ループ118回目、彼女は必ず死ぬ
・・・・ピピピッピピピッピピピッピピピッ
朝からうるさいなぁ。
愛杜は目覚まし時計で起きた・・・。ようだった。
ふと気づく。
「っつ、またここに戻ってきたか・・・。」
ループ118回目の始まりである。
ふと愛杜は思った。
結衣は・・・今日もかわいいんだろうなぁ・・・。
結衣は高校3年生の受験後、必ず死ぬ。
愛杜も飽き飽きしてきてはいる。
だって118回目だ。
しかも、「結衣は、必ず死ぬんだもんなぁ。」
助けられない自分が嫌になる。
今日「も」、学校はある。
始業式の日だ。
ちなみに、この時点での愛杜と結衣の接点はない。
が、それでも、愛杜と結衣は「初めてできた、唯一の恋人同士」なのである。
愛杜は学校に行く。毎回同じルートである。
新入生代表挨拶のあと、裏庭で、愛杜は結衣に告った。
いきなりである。ただし、OKを貰えることは「分かっていた」。
告白を受けた結衣はシドロモドロになる。
愛杜にとって見知った番号になる携帯の電話番号とLINEを交換し、一緒に下校した。
ただ、ここまでは117回目までのループと変わりない。
「愛杜君って、他の男子とは違って、落ち着いてるよね。でも、ちょっといつもドキっとするほど冷たい目をする時があるんだ。ちょっと怖くて。」
そして、問題というか、愛杜にとって、異物があった。
転入生と言ったらいいのだろうか?
今までのループに介在してこなかった男が学校の中にいる。
「飯山一翔」。こいつが異物だ。
最初は様子を見るしかない。
愛杜は暗い。諦めに近い。
段々と結衣が心を開いていく。
「愛杜!ベークーズバーガーに新作できたらしいから食べにいこうよ!」
それ以上に、愛杜は結衣のことを知っていた。
会話のクセや吐息。触れた時の感触。
15歳の時に起きた廊下でぶつかったあの感触とリアル
16歳の時の、「初めて」手を繋いだ帰り道。温度感が毎回違っている
17歳の時に見せてくれた、笑い方がループ毎に微妙に変化してるという事実
18歳の時に思った、「結衣が結衣になっていくのを毎回見ているその感激」
大学受験が終わったある日のことだった。
愛杜はピンときた。
近くの公園まで全力で走った。走る速度は陸上部並みだったと思う。
飯山一翔がグショグショに泣きながら咆哮を上げている。
倒れてるのは結衣。
飯山一翔の右手にはナイフが握られていた。
「幸い」レイプの痕はない。
結衣は絶命している。
愛杜は携帯で110番まで電話した。
愛杜は醒めている。
「またか。」
今回の異物はやはり「飯山一翔」だったのか。
警察への説明が終わったのち、愛杜は駆ける。
神は俺の邪魔をし続け、俺はループで神と戦っている。
歩道の上に、まだ間に合うだろう。
愛杜は歩道橋の上から飛び降りる。
119回目のループは・・・。
「結衣がいない世界だった」




