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ep.29

2話目です。続きは時間があればUPします。

Side:舞衣


「すごかったね。」


「そうだね。」



私はムイとの帰り道。


こんな会話を何度も繰り返していた。



同じ言葉しか出せなくなるほど私は、私たちは圧倒されていた。



彼の魔法に。彼の魔力の奔流に。




「あれってさ、やっぱり?」


「うん。私以上だと思う。」


「お姉ちゃんよりって・・・。簡単にいうけど!


お姉ちゃんより上って相当やばいんだよ?」


「もう、わかってるわよ・・・」



自慢じゃないが私はかなりの魔力量、質を有している。


伊達に「八名家」の家に籍を置いているわけではない。


妹のムイは、まだ若干魔力の扱いに粗がある。


しかし、私は結構高いレベルの魔法が使えると自負している。


そこらの学生、社会の魔法師にも負けないくらいに、だ。



それでも、そんな私でも。


彼の魔法には圧倒されてしまった。



澄んだ魔力。どれほど高い質かがはっきりした。


迸った雷光。どれほど多くの魔力を込めたかはっきりした。




「なんで隠してるのかな?」


「?」


「だってさ、シュウはあんなにすごい力を持ってるんだよ!?


なのに、学校では3トリプルだし、みんなからさげすんだ目で見られたりもするし・・・。」


「たしかにそうね。私も同じことを考えていたわ。」


「「いた」って・・・。今はどうなの?」


「ムイは知ってるでしょ?


「大きな力」は尊敬、あこがれたりする。


でも、「大きすぎる力」はどうなると思う?」


「・・あ。」



どうやら気づいたみたいだ。




彼の力は「大きすぎる」。


破格の勢いで巨大だろう。



それをもつシュウは、万人からどう思われる?



ある人はこういうだろう。


皆を守る英雄ヒーローだと。



ある人はこういうだろう。


全てを滅ぼす悪魔デーモンだと。




そう一歩間違えれば破滅の道をたどってしまう。


いわば諸刃の剣、だ。



「だから、彼はおいそれと力を見せないのでしょう。」


「そうだよね・・・。シュウも・・・怖いよね。」



私たちにはその気持ちが痛いほど分かる。


私たちもそうなりうる力、血を受け継いでいるから。



「でもね・・・彼は私たちにその力を見せてくれたんだよ?」


「!!」



うつむいていたムイは、バッと顔をあげる。


・・・どうやらなにがいいたいか分かったみたいね。



「シュウくんは私たちを信じてくれたんだよ?


あってまだ時間もたってない私たちを。



あんな英雄にもなれる人から認めてもらったんだよ?


それって・・・とてもうれしいことじゃないかな?」


「・・・そ、そうだよね!


シュウは、私たちを信じてあの力を見せてくれたんだよね!??」


「私はそう思ってる。そうじゃないと辻褄が合わないもの。」


「・・・そっかぁ。そっかぁ!」



とたんに元気になったみたいね。


まぁ、暗くて落ち込んでるよりかはいいかもね。



「じゃ、ムイ。私たちがするべきことは分かる?」


「・・・・」



と、歩いていたムイが立ち止まる。


私はそれを振り返る。



ムイの目には、力強い炎が宿っていた。




「強くなる!!私が、私たちがシュウを支えられるように!


あいつが悪魔にならないように!」



「その通りね。彼がその力のことを話してくれるまで。」


「うん。」






「「強くなって、シュウの隣に立つんだから!!」」










Side:勇真



ドンッ!ドンッ!ドンッ!!



庭に銃声が鳴り響く。



もう夜も更けてきたが、うちの庭には防音の風魔法が張られているから近所迷惑になったりはしない。



かれこれ2、3時間はこうしている。


もともと魔力が少ない俺だ。


質も低いから、一発一発の魔弾を圧縮し威力を高める。


そのせいで身体的にも精神的にも正直キツい・・・。



それでも、どんなにキツくても!!




「まだまだやれるだろっ!!?『紅翼』!『黄鷹』!!」


俺の呼びかけに答えるかのように二丁の銃が淡く光る。



やっぱりこの銃はすげぇな。





シュウの魔法はすごすぎた。


開いた口が一時ふさがらなかった。


でも、「驚き」の後には。



とてつもない「喜び」が来た。



あいつは俺らに力の一端を見せてくれた。


絶対訳ありだろう。


俺には分かる。あいつはとてつもない闇を抱えている。




それを俺たちに見せてくれたんだ。


見せる相手を間違えば「恐怖」に陥れかねない力を。



あいつから、あいつの魔法からこう聞こえた気がしたんだ。



『お前らを信じている』って。



信じてもらえた。認めてくれた。


俺をそんな存在として見てくれた。



とてつもなく嬉しかった。字に書くと簡単に聞こえちまうけど。


本当にうれしかった。



学校で「落ちこぼれ」って言われている俺を。


あいつは初対面からずっとかわらず接してくれる。





今のグループで俺が一番弱い。



魔法に優れた姉妹。


防御に特化した7位(シングル7)。


ありえないほどの知識と記憶能力をもつ少女。



そして、とてつもない力を秘めた友達。



そいつらを後ろから見てるだけなんて俺には出来ねぇ。


やるからには前で体張って皆を守りてぇ。



漠然としていた学校生活に目標が見えた。




「己を知り 己を認めよ。


魔を知り 魔を極めよ。


武を知り 武を携えよ。


さすれば 目前に しるべ現れん。」




師匠がよくいっていた言葉の意味が、身に染みる。



俺は弱い、それは認めよう。


だけど、それはそのままでいいっていう言い訳にはならねぇ。



せっかく目標が出来たんだ。


導が現れたんだ。



それを達成しなきゃ、



男じゃねぇだろ?



なぁ、師匠。











今回は妃姉妹と勇真視点からお送りしました。

『類は友を呼ぶ。」

そんな感じです。皆、それぞれのことを大切にしたいという思いは同じなのです。

とくに勇真は秋とは、同じ訳ありとしてよくわかります。

つぎは、お察しのとおりあの二人です。

そして、秋の力にまた変化が・・・!?


こうご期待ください。


PS.感想、お気に入り登録、ありがとうございます!

これからも「魔法と学校と消えた魔術師」をよろしくお願いします!

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