ロゼヴェリタ・フェレス公爵令嬢の確立された運命
「貴様の命、頂戴する!」
亡き王太子の側近の男は、凄まじい剣幕で、ロゼヴェリタ・フェレス公爵令嬢を剣で突き刺した。
「ぐふっ」
ロゼヴェリタは吐血し、よろよろと後退りしながら、地面に倒れ込んだ。
「王太子の仇!」
男は叫びながら、ロゼヴェリタを何度も突き刺す。刺されながら、ロゼヴェリタはこれで死ぬのは何度目だろうかと数え始める。
☆☆
ロゼヴェリタはいわゆる転生者だった。生前は小学六年生の深山才華という女の子だったが、同級生に遊び半分で階段から突き落とされ、亡くなった。
気が付くと、大人気乙女ゲーム『ロゼヴェリタ・フェレス公爵令嬢の確立された運命』の主人公――ロゼヴェリタ・フェレス公爵令嬢に転生していた。
ロゼヴェリタは王太子を殺害し、逃亡した悪役令嬢。王太子が死の間際にかけた呪いによって、死のループに巻き込まれるストーリーだった。
ロゼヴェリタに転生してから、王太子の側近の男によって何度も殺された。首を切断されたり、絞殺されたり、火炙りにされたこともある。
それがロゼヴェリタに確立された運命だった。
☆☆
薄れゆく意識の中で、男が立ち去るのが見えた。意識が途絶えた時、再び死のループが始まる。
次はどんな殺され方をされるのだろう。度重なる死によって、ロゼヴェリタは殺されるのに慣れてしまっていた。
最初は痛くて恐ろしかったが、今ではもう、そんな感情は抱かなくなっていた。
「……早くあの人に会いたいな。この世界で逃亡者の私を見てくれるのはあの人だけだものね」
ロゼヴェリタはもう見えなくなった側近の男の影を目で追った。
ロゼヴェリタはついに息絶え――逃亡先の宿屋で目を覚ました。
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