ep.24
お久しぶりです。PCがぶっ壊れて、なかなか更新できずでした。
これからまた続けていくのでよろしけです。
それではどうぞ。
「お待たせ。」
自室に戻り着替えを済ませた俺は、皆を待たせている和室へと向かった。
襖を開けると思い思いに寛いでいるようだ。
レイとナギサは向き合って畳の上で正座をしていて、
ユーマは大の字で寝転がっている。
・・・畳の感触を楽しんでるのか?
マイとムイの姉妹は、縁側で日向ぼっこをしている。
昼下がりの日の光に照らされて、木造の縁側に座る
黒髪の美少女二人。
なんかどこかの絵から飛び出してきたみたいにしっくりくる。
「おぉー、シュウ。おせーぞー。」
気の抜けたような声でユーマが声をかけてくる。
「すまん。着替えとかしててな。」
「シュウくんは、ユーマみたいにガサツじゃないからね。
そこらへんはきちっとしてるのよ。」
「だれがガサツなんだよー・・・」
いつものユーマのツッコミにも勢いがない。
それもそうだろう。
開け放された襖からは涼しげな風が入り込み。
春麗らかな日差しも入り込んでいて、昼寝にはピッタリな時間帯だ。
ユーマをおちょくっているムイも、春のまどろみにやられたのか。
張合いがなくても怒ったりはしない。
ムイもユーマと同じで和みたいんだろう・・・。
「畳なんて久しぶりですね。私の家はフローリングですし。」
「??確かレイの家もうちのような和風の家じゃなかったか?」
「あぁ、こちらの学校に来る際に引っ越したのですよ。
今は学校の近所のマンションで一人暮らしですよ。」
「そうだったのか。」
「はい。・・・そういえば月島さんも同じマンジョンだった気がしたのですが。」
と、レイが思い出したかのように言う。
「そうなのか、ナギサ?」
「・・・・そう。一人暮らししてる。」
そうだったのか。
しかし、こうしてナギサをみると一人暮らし出来るような感じはしないんだよな。
なんか、雰囲気的に・・・家事とかできなさそう。
「・・・シュウ。失礼なこと考えてる?」
!!なんだその冷ややかな目!
そ、そういえばナギサは、洞察力はバカみたいにずば抜けているんだよな。
・・・下手なこと考えてたらどうなることやら。
「い、いやなんでもないぞ?」
「・・・そう。」
若干不満げながらも、ナギサは納得してくれたようだ。
・・・もっとポーカーフェイスでも鍛えるかな・・・
「ふぃー!食った食った!!」
「うん!おいしかった!」
「そうだねー!シュウくんって料理上手なんだね。」
買ってきた材料を使ってカレーをつくった。
あまり手間もかからないし、量を大目につくっても困ることはないからな。
一応、市販のカレールーだけじゃなくて、香辛料とか使って
オリジナルの味付けをしている。
「うちの味付けは特殊ではないか?」と危惧したものだが・・・。
どうやら杞憂だったようだな。
・・・とはいっても、こんなに食べてくれるとはな。
とくにユーマと、意外にもナギサが一番お代わりをしていた。
体格は二人では20センチ近くちがう。(ユーマは大体180。ナギサは160ないくらい。)
なのに、食べた量はほとんど一緒。
「いったいその小さい体のどこに入っていくんだ?」
と、俺は率直な疑問をこぼした。
返したナギサの答えはただ一言。
「・・・胃。」
・・・んなもんわかっとるわ。
「さて、それではお待ちかねの自己紹介タイムと行きますか!」
「別にまってないし。しかも何で急にテンション上がってるのよ?」
「だってよ!6人いるってことはちゃんと『魔導闘演武』の予選に出れるんだぜ!?
これがテンション上がらずにいられるかよ!」
「たしかに、この前までの私たち4人だったら出場資格なかったしね。」
「そうだな。それを踏まえてもナギサとレイにチームに入ってもらってよかった。」
と、俺たち四人はそれぞれ感謝の気持ちを二人に送る。
「いや、そんな感謝だなんて。」
「・・・照れる。」
二人とも少し顔を赤くしていた。
「んじゃ、改めてってことで!
もっかい皆自己紹介しとこうぜ!」
「そうね。私たち4人だけの理解じゃ、チームとしてだめよね。」
と、ユーマの一言で自己紹介の流れになった。
・・・ここで俺は一つ考えが浮かんだ。
「・・・なぁ、ひとついいか?」
「ん?どうしたんだ、シュウ?」
「ただの自己紹介だったらつまらないからな。
今から順番を決めて、紹介は『自分のこと』だけじゃなくて。
『自分の魔法』もしくは、『自分の特技』も教えることにしないか?」
と、俺の発言をいち早く理解したレイが口を開く。
「なるほど。私たちがこれからしていくのは団体戦。
勝ち進む、強くなるにはやはり連携が必要となりますね。」
「そうね。これから何回も見る機会はあると思うけど・・・
やっぱり早いうちにメンバーの魔法の特徴は抑えとくべきね。」
レイに続いてマイも補足してくれる。
「そうだ。まぁ、いうならこれから俺たちは一心同体。
どんな困難も俺たちの力で超えていかないといけなくなる。
・・・ってかっこよくいっても、チームワークのキッカケ作りかな。」
と、俺はおどけて見せる。
「おう!俺はいいと思うぜ!」
「私もいいかと。」
「ウチもいいと思うけど・・・。『魔法』をみせるなら分かるけど・・・。
もう一つはどうして『特技』にしたの?」
「うーん、理由はいくつかあるが・・・。
大体は俺のわがままかな?」
「わがまま?」
皆が首をかしげる。
「皆・・・ってナギサは知らないかもだけど。
俺は、今自分の力を隠しているんだ。
話すべき時が来たらちゃんと話すけど・・・今は無理だから。
それで、皆に見せちゃうと色々まずい『魔法』とかないわけじゃない。
だから、『魔法』でもいいし、自分が誇れる『特技』でもいいっていったんだ。」
「そうなの・・・。まぁ、今は問い詰めないけど。
いつか話してもらうからね?絶対・・・。」
「おう、必ず。」
「んで、理由はそれだけなのか?」
「いや・・・。まぁ、俺の生き方ってか考え方として。」
俺は一度言葉を切って隣に座っている少女の頭に手をポンと置く。
「『魔法』だけが、そいつの実力じゃないだろ?」
と、皆の視線は俺の掌のした・・・ナギサに向けられる。
ナギサはキョトンとした顔になる。
「『魔法』を使わなくても、俺たちのチームには必要だろ?」
そう、他の4人に問いかける。
『必要』。それは他人に認められている証拠。
今、『必要』とされなければ、彼女はまた居場所がなくなる。
だから、ナギサは皆に壁を作らざるをえなかった。
『不必要』とされたら、もう耐えられなくなるから。
ナギサは恐る恐るといった感じで俺の問いかけを聞いた4人を見る。
「当たり前だろ!?『魔法』がその人の全てじゃねえし!」
「私も吉柳様と同じ意見です。」
「そうそう!『魔法』以外のことで頑張ってるナギサを必要としないなんて・・・。」
「・・・ありえないよね??お姉ちゃん!」
それぞれの答えを聞いたナギサは目を見開き驚いた顔をする。
そのあと泣きそうな顔をして・・・そして花が咲くような笑みを浮かべて言う。
「・・・ありがとう。」
ナギサは『魔力』を扱えない。これは『魔法』を扱えないと同義だ。
いずれわかってしまうことだが、それはいつかチーム内に広まる。
だったらこのチームの始まりで、皆の気持ちをナギサに知ってもらわないといけなかった。
皆、ナギサを『必要』としている気持ちを。
・・・これで、ナギサの壁がなくなるといいが。
まぁ、この面子なら大丈夫だろう。
掌の下のさらさらした髪をなで、笑顔を浮かべるナギサと。
それを囲む自分の仲間を見て。
俺は、そう確信していた。
秋は、渚の居場所を作ってあげたかったんですね。
それと、秋は自分が力を隠していることを隠しません。
・・・わかりにくいな(笑)
とにかく、力が解放されるその日にはきっとすべての事情を話すでしょう。
信頼する仲間へと。