かない様で、壁を蹴って人形の頭上をくるりと飛び越えることができた。


だが、その瞬間に槍の柄が何かに引っかかった気がする。


その一拍置いたあと、人形の足が隔離と不自然によろけた。


すぐに体勢を立て直した様だが。


これって…………。


もう一度、機会を伺って人形の頭上へと槍を薙ぐ。


すると、プチンッという何かが切れる音と共に人形が

カクンッと傾いた。


そうか。


操り人形だったのか……。


窿太郎はその事実にニヤリと口角を上げた。







宙を泳ぐでかい雷で出来た金魚を想像して人形全身にかかるよう、頭上でそれを弾けさせる。


少し時間はかかったけどこれなら躱しながらでも大丈夫。


すると、バチンバチンッという音の後、現れたのは先端が焦げてチリチリになった無数の糸だった。


そこから人形につながっていているからか、髪の毛まで静電気でボサボサになっている。


周りがガラスばっかりだったからキラキラしていて、糸が見えなかったのか…。


その、真上へと繋がる糸の先端を辿っていくと、頭上のコウモリたちへとつながっている。


まさか。


あの無数のコウモリ一体一体が操ってるのか!?


そういえばコウモリも飛び回ってたけどさ!


思いもよらない黒幕に半目になりながら糸を切ろうと槍を振り回す。


だが切った瞬間にコウモリからまた糸が放たれて人形にくっつく。


いたちごっこだ。


コウモリというより蜘蛛だろ、もう。


本体を殺そうと思って天井に魔法を打ち込むも、あいつらはヒラリと躱す。


全てがガラス性だからか、雷はピンポイントじゃないとダメージを与えられない。


しかし。


どれだけ広範囲の雷を使っても軌道を読んでいるかのように避けている。


面倒臭い…。


魔法を使い続けていると、首から下げている指輪が跳ねた。


あ、これ忘れてた。


もしかしたらこれを使ってあのコウモリたちを一掃できるかもしれない。







止まない人形の攻撃をスレスレで回避しながら、時に槍で滑らせ、時に弾いて隙に突く。


当たっても人形は髪を乱して仰け反るだけで、直ぐに耐性を立て直す。


そこで、その立て直される前に、頭上に居るコウモリ達へ向かって指輪をぶん投げる。


コウモリに直撃する直前。


パァァァァァンッ


と、鼓膜を振動させるような破裂音を聞き、目を見開いているその眼前にボトボトと重量のあるものが次々と落ちてきた。


「………………へ?」


黒い破片。


ピンク色の、柔らかそうな塊。


赤黒い液体。


血の雨がガラスの床を汚す。


カァァァンッ


と弾かれる音に視線を向けると、指輪が地面に跳ねていた。


「……この指輪、何なんだ?」


しかし、その飛び散った血のお陰で糸が濡れ、より鮮明に見やすくなった。


が。


何だか、窿太郎は複雑な気持ちであった。


「俺より指輪の方が力強いって、酷くないか……この設定」


糸を伝う血が人形に到達し、まるで人形から血が流れているように垂れていく。


その人形は、片手をダラリと脱力させても片手だけで鎌を振り回し始めた。


「っ!立ち直り早いな!」


だが、人形なんてどうでもいい。


コウモリを潰せば糸は再生されないことが分かった。


おそらく、人形各部位の担当が別れているのだろう。


コウモリも出せる糸は1本のみのようだ。






鎌を避けながら、指輪を拾う。


窿太郎は、壁へ走っていき、ジャンプして壁を蹴る。


くるりと体を捻って、人形の糸を10本一気に切った。


そして、糸が再生される前に指輪を握った腕を降って投げる。


また、破裂音が響いた。


血と肉の雨が窿太郎の頭上へ降り注ぐ。


人形はカクンッと片膝をついた。


左腕に続き、右足の糸が切れたのだ。


それでも片足だけで跳ねながら鎌を振り回す姿は、余裕ができた窿太郎の眼には滑稽に映る。


それを繰り返した末。


右腕以外の箇所は糸が切れたようだ。


しかし、上から人形を操っているため糸の力で人形を浮かせ、攻撃は止まない。


そのホラーに、窿太郎は辟易しながら最後の反撃に動いた。


地面を蹴り、壁を蹴り、直角に交差しているもう1面の壁を反対の足で蹴り上げ、天井へ突っ込む。


指輪をコウモリたちに当て、破裂音が鳴る前、槍を天井へあらん限りの力を振って突き刺し、下へ落ちないようにぶら下がる。


そして、破裂音と同時に雷を天井一面に這うようにしてほとばしらせる。


破裂の風に混ざった雷は、バチバチと力を増し次々とコウモリを炭にしていく。


いつのまにか炭が混じり、黒い風へと変貌した。


コウモリが全滅した頃、ガラスはパリパリと剥がれ落ちてきていた。


下を見れば人形が倒れている。


「ふぅ……」


一件落着かな。






安堵した瞬間、体がぐらりと揺れた。


「あれ?」


天井を見上げると、さっきの魔法の影響で天井がひび割れ落ちてきていたのだ。


ってことは、負荷が一番かかるこの場所って…。


「おぉぉ。ちょっと待て。この高さはいくら何でも、やばい、ってぇぇぇぇぇぇ!!!!」


願い虚しく一斉に音を立てて破片とともに落っこちた。


この高さ普通に落ちたら死ぬ!


死ななくても骨がバキバキになるって!


何か、緩衝材!


でも落下は防げても天井のつららのような天井な破片は防げない。


串刺しになるだけだ。


せめて、氷が砕ければ……砕ける?


砕く。


そうか!


「全部砕け!!壁も、床も全部だ!!」


雷に命令しながら四方の空間ガラス全てが砂の大きさになるまで砕けるようにイメージする。


今までで特大の雷を全身から放って衝撃を与える。


けたたましい音が耳にこだまする。


耳鳴りがして周りの音が聞こえなくなった。


落下速度がどんどん上がっていって地面が迫る。


何度か雷を打ち込む。


砕けた!


キラキラと氷の粒子が舞って上下前後が不覚になる。


これで足から着地すればクッション材で何とかなる。


…………って、思ってたのに。


「え、う、嘘だろ、のぉぉぉおおお!?」


地面が砕けた先にまた土か違う素材の地面があると思ったんだが、そこにあったのは穴だった。


砕けたガラスごと落ちていく。


黒い底なし沼のように淵に触ることもできずに落ちる。


下を見ると底から何かが伸びてくる。


あれって。


あれって……手か!?


「きもっ!!蠢いてるんですが!!」


悪寒が全身を駆け巡る。


その手に触れたら死ぬ気がした。


地獄を見ているみたいだった。


亡霊か何かだったのか。


本能があれはやばいと警告を鳴らす。


窿太郎はそれに素直に従った。


魔法を発動し、足元へ。


雷を円盤状に固めてそれを蹴る。


上空へそれを次々と作っていきそれを駆け上る。


金色の光扉は壊れていなかった。


そこへと続くように。


耳鳴りが続く中、ガラスの砂が反対にそこへと落ちていく。


扉の中へと倒れこむ。


すると、次の瞬間に背後の空間は閉じられた。


扉が閉じたのだ。


「ハァッハァッ。はぁ…スリリングすぎる…。どんなサバゲーだよ…」


あんな魔法の使い方思いつかなかったけど、死に際の人間って何でもできるんだね。


雷って、触れるんだ。


踏める事も初めて知ったぞ。


というか、最初からアレをやっておけば、こうならずに済んだかも……。


「はぁ……」


あぁ、もう寝たい…。


どれだけ危険な状況に遭遇してもその願望だけは捨てることはできなかった。

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