ep.28
お久しぶりです、テストテストテストで更新ができなくてすみません。
今日は久しぶりに複数話UPする予定です。
お待たせしました皆様、どうぞ楽しんでってください。
「秋様。お疲れさまでございました。」
「はは。そんなに疲れてないよ。
ただ『術式』を一回使っただけだし。」
「あの術、『武御雷』。
前回わたくしが拝見した時より威力、質ともに段違いでございましたが・・・。
どのくらい魔力を込められたので?」
「あぁ・・・。やっぱり威力変わってたよね?」
「・・・と、仰るということは。」
「そう。込めた魔力はあまり変わらないんだよね。」
「・・・・」
「いや、むしろ少ないかもしれない。
なのにあの威力と来た。」
「『あの方』はなんと?」
「簡単にいうと『上手に使いこなせるようになれ』ってさ。」
込めた魔力は変わらない。しかし、威力は上がる。
これが意味するとは二つ。
一つは、「魔力の質が上がった」。
もう一つは、「内包する魔力が上がった」。
この前、爺に術を見せたのは、数か月前。
その短期間でこんなに魔法の威力が上がるなんて前例はいまだ嘗てない。
「てなわけで。俺はどうしてもこの力を扱わなければならない。
この化物じみた力をね。」
「・・・・・」
「・・・・まぁ、泣きごとは言ってられない。
これが俺の宿命で、かつ約束だからね。」
「今日の・・・。」
「・・・?」
「今日の秋様はとても楽しそうでございました。
やはり友人とおられる時のあなたは輝いて見える。」
「・・・そうかな?」
「そうです。それほあの方たちが大事なのでしょう?
だからこそ、あなたはあの方たちに『術式』をお見せになった。
違いますか?」
「・・・そうだな。たしかにあいつらに自分のことを少しでも
知ってもらいたかったっていう、幼稚な発想さ。」
「・・・・」
「俺が今日見せた力はほんの一端。
いわば氷山の一角だ。
そんな大きな力を持つ奴は疎まれ、恐れられる。
だから・・・俺はそれを確かめたかったのかもしれない。」
「あの方たちが、そのような気持ちを持たないかを、ですかな?」
「・・・・そうだね。」
「・・・ときに秋様。あなたが術を放った時の皆様のお顔は拝見なさりましたかな?」
「・・・いや、正直制御で手いっぱいで・・・。」
「ほっほっほ。それは残念でございますな。」
「??」
「あの時の皆様の顔には、疎み、恐れ、嫉妬・・・そのような暗い感情は浮かんでおりませんでした。
あなたが本当の力を見せてくれたこと。そしてあなたがあの方たちを信じているというのが伝わったのでしょう。
その顔はとてつもない喜びに満ちておりました。」
「・・・それは」
「本当でございますよ?
わたくしも伊達に年を取っておりません。
・・・それに。」
「それに?」
「あの時の・・・皆様のお顔はとても・・・
締まりのない表情でした。」
「特に・・・」
「ええ・・・。」
「「ユーマ(様)は!」」
「やっぱりな。」
「ええ。ゆるゆるでございました。」
ユーマのだらけた笑顔・・・。なぜか簡単に頭に浮かんでくる。
とてもバカで、締まりのない奴だけど・・・
「いい奴だよな。」
「ええ。ユーマ様だけではございませんよ?」
「分かってるよ。」
マイも、ムイも、ナギサも、レイも。
本当にいい奴らばっかりだ。とても俺にはもったいない。
「守らなくちゃな。」
「そうでございますね。」
「俺がもっと力をつけて、俺が守れるようにならないと。」
「失敗はだれにでもございます。
大切なのは、おなじ過ちを二度と繰り返さないことです。」
「・・・そうだな。」
俺はもう、同じ過ちは侵さない。
今度は、俺の手で。俺の力で・・・。
ピリッ
頭の中に電流が走る。
頭の奥にしまい込んでいたスイッチが浮かんでくる。
俺は
それを、そのスイッチを
切り替える。
「さて、それではやるぞ雨塚。」
「御意。手筈はいつもので?」
「いや、「半分」でいい。」
「!?それではあなたの体が・・・。」
「なんだ?私の体はそんなやわなものなのか?」
「い、いえ。滅相もございません。
出過ぎた真似をいたしました。」
「よい。私の体を気遣ってのことであろう。
・・・それでは、頼んだぞ。」
「は。」
「空間魔法『遮法界』。二重の界」
体がズシっと重くなる。
魔力の活性化もなくなり、逆によどんだ感じが体をむしばむ。
たってるのも億劫になる。
それでも、どんなにつらくても。
「守るって決めたのだから。」
そういって私は、この化物のごとき力を。
守るための力に変えるため。
術を幾度と紡ぐ。
今日は、自己紹介後の秋です。
色々な葛藤を抱えていた秋が、爺の言葉で改めて自分のやるべきことを再確認します。
さて、次は他のメンバーの視点で少しずつ書いていきます。