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何の味

掲載日:2026/04/25

お留守番をしている少女は、どうやらお昼ご飯を食べるようで…

「お昼…?何これ。」


リビングのテーブルに置かれたソレを見て、首を傾げる。


少女の目の前には『instantMemori』と書かれたカップラーメンらしき物が置いてあった。


何が入っているのか気になる。


両親からのメモには、スーパーに売っていたから珍しいと思い買ってきたとの事が書かれていた。


カップの蓋を開けると、裏には一言『そのままお食べください』とだけ。


中をのぞくと、黒くドロッとした物がある。


「これ…食べれるの…?」


渋々スプーンを取り出す。


無臭の黒いドロドロ。


正直、食欲は湧かないが一口食べてみた。


甘い…トロトロしていて、リラックスするような香りがふんわりと広がる。


なんだろう、焼きたてのトーストのような香ばしい懐かしさのある香りとチョコに似た甘さ…ミルクやキャラメルのような濃厚さもある。


(なんか、いろいろ思い出すなぁ…)


小さな時、母に抱きしめてもらった温もり。


父に頭を撫でられた時の喜び。


食べ進めていると、味が変化した。


レモンやライムに似た爽やかさの中にオレンジや蜂蜜のような甘さ。


甘酸っぱいそれは、少女の初恋を思い出させた。


中学の時のバレンタインデーに初めて手作りのチョコを作って渡した事があった。


笑ってお礼を言われたのが、嬉しかったっけ…。


次の味は少しヒリヒリした。

粗挽き胡椒や、レッドペッパーに近い味。


思い出されたのは好きな曲について、友人と熱く語り合った夜。


白熱したあの時の熱気。


語り終えた後の爽快感は凄かった。


また味が変わる。


ポテトチップスやフライドチキンのような、ほのかな塩味。


(あ…試合で負けた時…)


部活の大会で仲間と力を合わせ、頑張ったものの結果は敗北。

頬から伝った涙はきっと、こんな味だっただろう。


懐かしい…だけど、どれも素敵な思い出だ。


気づくと、instantMemorieはあと少しとなっていた。


(少しずつ食べよう…)


名残惜しいので、一匙ずつ噛み締めるように味わう。


(…ん?)


少女の口のなかに広がったのは、コーヒーやカカオのような苦味。

そして、ほんのわずかに鉄臭さがじんわりと広がっていくようだった。


美味しい、というよりは不快感がする味だ。


少女の頭の中に映像が浮かんだ。


玄関のインターホンがリビングに鳴り響く。


画面を確認すると、そこには何もいない。


チェーンをしてから玄関を細く開けると、そこには段ボールが置いてある。


少女はソレを手に取り、宛先を確認した後ガムテープを剥がしていく。


何だかとても生臭い。


(中には一体何が…?)


ここで、映像は切れた。


少女はハッと目を開ける。


まだ記憶の片隅に、先ほど見た見知らぬ映像がこびりついていた。


instantMemorieは空になっている。


(全部食べきったんだ…)


口の中に鉄の味がのこっているような気がする。


どことなく気持ち悪さを覚えながら、空になったカップをゆすいでゴミ箱に捨てる。


うがいをしようと水を口に含んだ時。


ピンポーン


インターホンの音が鳴った。



最後まで読んでくださりありがとうございます!

「思い出の味」という言葉を聞いた時に感情や思いがそのまま味になったら、どんな感じになるんだろう(・・?

と思い作成した作品となりますφ(..)


もし気に入ってくださったら他の作品も読んでくださると嬉しいです!

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