前へ目次 次へ 82/114 第82節 ??? そこに、一柱(ひとはしら)の神が眠っていた。 その者、身の丈六尺では足りず。 髪、長く。 色、白い。 均整の取れたその顔は、見る者のため息を誘い。 その身に纏う錦の衣は、その者の尊さを表した。 しかし。 その者は知らなかった。 自らのその形を。 しかし。 その者は忘れなかった。 自らが何者であるかを。 そして。 彼(か)の者が眠りから目覚めしその時。 彼の者の瞳の奥に隠された鬼灯(ほおずき)のように真っ赤な魂は、新たなる使命を得てまた一つ大きく逞しい存在へと変貌するのだった。