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ep,19

「お疲れ、二人とも。」


「うん、ありがと!」


「ふぇー、また負けちゃった・・・。


お姉ちゃんに勝てる日って来るのかな?」


「うん、一生来ねぇな。」


「うっさい!!ユーマには言われたくないしっ!


ユーマもまだお姉ちゃんに一勝もできてないじゃん!」


「お、お前!言ってはならんことを!」


「ちょっと、ふたりとも落ち着いて?」




今は、実技授業。


今回は、自分の力を見直すため・・・という名目で

魔法アリ、武器アリの模擬戦が行われている。


もちろん対戦方式はタイマンだ。



たった今、マイとムイの姉妹対決が終わったところだ。


正直、かなり見ごたえのある試合だった。



さすが、この学年の上位に食い込むほどの

実力者である。




結果的に、マイが勝利したが二人の間に

そんなに差はないような気がした。


しかし、試合の明暗を分けたのは、



ムイよりもマイのほうが魔法を効果的に

使えていたことか。


まぁ、お互い17歳の学生である。


ここまで戦えたら十分だろう。





「よし、いくぞシュウ!」


「おう。」



次は、俺とユーマの対戦。


一応、俺の知り合いで一番ランクが近いのがユーマだし。


対戦を申し込まれたので、引き受けたってわけだ。




「頑張ってくださいね?シュウくん。」


「シュウ、やっちゃえ!!」


「あ、あれ?俺に激励の言葉は!??」


「・・・・・」


「・・・・・」


「もういっそ清々しいわっ!お前らっ!(泣)」






「さて、やるか。」


「そうだな・・・・ってシュウ。


お前、武器はいらねえのか?」


「ん?


あぁ、さっき学校の備品を見たがいまいちだったしな。」



しかも、俺には普通の武器・・・・・は使えないしな。





「ふーん、そうか。


ま、武器がないからって手加減はしねぇし、

言い訳もなしだぜ??」


「無論だ。」




お互い、開始線まで下がり合図を待つ。



ユーマが手に持っているのは、拳銃。


魔法銃マジックガン」といわれるもので、

自らの魔力を弾丸にして飛ばすことが出来る。


使い手の魔力の質によって、威力、射程距離などが変わる。




(たしか、ユーマの質の評価は「D」だったはず。


それでも距離を開けるのは得策ではないな。)



相手は銃、対して俺は素手。


俺は魔法を使わないので、相手の懐に飛び込んで

銃のアドバンテージを消すしかない。


ユーマの「MA」はBだけど、銃がかえって邪魔になり

動きにも隙が生じるはず。




狙いは近接格闘インファイトだ。



(まずは、様子見かな?


あいつの射程距離も知りたいし・・・・。)




「両者、準備はよろしいですか?」


「ああ。」


「OK!!」






「それでは、はじめ!」










「・・・・・・っ!!?」



始まった直後、完全に様子見しようと思っていた俺は

度肝を抜かれた。


遠距離攻撃が得意なはずの「銃」をもったユーマが



猛スピードで俺に接近・・・・・してきたからだ。




「はっ!」


「!?」



と、ユーマは俺の懐に入り腹に正拳を入れる。


とっさに反応した俺は腕でガードをし、

バックステップで距離を取る。




(・・・くっそ、どうゆうことだ?)



なんで、銃を持ちながら格闘ができる?



「見かけに騙されちゃ・・・




駄目だぜ!?」




と、ユーマが再び距離を詰める。


「くっ!!」



ユーマの接近にあわせカウンターを決めようとする。



「ふっ!」


顔面を狙ったはずのこぶしを軽々と避ける。


そして、ユーマは俺のこぶしの勢いでそのまま投げ技に入る。


柔道でいう一本背負いの要領だ。




「おっと!」



投げられ体制を崩したら相手の思うつぼだ。


ユーマの背負いからうまく抜け出し、

また距離をとる。



(ペース乱されてるな・・・。


とにかくあいつの戦法をどうにか判明させないとな・・!)




「おらおら!防戦一方じゃ俺には勝てねぇぞ!」



ここで、改めてユーマのスタイルをみる。


するとすぐ一つ違和感に気づく。



(あいつ、銃を・・・!?)



「気づいたようだな!


俺の戦い・・・・・にな!」




ユーマは、銃のグリップを逆手に持っていたのだ。


それにより、銃口が邪魔にならず

相手をしっかりこぶしでとらえられる。


なんか、トンファーみたいだな。



(だったら、銃を持つ必要がないんじゃ・・?)



と、そんなことを考えているとまたユーマが接近してくる。



少々慣れてきた俺は、ユーマの攻撃をさばいていく。


こぶしを受け、けりを流し、手刀を払う。




「はは、すげぇな!


ここまでふせがれたのは、!久しぶり!だぜ!」


「せいっ!」


と、ユーマの攻撃の間あいだで、俺も反撃を入れれるようになってきた。


その一発がユーマのボディに向かう。




ガンッ!!


「つっ!!」


なにか固いもので防がれた。


こぶしの先には、拳銃がある。




(くそ!応用ききすぎだろ!)



頑丈である銃を盾に使う。


接近戦をするユーマしか考え付かないやり方だろう。




「ふー、あぶねあぶね。


やっぱ、ちょっとずつ慣れてきやがったか!」


「ま、いっぱいいっぱいだがな。」


「はっ!俺の攻撃をほとんど裁いておいて

よく言うぜ!」



奴の言う通り、ユーマの攻撃はすこしずつだが

受けれるようになってきた。



「だけど、まだまだだぜ!」



(!はやくなりやがった!!)



ユーマが先ほどよりも早く俺の懐に入ろうとする。


(だけど・・・っ!)


ここで下がったら相手に主導権を渡しっぱなしだ。



「・・・っ!」


俺も足に力を籠め、あえてユーマに近づく。



「せいっ!」


「っ!」



一段と重くなったこぶしを受け止める。


(でも・・・・!)


まだ、さばける!流せる!



と、ユーマの攻撃を流しているとき、


一瞬だが、ユーマの腹に隙が見えた。



(ここだっ!)


と、会心の一撃を入れる・・・




ドウンッ!


「っつ!!!」



ユーマの腹を狙ったこぶしが、



ユーマのもつ銃に撃ち抜かれた。




「はは!あぶねぇな!


少し隙をみせたらこれだもんな!!」



「く!」



「ほら、いくぜ!?」




接近したまま、ユーマは銃を撃つ。



狙われているのは、俺の脚。



(足に受けたら、避けられなくなる!)


と、一度回避に専念する。





しかし、それは罠だった。



「!??」



足元の銃に注意し、避けていたら。


ユーマが繰り出すパンチに気づけず。


そのまま顔面にくらってしまった。




「そこまで!」



くそ、もろに顎を撃ち抜かれた。


頭がぐらぐらする。



「おい、シュウ大丈夫か?」


「あ、ああ。問題ない。」


「そうか、だったら俺の勝ちだな!!」




「シュウくん、大丈夫??」


「大丈夫だ。それにしてもユーマのスタイルには

驚いた。」


「だろ?初見のやつはだいたい驚くからな!」


「それにしても、なんで・・・・」


「なんで銃使いなのに、接近戦をしかけるか?だろ?」



その通りだ。


ユーマを銃使いとするならあの戦い方は

変わりすぎてる。



「あぁ、あれはいろんな理由があるんだ。」


「理由?」


「あぁ、また機会があったら話すよ。」


「そうか。」





「おい、あいつすげぇな。」


「あぁ、隣のクラスのやつだろ?」




と、クラスメートのそんな会話が聞こえる。


ふと、そちらをみると



圧倒的な試合が広がっていた。


対戦してるのは、男生徒二人。



一方は、あらゆる遠距離魔法を相手に打ち込んでいる。


威力はわからないが、手数はなかなか多い。




しかし、驚くべきはそこではない。



相手はその魔法を一つもうけていない。


しかも、一歩も動かず。




「すごいわね、彼。」


「すごく厚い魔法壁を張ってる。」


「たしかあいつは・・・・」



四谷よつや れい


「シュウくん、知ってるの??」


「あぁ、まぁちょっとした顔見知りさ。」


「そうなの??」


「おまえ、いつのまにあんなすごい奴と知り合ったんだよ・・・」


「まぁ、色々あってな。」






キーンコーンカーンコーン


授業の終わりを告げる鐘がなる。


今日はこのまま終礼をして放課後だ。




「柊くーん」


と、後ろから九条先生か呼ぶ声が聞こえる。


「なんですか、先生。」


「ごめん、これ用具室に片付けといてくれない?」


「ええ、構いませんよ。」


「ありがとう、じゃよろしくね?」




「てことで、先に教室に戻っておいてくれ。」


「わかった。終礼には遅れんなよ?」


「おう。」


「じゃ、またあとでねー」











「よし、ここでいいか。」


九条先生からの頼まれごとを終えて、

俺は教室へともどる。



と、道の先に誰かがいる。




四谷 怜だ。




彼は、俺のほうを見据え真っすぐ歩いてくる。



俺の少し前で立ち止まり。



そして、





俺に膝まづいた。




「お久しゅうございます。四代目。」


そう、俺に言った。














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