契約(2)
「そ・こ・で、相談!今までの人生で味わえなかった、そして今後も味わえないだろう幸せをいま与えてあげる!心残りのない人生にしてあげる!…その代わりわたしに命をちょうだい」
「え…あ、うん…」
「…ん?結構わかりやすい説明だと思ったんだけどダメだった?」
「うんと…どうやって命をあげればいいんだ…あとは幸せってなにをくれるんだ…」
女の子はその言葉を待っていたかのように嬉しそうな表情で勢いよく答えた。
「命は『契約』って言って、わたしの力で一週間後に安楽死するようにできるの。だからその一週間で後悔のない幸せな人生にしてあげる。で、肝心の幸せについてなんだけど…」
「う、うん…」
思わず息をのむ。
「私があなたの彼女になってあげる」
「…へっ」
予想外の答えに戸惑ってしまった。
「1週間の間、わたしがあなたの彼女になってなんでも言うこと聞いてあげる。これじゃー不服なの?」
「いや…俺の命はそれだけの価値なのかと…」
「なに言ってるの?この先、何十年生きてたとしてもこんな美少女と付き合えると思う?というか知り合う機会すらないんじゃないかなきっと」
「まあそう言われれば…」
しかし自分で自分を美少女というのはいかがなものか。
「でしょでしょっ?どうする?嫌なら私は帰るけど。私とエッチしたくない?」
『エッチ』という言葉に思わずドキリとしてしまった。
「さあ決めて!契約する?どうする?」
「いやでもさすがに死ぬのはちょっと…」
女の子はとてもがっかりとした表情をし、深くため息をついた。