一日目
まな板を包丁があたる音が聞こえる。
夢か…あれ…昨日俺何してたっけ…
「あっ、やっと目が覚めたね!」
女の子の声が聞こえる…って、女!?
慌てて飛び起きるとたしかに台所に女の子が立っていた。
「寝惚けてる?ちょっと衝撃が強すぎたかな?」
冷静に考えてやっと思い出した。
そう言えばこの女の子は死神で俺は大鎌に切り裂かれて気を失ったんだ。
「…あれ?特に傷ついてない…?」
「あぁ、あれは魂を削り取る鎌だから外傷はないわよ」
「ってか、ホントに死神だったんだね…」
「そりゃねー。冗談だと思った?まあどっちにしろもう後戻りはできないけどね」
そうか、俺はもう一週間の命になってしまったのか。
「そう言えば自己紹介してなかったよね。今日からあなたの彼女になるマナです!年齢は500歳…ああ、これは死神界だけど…人間界ではまああなたと同じくらいって考えて!」
なにかとてもテンションが高くハキハキしている。
「えーっと…悠斗です。よろしくお願い…」
「ねぇねぇ、なんて呼ばれたい?」
悠斗の言葉を遮りマナが質問する。
「んー…よくわからないから適当にお任せで…」
「なにそれー恋人同士の意味わかってる!?じゃあねー…ゆうくんね!」
生まれて初めてそんなふうに呼ばれた。
かなりってか、物凄く気恥ずかしい。
「ゆうくんもうちょっと待っててね!いまご飯できるから」
マナは鼻歌を歌いながら料理を作っている。
俺の家の台所で女の子が料理してるとはにわかに信じがたい光景である。
まあ死神だけど。