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écrin(エクラン) 2

***


カフェで一時間ほど過ごし、俺たちは店をでた。

大丸の横を通り、メリケン波止場の方へと歩いていく。

ビルの間から見える空は、青空で気持ちがいい。


「真也、ちゃんと場所分かってる?」


カフェで、嫌と言うほど地図を見せられ、大体の場所は把握していた。


「そこの道を、曲がって・・・」


大通りから、脇道に入る。暫く歩くと店が見えるはず。

しかし、あたりを見回してもécrinエクランという看板は見当たらない。


「ねぇ。大丈夫」

「さっきの雑誌、少し見せて」


せかす真理に手を差し出し、雑誌を受けとった。


「ザックリとした地図だな」


ため息とともに雑誌に視線と落とす。

大まかな大通り線と、目印になる大きな店の名前がその中に赤い点で場所を記され、お目当ての店は☆マークがついていた。


「多分、この当たりだと思うんだけど・・・」


辺りをキョロキョロと見回していると、背後から呼び止められた。


「何か、お困りですか?」


雑誌を持ち、辺りを見回している姿が観光客と間違えられたみたいだった。


「すみません」


どうせなら、このまま道を聞いてしまおうと振り返った時、真理が息を飲むのが分かった。

そこには、スラリとした長身で、黒とグレーの服で統一された男性が立っていた。

一重の切れ長で、闇の様に黒い瞳。

年の頃は近く感じるのに、落ち着いた雰囲気が俺より年上に感じさせていた。


「あの、このお店探してるんですけど」


「ああ、このお店。この地図だと分かりにくいですよね」


俺より早く、真理はその男性に声をかけていた。

確かに男の俺でも、目を惹く男前なんだから、真理がテンションが上がるのも頷ける。


「この店、大きな看板もないから分かりにくいんですよ。よかったら案内しますよ」

「すみません。助かります」


真理に続き、俺も軽く頭を下げ、歩き始めた男性の後に続いた。

男性の胸に抱えた紙袋には、焼きたてのパンが入っているのかいい香りがする。


「優しい人がいてよかったね。真也」

「そうだな」


「結婚されるんですか?」


見た目より少し低めの声に、ギャップを感じる。

でも、落ち着いたその声と話し方は、とても人と接することに慣れていて、接客か営業の仕事をしてるのかと考えてしまった。


「あっ、はい」

「そうなんです。エンゲージリングを探しに」


真理の答えに、男性は薄い唇が弧を描き目を細めると、一つ目の十字を右に曲がり足を止め、目の前のお店の段差を上った。


「それは、おめでとうございます。ようこそécrinエクランへ」


男性が我が物顔で開けたガラスの扉には、申し訳程度の小さな看板が付けられていて、

その看板には、écrinエクランと書かれてあった。


不定期と言ったものの、今の所毎日更新できています。

練習がてら 毎日更新を目標にしていますが

小説以外にも、手を出しているので

突然不定期になる事もあると思いますが、完結まで

お付き合いしてくれたら嬉しいです。


そして、 素敵なValentineを☆

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