第76話『ミッション開始!』
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「はぁ、ヤソカさんがそんなことをねぇ、あの人って普段から何考えてるのかよく分からないんだよなぁ」
健也は霧神に自分がエロ本10冊買わなければいけない事を伝えた。
できれば真奈や他の客にバレないようにだ。
「荒蒔先輩、何も事態を深刻に考える必要ないっすよ」
「どう言うことだ?」
「ハッキリ言いますけど、先輩が買うのって所詮は紙の束じゃないですか、それをレジまで運んで買って袋に入れる。はい、任務完了」
「それが簡単に出来ないから苦労してるんじゃないか……」
頭を抱える健也。こうしてる間にも時間が過ぎていく。
「先輩先輩、一度発想を逆転してみてはどうすか?」
「?」
「かつて先輩が言ってた事っす。行き詰まったら、一度考えを逆転すれば活路が見出せる。オレはそれで何度も助けられましたよ?」
発想の逆転……。
それを聞いて健也はある回答に行き着く。
よくよく考えたら、いくら人が多いとは言え、アダルトコーナーに立ち寄ったり、ましてや立ち読みをする人なんて見たことがない。
そうか、自分が変態として見られたくないあまりに、誰も立ち寄らないし、誰もアダルトコーナーを見ようともしない。
それにエロ本を物色してる人を凝視しようとする物好きがいるとも思えない。
これで第一関門『本探し』は可能となる。
次にレジまでの道中、これは健也が事前に考えてたプランだ。
まずエロ本ではない本を一冊選び、それをエロ本の上に置いてカモフラージュする。
これなら、一見エロ本を10冊買おうとする変態野郎だとバレないはずだ。
そして問題はここから、仮に購入できたとして、どうやって真奈にバレないようにするかだ。
いくら袋に入れて隠したとは言え、10冊もの本が袋に入ってたら怪しまれる。
そこで霧神の出番だと健也は気が付いた。
「購入したらクレ……霧神君に即渡せば良いのか」
一瞬、霧神のかつてのコードネームである『クレイ』を言おうとしたが、今の霧神はクレイではないので訂正した。
「その通りです。幸い、真路 真奈はオレの存在に気付いていない。偶然、鉢合わせにならない限り大丈夫っす」
「なんかフラグっぽく聞こえるが、行くぞ霧神君! かつて戦場で生き抜いたコンビネーションをもう一度発揮する時だ!」
○ ○ ○ ○ ○
「あ? 何見てんだコラ」
霧神は他の客達に睨みを効かせながら見張りをしている。
逆に目立ってるがこれで良い。全ての注意が霧神に向いてる、その隙に健也がエロ本を物色する。
(よし、これで10冊!)
全ての本を手に取った時であった。
(やべぇ先輩! 真路 真奈だ!)
(!?)
健也は慌ててエロ本10冊を霧神に渡し、霧神は存在がバレないように、その場を離れた。
「あれ? 健也さん、ここで何してるのです?」
「い、いやぁ、最近バイクに興味が湧いてきてね」
アダルトコーナーの隣がバイクなどの雑誌が置いてあるコーナーだったので、健也はすぐさま、バイクの雑誌を手に取って立ち読みをするフリをした。
どうやらバレてないようだ。
「バイクですか、良いですね……バイクに乗ってる健也さんカッコ良さそうですね」
「そ、そうかな? 真奈ちゃんは何を買うか決まった?」
「はい! まずは小説家を目指してみようと思いまして」
真奈の手には小説家になる為の参考書が握られていた。
真奈は話を作るのが好きなのだろうか?
「それ買うの?」
「そうですね。まずは小説家目指して、ダメなら別の道も考えようと思ってます。人生における道は無限大ですからね!」
「結構前向きだね」
「という事でレジへ行ってきます。健也さんは、まだ買いたい本を探しますか?」
「うーん、そうしようかな」
真奈がレジに向かうのを見守ってから霧神が再び現れた。
「どうします先輩」
「このままレジに向かうぞ」
「了解」
エロ本の上にバイクの雑誌を置いてカモフラージュして、霧神からエロ本を受け取る。
真奈がレジから居なくなってから買った方が良さそうに見えるが、それは悪手だ。
何故なら、本を買ったら真奈は真っ先に健也の元に向かってくるはずだ。
そこからの流れを考えると、書店から出るまで真奈と行動を共にする。つまり、エロ本を買うチャンスを失うのだ。
なので真奈にバレないように、こっそり後を付けて、真奈の後ろに別の客が並んだのを確認してから、健也はその客の後ろに並んだ。
これで真奈から健也は見えないはずだ。
そして購入したら、すぐに袋に詰めて、書店の入り口で待機してる霧神に渡して、何食わぬ顔で真奈と合流する。
完璧な流れだ。
その後、霧神が一人で健也達の家に向かい、健也の部屋にエロ本の入った袋を置いていく手筈だ。
真奈の順番が来て、健也の目の前の客もレジへと向かうが、ここで問題発生!
(ぬかった!)
なんと、次に健也が向かうレジは右側なのだ。
現在、レジを担当してる店員は三名。
左のレジに真奈、真ん中に健也の目の前にいた客。
そして、今空いてるのは右側のレジ。
この書店のレジは本を購入したら、右側から出ていかないといけないのだ。
つまり右側だと真奈に気付かれる。
しかも右側のレジの店員さんは女性。
詰んだかと思うが、伊達に修羅場を潜り抜けてきたわけではない健也は、ある秘策を取った。
変装である。
髪型を変え、サングラスをかけ、着ているジャケットを裏返す。
変装してるところを他の客に見られても良い。真奈に気付かれなければいい。
「いらっしゃいま……!?」
レジにエロ本を持ってくと女性店員に苦い顔をされたが、構わず健也はお金を払った。
「あ、ありがとう、ございました」
「……」
背後を真奈が通った事を確認してから、健也もレジを離れ、霧神と合流する。
直接渡すのではなく、すれ違いざまに霧神に渡した。
任務完了。
「やぁ真奈ちゃん、もう買ったかい?」
変装を解いて、健也は何食わぬ顔で真奈と合流した。
○ ○ ○ ○ ○
霧神は単身、健也達の家に向かった。
健也と真奈が帰ってくる前に、健也に託されたエロ本が入った袋を置いていく。
「……先輩の部屋か、ちょっとだけ先輩のベッドの匂いでも嗅ぐかな」
変態的な発想を浮かべながら、健也達の家に到着。
道具を使って窓の鍵を開け、窓から侵入した。
まるで空き巣みたいな手口だがやむを得ない。
カーテンで隠された健也の部屋に足を踏み入れると、そこには。
「なんて事かしら、久しぶり来たけど、あの子ったらエッチな本すら置いてないなんて、母親として心配だわ……あら?」
そこには火盧理が居た。健也の母親である火盧理が。
何故居るのか分からないが、霧神と火盧理は初対面だ。これでは完全に不審者だ。
「どちら様かしら?」
「え、えーと、えーと……メリークリスマス、サンタクロースです」
予想外の展開に頭が混乱する霧神は意味不明な言い訳をする。
「今は正月ですよ不審者さん」
ツッコミを入れられ、霧神はエロ本入りの袋だけを置いて退散した。
「なんだったのかしら? 今の子何を置いてって……あら、あらあら?」
その後、健也と真奈が帰ってきたら自宅に火盧理が居て、火盧理によってエロ本の存在を真奈に知られてしまうのであった。




