第11節 地の底の民 地の上の民
税を取るために民から事情を聴取すると次のことが分かった。
農夫らが作った作物は彼らが食べる分、来年の種とする分を除けば腐るに任せていた。
機織、木工も作るだけ作って使わなければ朽ちるに任せるという。
「腐ってもまたつくればええ。」
と農夫は言う。
「それでは飢饉のときはどうするのだ。」
備えは必要ではないか。そう思ったのだが、農夫はまったく言われていることが分からぬという様子で、
「何言ってるだ。なら食わなければええ。」
と言う。
「食わねば死んでしまうではないか。」
「何を馬鹿なこと言ってるだ、おめえさまは。」
呆れたふうに答えた農夫は話を打ち切って農作に戻ってしまった。
この地に来た時から感じていたのだが、ここの民は何かがおかしい。
もっと聞き出したかったのだが、農夫はこれ以上の問答は御免とばかりに例の飛地術を用いて彼方へ行ってしまう。
どうしたものかと侍女神を見ると彼女は、
「まずは説得ですね。」
と言った。
オオトリは空高くに舞い上がると地上の様子を眺めた。
この地に生きる人を探すことなどオオトリの翼と目をもってすれば造作もないことだった。
しばらく眺めているととある集落を発見した。
身なりこそ粗末なものだが人も建物も多い。
(ここでよかろう。)
当たりをつけると集落から見える山に舞い降りて夜を待つ。
そして夜。
オオトリは天高く舞い上がると普段は己の内に鎮めている炎をあらん限りに纏って見せる。
闇夜高くに突如として現れた耀星に集落の人々が気付くのにそう時間はかからない。
(ほほ、人の子らの視線を感じるわ。そのまま見ておれ。)
そしてそのまま集落にほど近い森へと勢いよく突っ込んだ。
オオトリの纏った炎はたちまちにして燃え広がり森を焼いてゆく。
集落の人々は森を焼き広がる炎に気が付いたものの右往左往とするばかりで何ら対処する術を持たないようだ。
(であろうな。所詮は人の子。)
オオトリは嘲り笑うとそろそろ頃合いと見るや燃え盛る炎に向かって一羽ばたき。
するとあれほどの大炎が見る見るうちに鎮まって、残されたのは無残に焼け焦げた木々。
人々は何が起きたのか分からず呆然とするばかり。
オオトリはその様子を秘かに見届けると満足そうに森の奥へと消えて行った。




