きりんの首は長い
夕食を食べ終わって、リラックスタイムに入った時だった。
「ねぇ、キリンの首はなんで長いと思う?」
突然な妻からの言葉に夫は戸惑った。
「突然どうした? キリンの首が長い理由?」
夫は困惑しながらも、頭を悩ませる。
「うーん、なんでだろ? あれかな! 高いところの葉っぱを食べたり、遠くを見回したりするんじゃないかな!」
夫は我ながら良い案を思い付いたと、身振り手振りで嬉々とした表情で語った。
「あとは、あれね。戦うときに首をぶつけ合うらしいわよ」
「ん……? なんだ、知っていて聞いてきたのか?」
妻の不穏な空気を感じ取った夫は、口角を上げて無理やり笑みを浮かべた。
「ねぇ? 私の首が長い理由はわかる?」
唐突にきた質問に夫は冷や汗をかきながら後退りを始めた。
「ねぇ?」
「君の首は長くないじゃないか……なにを……」
詰め寄る妻、逃げる夫。
「ねぇ、本当にわからないの?」
「……」
夫は壁まで追いやられていた。
「二時間前に頼んだ洗濯物、私が帰る前に取り込んでおいてって言わなかったっけ? いつやってくれるのかなあって首を……」
夫は顔に焦りを浮かべつつ、素早く走り去ると、夜空にひらひら舞っている洗濯物を慌ててしまい始めた。
「はあ、もう……」
妻も呆れつつ、夫を手伝う。
洗濯物は冷たくなっていたが、二人の心はどこか暖かかった。
コロナ被害が続きますが、夫婦の力が試される時です。旦那さんは家事を頑張ってくださいね!
手伝うではなく、一緒にやる気持ちが嬉しいですよ!
一主婦より。