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ともだち
缶チューハイを開ける。相手は、部屋のすみにボンヤリと立っている。
白い人影。このアパートに入ったときからずっと、ここにいた。他の人間には見えないらしい。最初は驚いたが、事故物件と承知で安く入ったので、仕方がないと諦めた。
折りたたみテーブルのむこうに、あいての分を置いて、自分用にもうひと缶。このところ、毎日だ。酒代が二倍になってしまったが、構わない。こいつだって、飲みたいはずだ。
ちびちびと、見切り品の弁当をつまみながら、飲む。時々、オカズをすすめてみるが、反応はない。上司のぐちを話しているうちに、ちょっと揺らいだように見える。相槌だろうか。返事はないが、なんとなく意思は伝わってくる。
「なあ、……お前さ」
ふと、箸をおいて、真剣に見つめる。
「……どういう奴だった、んだ。本当に」
昼間、携帯にかけてきた不動産屋の話を思い出す。……手違いで、おれの入った部屋は事故物件では無かったと。家賃はそのままで良い、そうだ。
「今さらいわれても、……困るよなァ」
そう、つぶやくと、
そうだよね、と言いたげに、影が、少し揺れた。
https://twitter.com/kusunoki_umou/status/1380357308228702215




