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めぐり逢い

作者: このび

ああ……美しい。

君の顔を見るだけでうっとりする。

中性的な顔立ちにどこか男性チックな整った眉。

覚えてるかな?君を知ったのは近所の噂話からだった。

最近、かっこいい人を良く見かけるけれど、近くに越してきたのかなあなんて

私の家の前で話している声が聞こえた。

どんな人なんだろう。噂では背が高くて、顔は中性的なイケメンなのだけれど

声が意外と低くて聞き心地が良いと聞く……

なんて考えながらカーテンを少しだけ開けて外を眺めてみたら、君がいたんだよ?

私はカーテンの隙間から垣間見えた君を見て、心を奪われた。

いいえ、目も体も、声は聞こえなかったけれど素敵な声を想像して耳まで奪われた。

君はいつも夜遅くに疲れたような顔をして帰ってくるよね。

私はそれがとても心配で、私の家の向かいにある君の家の前まで行ったんだよ。

窓の方へ行くと、素敵な声が、君の音が聞けたんだ。

頭の中で響くような声で、うっとりと君を眺めていたら、君は微笑んでくれたよね!

あの時の笑顔が忘れられなかったんだよ……

でもそれからしばらく君は家から出なくなっちゃって、私は心配で心配で体調を崩してしまったんだ……

あまりにも嗚咽が凄いからもしかしたらと思って産婦人科に行ってみたら、君との赤ちゃんができちゃってたみたい!

大昔の日本では目と目が合うと「目合ひ」と言って、体を重ねあったと同じ意味だったんだって!

君にこの事を伝えようと思って、何度も何度もチャイムを鳴らしたけど、君は出てこなかったよね?

もしかしたら、気を失って倒れてるのかもと思って、私は強引に中に入ったけど、君は部屋の隅の方で明かりもつけずに、毛布にくるまっていたね。

それもそうだよね。もう師走だし、エアコンもつけずにいたら寒いもんね。

だから私が温めようと思って君の体を抱きしめたら、君は声をあげてすごく喜んでくれたね。

ここだと寒いから、私の家に行こうと言ったのに、君は動こうともしない。

このままだと凍え死んでしまうし、なにより子を宿している私の体も心配だったから

申し訳ないけど、君のキッチンからナイフを少しだけ借りで、君が動けるようになるまで

何度も何度も力を貸してあげたよ。

今こうして、温かい私の部屋に居られるのも、全部私のおかげなんだからね?

それにしても本当に美しい顔をしているね!

体はぼろぼろになってしまったみたいだけど、君の美しい顔はずっと美しいままだね!

これからもずっと一緒に、末永く幸せに暮らしていこうね!

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