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残り物には福がある

作者: 西方芳子

挿絵(By みてみん)

『残り者には福がある』


男性(しん)33歳、女性 加奈33歳同級生、地域で有名な進学校出身


真は25歳から結婚相談所に50万を払って5年間で30人くらいと見合いをしていた。高学歴、メーカー勤務、高身長、細マッチョな身体、顔は普通だがなかなか自分でも悪くないと思っていた、しかし髪が薄いのを気にした親が心配して入会した。


見合いも回数を重ねると欲もでる、見る目が厳しくなってしまったのかもしれない。

特に年上の女性は怖い、目がギラギラしている取って食われそうである。化粧が濃いのも無理だ、そんなにも素顔が汚いのだろうか。自分大好き、自分中心な女性が多い、まあ俺もそうなのかな。あと馬鹿も嫌だ、給料を渡すのだからちゃんと家計を管理出来ないとこまる。あれこれ言っているうちに髪がなくなってしまった。退会して3年が経つ、未だに独身である。親は諦めていない、もちろん俺もだ。

今も心がグッとくる女性に巡り会えないか模索している。


そんな時10年ぶりに高校の同級会の知らせが来た。担任の理科の林先生がいつも生徒の頭をくしゃくしゃに撫でてくれた、特に可愛がられていた俺は懐かしさもあり出席することにした。地元は、隣県だが車で1時間程度だ。

宴会

「お~良く来たな、元気か?」林先生の笑顔は変わらない、俺がまだ独身だと知ると

「うちにも嫁に行かないのがいるぞ、姪っ子なんだが、仕事が忙しくて結婚どころじゃないらしい、確かお前たちと同じだったかなあ」聞いてみると生徒会で一緒になった事がある子だった。

{内心いい話しだと思った、何故なら真が好きだった加奈だからだ、彼女もまだ一人なんて奇跡かもしれない胸が高鳴った}焦る気持ちを抑えて宴会が進む。


宴の中盤1時間ほど経った頃「先に失礼するよ、皆んな元気でやれよ」と挨拶すると先生が席を立ち帰っていった。タイミングを見て俺はすぐに階段を降り追いかけて先生に加奈と見合いの話を進めてもらいたいと告げた。先生は、びっくりした顔をしながら俺の頭をくしゃくしゃに撫でまわした。「そうかそうか、お前そうなのか」笑いながら先生は俺の連絡先を受け取った。


先生づてに加奈に連絡がいく、地元で仕事をしている加奈は思いがけないオファーに戸惑う。看護師をしている彼女にとって恋愛をしている時間がないのを分かって、先走って喜んでいる伯父と両親の期待している視線がいたい。恋人がいない加奈に断る理由がないからだ。

「決めるのは私だから、勝手に進めないで」両親に釘を刺した。15年ぶりの再会はお互い緊張していた。


迷ったがそれでもせっかく真君が言ってくれているのだから、会う事にした。15年ぶりの再会はお互い緊張していた。

真から頭をさげた

「会ってくれてありがとう、残念ながらこんな頭になりました(笑)」

「こちらこそあんまりおばさんでがっかりしなかった?」加奈が恥ずかしそうに礼をした。

お互い面影があるが、一気に老けた感はある。学生時代の話に花が咲き笑顔になる。いい感じでデートは終わる。彼女は仕事の関係から勤めの近くにアパートを借りていた。週末真が加奈のアパートに通う付き合いが始まった。


しかし結婚は、楽しい話しだけではない、乗り越えなければならない事が多い、子供の事、仕事、住まいの引っ越し、自立した2人のためどちらかを優先したり諦めなければならないからだ。具体的な話になると笑顔がなくなっていく。加奈も真任せでは納得出来ない子供も欲しいが授からないかもしれない。、真も彼女を尊重したいしが会社を辞めたくない。やはり結婚は、難しいのかもしれない。しかしこのチャンスを失うのは勿体ない。ただ浮かれている両親に腹が立った、「いちいち私の顔をみないでよ」やつ

2

あたりもした。「こんなに迷うくらいなら若さ(馬鹿さ)で早く結婚しておけば良かった。」などと考えながらも迷う時間がない事を知っている。ゆっくり考える訳にはいかない、加奈は彼の優しさに答える事にした。

2人とも仕事を持っているため真が遠距離通勤をする事で結婚が決まった。後で迷ったらまた話し合おう、希望をもって前に進んだ。


結婚式の様子。


〈完〉

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