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ep,22

よろしくお願いします。

「レイ、いるか?」


俺は、明日の予定を伝えようと隣の2組に来ていた。



「悪い、四谷いるか?」



扉口の近くにいた男子生徒の集団に話しかける。



「四谷・・・?あぁ、怜くんね!


怜くんだったら、屋上にいるよ?」


「屋上?」


「うん。放課後になったらいつも行くみたいだから。


今日も一人でいるんじゃないかな?」


「そうか、わかった。


ありがとう。」


「いえいえ。」






「んで、こんなところで何してるんだ、レイ?」



普段は締まってるはずの屋上の扉が少し開いていて、


開けるとその先にレイがいた。


ほんとに一人でいるようだ。




「これは、シュウ様。どうしてここに?」


「ちょっとお前にようじがあってな。」


「私に?」



とはいえ、こいつイケメンだな。


ここは屋上で少し風が強い。


その風がレイの少し長めの黒髪をかき上げ、

コイツの整った顔立ちと相まって、


なんか神秘的な雰囲気を創り出している。




「はぁ、どいつもこいつもイケメンってやつは・・・」


「??どうかなさいましたか?」


「いや、なんでもない。


ちょっと、憎悪の炎を燃やしていたところだ。」


「!?」


「冗談だ。そう固くなるな。」


「そんな殺気をぶつけておいて、ほんとに冗談だと・・・?」


「すまん、無意識だ。」





「明日ですか?」


俺は、レイに明日の予定を聞いた。


「明日の午前中は、鍛錬ですね。


休みの日の午前中はもっぱら鍛錬や稽古の当てております。」


「そうなのか、熱心なんだな。」


「いえいえ、だれかさんの影響ですよ。


だれかさんの。」


「さぁ、だれだろうな?」


「とにかく、私の明日の予定はそれ以外ございませんが・・・


なにかあるので?」


「いや、大したことじゃない。


明日の、午後にするか。


チームのメンバーで顔合わせしておこうと思ってな。」


「なるほど、わかりました。


場所と時間は?」


「それはまた連絡するよ。


レイは参加、ってことでいいか?」


「もちろんです。それでは連絡お待ちしております。」




というと、レイは屋上から出ていった。





・・・・・・




おい、ここのカギどうした(笑)














「てなわけで、明日・・・」


「いいよ。」


「話は最後まで聞け・・・。」




レイと同じように、ナギサにも明日の予定を聞きに行ったのだが。


なぜか即答されてしまった。



「・・・それで?」


「あぁ、明日の午後からチームのメンバーと顔合わせ

したいと思ってな。


ナギサの予定を聞きに来たわけだが・・・。」


「・・・明日は予定はない。


本を読むつもりだった。」


「そうなのか?


だったら、参加でいいか?」


「・・・・ん。


詳しいことはまた教えて。」



と早足で図書室から出ていこうとする。


かなり急いでいるようだ。



「今日なにか予定があるのか?」



と聞くと。



「・・・・新刊の発売日。」



まったく、お前らしいよ・・・・。










「時間は、午後1時でいいか。


場所は・・・・一応、学校の正門に集合して決めるか。」



と、あらかたの予定を決め皆にメールで送る。


メアドは聞いていたから楽だった。




「・・・・よし、完了・・・と。」



携帯の画面に、『送信完了』の文字が光る。






「・・・さて。


次は、『受信』するか。」







『拝啓 四代目様。


前置きもなく、申し訳ございません。


しかし、時間が惜しいので挨拶を省略させていただくことを

ご了承ください。



先日、『子家』の当主で話し合いを設け、

今後の対策などを決めたため、


私から『師家』のほうに報告させてもらった次第です。



本題の、「復活」に関してですが、


「八千代」からの情報では、もうあまり猶予はないようです。


長く見ても3か月ほど、と申しております。


それまでの期間、『師家』のほうにも危険が及ばないとは

限りません。


そこで、「四谷」の息子を護衛に向かわせました。


もう、お会いになったでしょうか?


まだ未熟な面は多々ございますが、あれの忠義はきっと

『師家』を支えてくれると思っております。



これから我々『子家』は、「復活」までに力をつける所存。


『師家』も、力を閉ざされ過ごしづらい日々を送っていることでしょう。


しかし、四代目が力を取り戻し、我らの力を頼りたいとおっしゃるなら。


「子家」の九家は全力をつくします。



まずは、「演武」の予選。


ぜひとも頑張っていただきたい。



何かあればあって連絡いたします。



敬具 「子家」棟梁 一橋家当主 ながれ





「なるほどな・・・」



一通の手紙を読み終え、俺は息をつく。


「復活」が始まれば、俺の正体も明かさなければならない。



3か月といえば、おそらく「演武」の全国本選の時期。


それと重なっているということは。



「・・・あのババア。図りやがったな。」



今年度からの校則の変化。


きっと、これを見越しての対策だろう。





日本の魔法力は、世界でもトップに近い。


それゆえに、毎年「魔導闘演武」は全世界でTV中継される。





てことは、俺はその本選に出場し


全世界に向けて、俺の正体をさらさなければならない。


そして、「復活」に真正面から相対し。



それからの戦いに身を投じなければならない。





それが俺の運命。


あの時、俺が背負うことになった宿命。






『なんだ?今になって不安になったか?』



どこからかそんな声が聞こえる。



そんなわけないでしょう。


もう腹は括っています。



『そうか。ならばよい。』



今日は、なにか用があるので?



『少し、お前の制約を変えようかと思ってな。』


俺の・・・制約??



『封印の強さのレベルを下げ、お前が扱える力を

多くさせてもらった。


それでも、全力からすれば微々たるものだがな。』



!!


・・・この制約が解ければ、感づかれるのでは?



『とはいっても時間がない。


急に解放し、力を扱えなくても困る。』



・・・・



『丸一年も使っていない力だ。訛っていたら惨事になる。』



・・・・わかりました。


ご配慮、ありがとうございます。



『気にするな。もう私にはほぼ力は残されていないが。


お前の行く末はしっかり見届けよう。』





声はもう聞こえなくなった。


左手を見ると、指輪が少しだが光を放っている。



1年前につけることになったこの「制魔の指輪」。


階級は忘れたけど、かなり・・・いや相当高いものだったはず。



その指輪から漏れる光・・・。


そろそろ、これでも抑えられなくなってきたか。



封印がすべて壊れるよりも。


封印を緩め、なるべく封じておこうと。




「・・・・・」


目を閉じ、体内に流れる魔力に意識を集中させる。



分かる。


封印を少し緩めただけでこの魔力量の増加。


扱いがむずかしくなるが。



『魔力』と『封印』のバランスをしっかりとらないといけない。


もっと腕を磨かないと。



また失うことになる。


また目の前から立ち去ることになる。




「俺は、今回は・・・ちゃんと守れるのか?」



俺のつぶやきは、輝く左手の指輪とは対照に。



小さくて、弱弱しいものだった。








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