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俺女子高生に興味ないから、君達とは結婚できません!!  作者: 心乃助(Initium・Godpiece)
第一部
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第64話「死に慣れろ」

 ネタ探しにブックオフ行ったら停電になって閉じ込められました(´・ω・`)

「……今日からお世話になります『ロット・レーゲル』っす」


「挨拶するなら相手の目を見ろや」


 秋歌暗殺未遂から二週間半後。


 霧神との早撃ち勝負に敗北した狙撃手のロットが、今日からアヤナ探偵事務所で働くこととなった。


「イエーイ! 霧神君に続いてロットさんもうちで働いてくれるとは感激でーす! これで家賃の問題が軽くなるはずデース!」


「お前……あの金髪女から大量の金貰ってるくせに、何でいつもギリギリ生活できる分の金しか残らねぇんだよ」


「それは秘密デース」


 少しイラッとする霧神。


「それでさ、オレっちは何をすればいいだよ?」


 ロットはフードで顔を隠すようにしながら尋ねた。


「……おい泣き虫ロット」


「泣き虫違うし!」


「はぁ? 昔ビービー泣きわめいてた奴が何言ってんだよ」


「それ何年前の話だし!」


「それよりフード取れや。いい加減、顔をハッキリと見せろ。今更隠すものでもないだろ?」


「い、いやだし! 恥ずかしいし! ……わぁ!?」


 ロットが必死にフードで顔を隠していると、いつの間に背後に忍び寄っていたアヤナによってフードを脱がされた。


「そぉれデース!」


「わーわー!! 見るなし!」


 そこには童顔ながらも整った顔立ちと美しくも長い茶色の髪がなびいていた。


「女であることを隠す必要がどこにあるよ?」


 そう、ロットは女性なのであった。


「うるさいうるさい! オレっちは自分が女であることが嫌なんだよ!」


「じゃあタイにでも行って性転換手術でも受けろよ」


「女である自分は嫌だけど、そこまでして女は捨てたくないし!」


 めんどくせー、と感じる霧神は背を向けて部屋の扉の前に立ってからロットとアヤナの方を向いた。


「ついて来いよロット、お前には特別な訓練をさせてやるよ」


「訓練?」


 何の訓練なのか理解できてないロットの耳元でアヤナが息を吹き掛けるように(ささや)いた。


「実は今は特にすることがないのデース。なので次の仕事が来るまでの間、霧神君がロットさんを鍛えてくれるとのことデース」


「ひぁぁぁ、み、耳元で息を吹き掛けるなぁぁぁ」


〇 〇 〇 〇 〇


「て、ことで始めるぞ」


「いや、その前に何の訓練だし」


 移動したのは、いつも霧神が寝泊まりをしている事務所の一室であった。


「まず、お前の欠点を教えてやる。兵士としては狙撃の腕はプロ並みだ。だがなぁ、お前は死に慣れてないだろ?」


「……………? 何言ってるし?」


「死ぬ覚悟ができてねぇ。いつ何時死んでも良い、もしくは自分は既に死んでると思ったことないだろ? いつも安全な場所から狙撃してるから死ぬ覚悟すら持ててないだろ? だからお前には死ぬ覚悟を持ってもらう。でなきゃオレの足手まといになっちまう」


 死ぬ覚悟、死に慣れる。


 それがロットに足りないもの。


 と言う事は、今から死ぬような思いをさせられるのだろうかと、身構えてしまうロット。


「そう構えるなよ。ようは死にまくれば良いんだ、そしたら覚悟とか、自分が生きてるのか死んでるのか分からない状態になれる筈だ……て、事で今からこれをやってもらう」


「こ、これは!?」


 1時間後。


「ぎゃーーーー!? また死んだー!」


「お前、酷い腕前だな」


 ロットがしている訓練とは……FPSゲームであった。


「て、なんでオレっちはゲームなんてやってんだよ!!」


「ゲームは良いぞぉ、リアルだと命は一個しかねぇが、ゲームの中ならほぼ無限だ。これなら安心して死にまくれるだろ?」


「わけわかんねぇし! ゲームとリアルじゃ全然違うだろ!」


「甘いな。ゲームで極力死なないようにすると言う緊張感。これはリアルの戦場に近い部分がある。だからお前には今から三日間の内に『6時間以上生き残る』ように頑張れ」


「いやいやいや! こんなので強くなれるわけが……」


「オレを越えたいんだろ? だったらオレの言う通りにしろ。その間オレが見ててやるからよ」


 腑に落ちないロットであったが、渋々ゲームをすることにした。


 こんなので死ぬ覚悟なんて身に付くのか理解できないが、今はこれ以外にすることがないので、暇潰し程度にプレイすることとした。


「ほら、そこを右だ」


「み、右?」


「なんで左向くんだよ!」


「操作が難しいし! うぎゃー!? また死んだー!」


 こうして、死んでは生き返り、死んでは生き返りを繰り返しながら、ロットはゲームの世界で生き残ることに必死になっていた。




 それから三日後。



「あ、後……10分……」


 ほぼ不眠不休でゲームを続けていたロットは、そろそろ体力の限界を迎えようとしていたが、ロットの集中力は最大になっていた。


「あと……1分……」


 課題である『6時間以上生き残る』達成まで1分。


「5……4……3……2……1」


 6時間ぴったしでゲームの中のロット(が操作するキャラ)が死亡したと同時に、ロットはついに目標を達成した。


「やったぁぁぁ! もう何回死んだか分かんないし!」


 コントローラーを放り投げてロットは大の字になって寝っ転がった。


「乙、よく頑張ったな」


「えへへ、クレイ、あたしを褒めて褒めて~」


 …………………!


「うわぁぁぁ!? 違うし! 今のは素じゃないし! ただ嬉しくて、つい昔のオレっちに戻っただけだし! か、勘違いするなし!」


「おいおい、急に立つと危ないぞ?」


「え? あ……」


 そういえば寝てないんだった。


 倒れそうになったロットを霧神が抱き止めた。


「どうだ? 何か掴めたろ?」


「……うん、未だに納得いかないけど、死ぬのが当たり前になると、死ぬのが怖くなくなったし」


「一皮剥けたな。後はゆっくり休めや」


「……さ、最後にお願いしてもいいか?」


「んだよ。オレも寝てないんだけど?」


 照れくさそうにロットは髪をいじり、頬を染めながらお願いした。


「……頭、撫でてほしいし」


「お前は昔っから甘えん坊だよな。ほらよ」


 霧神はご褒美としてロットの頭を撫でてあげた。


「えへへ、クレイの手、暖かいし……」


「今はクレイじゃなくて霧神だっつーの……寝たか」


 死ぬ覚悟を会得したロットは幸せそうに眠るのであった。


〇 〇 〇 〇 〇


 ここだけの話。


 ロットが男のフリをしてたのは、クレイ、つまり霧神に認めて貰いたかったからである。


 霧神に淡い恋心を抱いていたロットは霧神に振り向いて貰いたくて、今まで組織で頑張ってきたのだ。


 紆余曲折はあったが、好きな霧神と共にアヤナの元で働くのは、彼女にとって幸せなことであった。


 これからどんな困難が待ち構えていようと、ロットは霧神の為に命をかける決意を固めながら、今はゲームの疲れを取る為に深い眠りにつくのであった。

 もうめんどい、なので次回は健也と三人娘達の話に戻します。

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