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俺女子高生に興味ないから、君達とは結婚できません!!  作者: 心乃助(Initium・Godpiece)
第一部
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第4話「それぞれの想い」

 すまない!! 


 何がって? ここまで来てようやく真奈ちゃん以外の二人のヒロインの名前が判明するから。


 いや、遅すぎだろ! マジすんません!

 『真路(しころ) 真奈(まな)』の場合。


「……い、やったぁぁぁぁぁぁぁ!!」


 真奈は嬉しさの余り自室のベッドへと倒れ込んだ。


「あー嬉しいぃ、嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!」


 顔をニヤけながらベッドの上で足をバタバタさせる。


「はぁ、落ち着こう。健也お兄ちゃ……健也さんと水族館デートができるなんて夢みたい」


 十年間も片時も忘れる事もなく想い続けた人と二人っきりで初デートができることは真奈にとっては天にも昇る気持ちであった。


「……健也さんがOK出してくれたって事は他の二人からはデートのお誘いはなかった。或いは断ったことで良いのかな? いいよね、うん」


 健也が自分を選んでくれた。他の二人を差し置いて。


「早速日曜日にどんな服を着ていくのか決めなきゃ!」


 そう思って顔を上げ、自分の部屋を再確認した後に真奈は思ってしまった。


「……流石に、この部屋を健也さんに見られたくないな。見られたら気持ち悪がられるかもしれない」


 ふと我に返って思うと、自分が十年間してきた事は他人から見たら気持ち悪い行為、または犯罪に当たるだろうなと感じた。


 だが、それだけ彼に対する想いは本物だと自覚した真奈は気分を変えてタンスの方へと向かう。


「さてと、何を着て行こうかな」


〇 〇 〇


 『小院瀬見(こいんぜみ) 美娃(みあ)』の場合。


「お嬢様、夜更かしはせずに早目におやすみになってくださいね」


「わかっているわよ。もういいから部屋から出ていってくださる?」


「はい、では失礼致します」


 健也に想いを寄せる金髪の少女『美娃』は自身に仕えるメイドに命令をし、部屋から出し、その足音が遠退いていくのを確認して、一人になった後に高笑いをした。


「おーほほほほほ! やりましたわよ小院瀬見 美娃! 健也はワタクシを選んで下さいましたわ! あのモブ庶民二匹を差し置いて!」


 スマホを取り出して健也からのOKの返事を再確認する。


「ふふん、水族館とか、少し低俗過ぎたかもしれないけど、健也はワタクシと違ってお金持ちではない。いきなり高級な施設に招待してしまったらショックのあまり失神してしまうことでしょう」


 これは健也を想っての配慮だと自分に言い聞かせてから部屋のクローゼットから高そうな洋服を何着か取り出す。


「うーん、迷いますわねー。健也は何が好みなのかしら? 十年間調査しましたけど、イマイチ好みがハッキリしませんでしたわねー。ま、あの健也ですもの、きっと何着ても褒めてくださるでしょう! だから洋服より大事なのは……」


 と、クローゼットの下の段から下着を取り出す。


「ふふ、健也とデートをして、あわよくばそのままホ、ホテルへとお持ち帰りされるかも、ふふ、ふふふ、その時の勝負下着を決めておかなくちゃ」


 既にエロい妄想を膨らませながら、下着選びに没頭するのであった。


〇 〇 〇


 『(ゆずりは) 秋歌(あきか)』の場合。


「………………」


 自室でアコースティックギターを弾きながら、黒髪眼鏡の少女『秋歌』はスマホのトークアプリを何度も確認していた。


「……健也、アナタのお陰で、私はここまで頑張れた」


 十年前。


『うわー君、歌も歌えるし楽器も演奏できるんだね。その歳ですごいな。俺なんか楽器も歌も下手だし尊敬するよ』


 生まれて初めてだった。親以外から私の事を褒めてくれたのは。


 その後、彼とは気が合って話をした。見ず知らずの男の人だったけど、全然怖くなく、むしろ(そば)に居るだけで、何処と無く安心感を得られていた。


『へぇ、将来■■■になりたいのか、俺応援してるよ!』


『あ、ああ、あの! も、もしも、もしもわたしが、ゆめを、かなえたら、そのときは、わたしと、け、けっこんしてくれませんか!!』


 一目惚れと言うやつだろうか、当時の私はそんな事を口走ってしまった。


 こんな子供の告白なんて聞いてくれる訳がない、そう思っていた。だが――。


『……あぁいいよ。十年待ってあげる。それまで俺のこと覚えていたらの話だけどね』


 予想外の返事に、私は嬉しさの余り涙を流してしまった事を今でも覚えてる。


「……あの時の言葉が、私に勇気を、くれた、あの約束が嘘だったとしても、健也のお陰でここまで、来れた、だから、改めて打ち明けよう、約束通り夢を叶えてやったと」


 そうすれば、また健也は私を褒めてくれるだろうか?


 その想いを胸に秋歌は再びギターを演奏し始めた。


〇 〇 〇


 『荒蒔(あらまき) 健也(けんや)』の場合。


「うわぁぁぁぁ、あ、うぅああああああ、どうしよぉぉぉぉ!」


 三人の女の子からデートのお誘いを受け、全てOKしてしまったことに後悔して、自室のアパートの床を何度も転がって悶絶していた。


「はぁ、はぁ、落ち着け、落ち着くんだ俺、この際俺を合わせた四人でデートするのは……」




『え? 健也さん。二人っきりって言ったのにどうして、その二人が居るのですか? う、えぇ、ぐす』


『健也ぁぁぁぁ!! 二人っきりって言いましたわよね! これはどういう事なのですわ! 罰として火炙りの刑に処してやりますわ! 健也の女たらしのク○野郎がぁぁぁぁ!!』


『健也、最低、死ねばいいのに』




「ダメだぁぁぁ! 四人デート無理だぁぁぁぁぁ!!」


 終わる。色んな意味で人生終わってしまう。


 いや、元々あの三人には嫌われる前提で友達になることを許した訳なのだからこれで良い筈、筈なんだけど……。


『健也さん』


『健也!』


『健、也』


「……あんだけ俺の事を慕ってくれているあの子達を傷付けたくないな」


 俺は立ち上がって、紙とペンと、今度行く水族館のパンフレットを用意して、それらを机の上に並べて計画を立てる事とした。


「絶対成功させてやる! 誰も傷付かずに三人とデートをする方法を考えるんだ! 日曜日まで後2日はある、その間に最高のデートプランを作ってやるぜ!!」


 珍しくやる気を(たぎ)らせてペンを走らせる。


 スマホのネットのデート講座を参考にしながら、俺は一心不乱に紙に文字を叩き込んでいた。


「よし、このルートとルートなら、あの三人が直接出会うことはない。後問題なのは……」


 俺の体か。いくら三人が鉢合わせないルートと時間を計算して割り出しても、三人にバレずに三人とデートをするにはどうすべきだろうか。


 俺の体が後2つあれば可能なんだが、青いネコ型ロボットでも居てくれたら、それを可能にしてくれる道具を用意してくれるだろうが、そんなものは現実には居ない。


 だから、俺の頭の回転をフルに使って導き出すんだ。


 最適の三人同時の秘密デートプランを俺の体一つで実現する為の答えを出すんだ!


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」


 そんな事に必死になっていたら、俺は寝ることも忘れて、気が付いたら朝になっていた。


「よっしゃぁ! できた! できた!! さぁて今日は土曜日だから寝よ」


 と思ったらスマホから上司の連絡がやってきた。


『荒蒔君ごめん。急に周防の奴が体調崩したらしくてな。代わりに今日の休日出勤出て来てくれないか?』


「ひゃい!! 大丈夫れす! 今行きまふ!!」


 俺は寝れなかったせいでテンションがおかしくなった状態で、普段は断ってばかりの休日出勤に出社することとなった。


「いよぉし! 休日出勤も明日のトリプルデートも! そんなイベントちゃっちゃと終わらせてやりゃ~」


 修羅場を迎えそう予感がするトリプルデートまで、後1日。

 あー、私も夜勤からの昼勤の休日出勤やらされた時はテンションおかしくなってましたね。


 あんな思いはもうしたくないですな。結構精神がやられますから。

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