ep.38
はい、こんばんわ。
続きです。
「僕、気になってたんだ・・・。君を見た時からずっと・・。」
確かにそう彼女、西園寺 翼は言った。
「「そ、それってどういうこと(ですか)!?」
と、その発言にいち早く反応したのは俺ではなく妃姉妹だった。
「おいおい、ふたりともどうしたんだよ?」
「な、なんでシュウくんはそんなに冷静なの!?」
「そうよ!まさか!ウチらよりあの女の方がお好みなわけ!??」
と、マイとムイがすごい剣幕で迫ってくる。
「ちょっ!落ち着けって二人とも!」
「そうだぞ。いくら二人がシュウのことを・・・」
「「それ以上言うな!!!」」
バキッ!!!!!
「ぐはっ!」
おお。なんか知らんが二人にパンチをもらってユーマが飛んでいった。
あれ10メートルはとんだぞ・・・。
「・・・・」
レイがユーマに駆け寄り首を振る。
・・・あのガタイのいいユーマを気絶に追い込むなんて
相当な力で殴ったなあいつら。
「・・・・」
くい
と、後ろで黙っていたナギサが俺の服の袖をひく。
「?どうしたナギサ。」
「・・・シュウはあんなのが好み?」
「・・・お前も同じこと聞くのな。
まぁ、たしかに可愛いと思うが好みかどうかと聞かれるとはっきりは
わからんな。」
「だ、そうですよ?マイさん、ムイさん?」
と、レイが顔を赤くしている姉妹に尋ねかける。
「へ、へぇ!そうなの!
まぁ、実はシュウの好みをそこまで知りたいってわけじゃなかったのよ!
ね?お姉ちゃん??」
「そ、そうなのよ!ただシュウやユーマが鼻の下を伸ばしたのがいけないのよ!」
「勘弁してくれ。そんな顔はしてない。
・・・ユーマは知らんが。」
「・・・シュウ。」
「・・・なんだ?」
「・・・私は知りたかった。」
「・・・今度教えてやる。」
「・・・ほんと?」
「ほんとだ。だからそのすそをそろそろ放してくれ。」
「・・・わかった。」
と、やっと放したか。
・・・おいおいけっこう皺がついてる。どんだけ強く握ってたんだよ。
「あっはっはっは!やっぱりおもしろいね、君たちのチームは!!」
と、見た目通りの快活そうな笑い声をあげる西園寺。
「しかも初対面の女の子に「可愛い」って言えるなんて・・・。
実は柊くんってプレイボーイ?」
「なわけないだろう。俺は客観的事実を言ったまでだ。」
「ふーん・・・。ま、ほめ言葉として受け取っとくよ!」
「そうしてくれ・・・。」
「それで、西園寺様は何か御用で?」
レイが俺たちが皆持ってるだろう疑問をぶつける。
「ん?特に用はないよ?
ただフラッと訓練所に来たら、柊くんがいたから声をかけたのさ。
前からお話してみたいって思ったしね!」
と、西園寺は両手を頭の後ろで組んでニカッと笑った。
本当、少年みたいな行動が似合う人だな。
「今は、今度の学内予選の話でも?」
と、次は彼女がこちらに質問をする。
「まぁ、そんなとこですね。
あまり時間もないですし。」
「私たち、GW中にあんまり都合合わなかったしね。」
「だから今日は猛特訓!ってわけ。」
すると、西園寺はその話を聞いて目を輝かせ始めた。
「それってさ!
実際に魔法を使ったりするのかい!??」
とやけに熱のこもった聞き方をする。
「・・・まぁ、ある程度は使うぞ?
連携の確認もしたいしな。」
「だったら!君の魔法もみれるかな、柊くん!!」
と、キラキラした瞳を俺に向けた。
・・・なんかあたらしいおもちゃを見つけた子供みたいだ。
「そういえば、なんだかんだで私たち少ししかシュウくんの魔法知らないわね。」
「そうですね。シュウ様の魔法は一度だけしか・・・。」
「しかもあの時のは相当インパクトが強すぎて。」
「・・・加えて正体不明。」
「・・・・」
俺以外のチームメイトが答える。
・・・確かに俺のあの魔法はおいそれと人には見せれないからな。
「え!?き、君たち柊くんの魔法を見たことあるのかい!??」
突然西園寺がマイたちにつかみかかる。
「ちょ!近い近い!!」
「あるにはあるけど・・・なんでそんなに興奮してるの?」
ムイが率直な疑問を聞く。
そしてマイから二歩離れ、そして少し罰の悪そうな笑顔で
「いやぁ、実は君を見つけた時から「柊くんの魔法が見れないかなぁ・・・」
なんて少し期待しててね!
それで、実際に見れそうだから興奮してしまってね!!」
西園寺は両こぶしを握って興奮を抑えきれないようにそういった。
「事情は分かったが・・・。なぜそんなに俺の魔法に興味をもつ?」
「それはさっきいたじゃないか!君を一度見た時からきになってたって!」
「・・・?それっていつの話だ??」
「はは!君覚えがないのは無理はないよ!!
っと、僕らの出会いの話は置いといて!」
おいおい、置いとくな。俺は今知りたいんだ。
「こうやってここで出会えたのは僕の運と君の運命が重なったからだ。
てことで!・・・」
と、西園寺はいたずらを仕掛けた時の少年みたいに笑い、こういった。
「僕と模擬戦しないかい?」
「シュウくん!本当にするの!?」
「あぁ、まあ俺の魔法がバレるっていうリスクがあるが。
それを差し引いても俺にもメリットがある。」
結局、俺は彼女の申し出を受けることにした。
そして今は、準備体操中だ。
・・・けがしたら元も子もないからな。
「シュウ様、模擬戦のメリットとは?」
「ん?まぁ、簡単なことだ。」
一つは、対人戦の練習。
今まで一人で魔法修練していた俺としては、実際に対戦して俺の現在のレベルを知りたいってことだ。
予選も全部対人戦だしな。
二つ目に、偵察。
立ち振る舞い、雰囲気、魔力からして彼女は相当の実力者のはず。
予選で必ず大きな壁になる相手だ。
今のうちに手を見ておこうってこと。
「と、そんな感じかな?」
「でも、大丈夫なの?
シュウくん、対人戦初めてでしょ?」
ん?あ、さっきの説明では誤解を生むな。
「いや、ちがうぞムイ。
今までって言い方をしたが、ここ4、5年の話だ。
ちゃんと対人戦のスキルは知ってるさ。」
まぁ、MATでのユーマとの戦いでは勘が鈍りまくってたからな。
ここらでちょっと戻しとくか。
「準備はいいかな?柊くん?」
「おう。いつでも来いよ。」
「では、私四谷が審判をさせていただきます。
ルールとしては魔法、武器等の使用は許可します。
ただし、相手を死に至らしめるような攻撃、または回復不可能な攻撃を加えた場合、即時負けとさせていただきます。
勝敗は、ギプアップか私が続行不能と判断した際に負けとなります。
両者、異論は?」
「ないな。」
「大丈夫だよー。」
「それでは、柊 秋様 VS 西園寺 翼様」
「始め!!」
読んでいただきありがとうございます。
いやぁ、チームの女性陣を見事にかき乱してますね西園寺さんは。
これからどうなっていくかは(恋愛方面で)作者も知りません。(笑)
女の子たちしだいってやつです。
今回もつなぎとなってしまいました。
次回は頑張って模擬戦・・・と行きたいのですが!?
内容はお楽しみです。
それでは、また次回。