ep.1
これはまだものがたりの序章です。
ゆっくり楽しんでください。
では、どうぞ。
目を覚ますと辺り一面真っ白な空間。
見渡す限りの純白で、自分の存在自体も霞んでしまいそうな。
そんな場所。
(この場所、魔力が活性化している・・・。)
魔法の源となる、「魔力」。
視認は出来ないが、肌がピリピリとする感じは間違いはない。
学校で何度も体感してきたことだ。
(俺、やっぱり死んだのかな・・・・?)
記憶ははっきりしてる。
俺は学校で、あいつらを助けるためにあの魔法を使った。
禁じられていた魔法を。
(あいつらはちゃんと助かったかな?)
気になるのは、自分が助けようとした人たちのこと。
楽しいとき、辛いときもいっしょに過ごしてきた仲間のこと。
もう少ししたら、同じ高校にいって、
もっともっと魔法の能力を高めるつもりだったのに。
もっともっとたくさんのことを学びたかった。
もっともっとたくさんあいつらと遊びたかった。
でも、俺はもう・・・・
「お前はまだ死んでない。」
ーーー!!
どこからか声が聞こえる・・・。
「お前には力がある。」
力?
俺にはそんな誰もが羨むような力なんてない。
「それはお前が気づいてないだけだ。」
・・・・・
もし力があったとしても、もう俺はあの場所には戻れない・・・。
「それはお前の本当の思いではないだろう。」
本当の・・・思い?
「お前はどうしたい。」
ーーー俺は・・・
「お前は何を望む。」
ーーー俺はもう一度・・・。
「あの場所に戻りたい。
あいつらともう一度一緒に生きたい。」
「それには相応の対価、重荷を背負うことになる。」
「それでも構わない。」
戻れるならば、
俺はどんな苦難も乗り越えよう。
どんな運命も受け入れよう。
どんな使命も請け負おう。
「その覚悟があるならば、文句はない。
お前には私の全てを受け継いでもらおう。」
・・・全てを?
あなたは一体だれなんだ?
「今は答えることは出来ない。だが、名を明かすことはできる。」
名を明かす?
「もう一度聞こう。お前に全てを背負う覚悟があるか?」
・・・・・・
もちろんだ。
「よかろう。ならばお前が受け継ぐその名は・・・。」
『天導』
「この名の重みはきっと後に分かる。それでは行こう。
我が後継者よ・・・。」
こうして俺の第二の人生が始まった。