第13話「お母さん登場!」
前回のお詫び。
活動報告では知らせたのですが、前回の話に『20年前』とあったと思いますが、正しくは『30年前』です。
もうすでに修正したのですが、皆様に誤解を生んでしまったことをお詫び申し上げます。
「あっ」
「あら?」
「お」
真奈、美娃、秋歌の三人が偶然町中でばったりと遭遇した。
「……お二方、当然行き先は健也さんのアパートですよね?」
「当然ですわ! 今日は日曜日、前回は健也が内緒で貴女達ともデートしていたようなので、今日こそは独り占めしようと考えていましたの!」
「あ? 何寝惚けた、こと言ってんだ、パツキン、健也と一日中過ごすのは、私、だ」
美娃と秋歌が睨み合っている。それを見た真奈が二人を宥める為にある提案をした。
「ま、まぁまぁ、ここは一つ競争しませんか?」
「「競争?」」
「はい、ここから健也さんのアパートまで競争して、誰かが先に玄関のドアに触れた方が、今日一日健也さんを独り占めできるのはどうでしょうか?」
それを聞いた二人は納得したように、その提案を飲む事にした。
「ふっ、ワタクシ貴女達よりも足に自信がありますわよ!」
「私も、普段から、鍛えてる、から、問題ない」
二人は納得してくれたようだが、何故真奈がこの提案を出したかと言うと。
真奈は中学時代に陸上部に所属していたのだ。高校に入ってからは料理部に在籍しているが、あの頃に鍛えた足腰はまだ衰えていないはず。
なんで真奈が陸上部に居たかと言うと、いつか健也と浜辺で追いかけっこしたいと言う下心があったからだ。
「それでは、位置について……」
「よーい……」
「ど、ん」
最後の「どん」は気合いが無かったが、三人はほぼ同時にスタートダッシュを切った。
しかし、真奈の思惑通り、ぐんぐんと二人を引き離していく。
高校に入ってからの二年間は鍛えてなかったが、まだまだ脚力は健在のようだ。
だが、高校生になってから急に大きくなった胸が邪魔で走りにくい。
それに痛い、重たい胸が揺れる度に胸がちぎれるのではないのかと言う錯覚をするほどに胸が痛い。
それでも真奈はその痛みを我慢して、綺麗なフォームで走り続ける。
「はぁ、はぁ、ど、どうです! 私の足についてこれます……か!?」
「負けるものですかぁぁぁぁぁぁ!!」
「ふん、ぬぅぅぅ!!」
最初は引き離したのに、後ろの二人がどんどん距離を詰めてくる。
予想外の展開に焦りを感じた真奈は更に自身の足にギアを入れてスピードアップをする。
「負、けませんんんんん!!」
三人が必死に走っていると、遂にゴールの健也のアパートが見えてきた。
「ぜぇ、はぁ、み、見え……あ!?」
そのまま健也のアパートの玄関に飛び込もうと思ったのだが、玄関の前に小さな人影が見えた。
「あ、あぶなぁぁぁい!!」
「?」
それは子供だった。12歳ぐらいの小さな子供が玄関の前に立っていたのだ。
このままではぶつかってしまう!
そう思った真奈が減速しようとしたら……。
「え!?」
「あ、う」
「え、ちょ、きゃああああああああ!!」
後ろの二人が真奈の背中にぶつかって、そのまま真奈達は転がりながら、三人ともその子供の足下まで勢い良く滑り込んでしまった。
「あらあら、大丈夫ですかー?」
地面に倒れ込む三人を心配してか、その子供はしゃがんで声をかけてくれた。
「い、たたた」
「ちょっと貴女! 急に止まらないでくださる!」
「め、眼鏡、眼鏡は、何処に」
美娃は文句言っているが、目の前の子供にぶつからなくて安心した真奈であった。
でも転んだ衝撃で身体中が痛い。
「な、なんだ!? いったい何の騒ぎだ!?」
外の騒ぎを聞きつけて、アパートの中から健也が現れた。
「あら、健也ちゃんお久し振り~」
「……ど、どういう状況?」
〇 〇 〇
「はぁ~、健也ちゃんが入れてくれたお茶はいつになっても美味しいわね~」
健也は三人と例の子供をアパートの中に入れて、五人で机を囲んでいた。
「ひそひそ(あの子供誰ですの? 健也の知り合い?)」
「ひそひそ(もしかしたら親戚の子かもしれません)」
「ひ、そ、ひそ(あるいは、隠し子、かも)」
「「か、かかかか隠し子ぉぉぉぉ!?」」
ひそひそ話しているつもりだろうが、全て健也には丸聞こえだった。
「おーい君達、全部聞こえてるよー」
そんな中、例の子供がお茶を飲み終えて湯飲みを置いて、ニコニコしながら健也の方に目線を向けた。
「ふふ、意志男から聞いてたけど、中々愉快な子達ね健也ちゃん」
「流石にこの歳で『ちゃん』付けは止めてくれよ。それに来るなら来るって連絡ぐらいしてよ母さん」
………………………。
「えぇぇぇぇぇお母さん!?」
「冗談ですわよね……ハッ!? もしや健也、こんな小さな子供に『お母さんプレイ』をさせてますわね! あぁ……健也にそんな性癖があったなんて……」
「え、そうだったのか、健也?」
「全っっっ然違うから! 俺ロリコンとかじゃないから! この人は正真正銘俺の母さんだよ!!」
どう見ても12歳の女の子にしか見えない子供を母と主張する健也。
それでも、どうしても信用出来ていない三人に健也の母は運転免許証を三人に見えるように机に置いてから自己紹介をした。
「初めまして~、私健也ちゃんの母親の『荒蒔 火盧理』と申しま~す。今年で46歳になりま~す」
なんかふわふわした感じの幼い声と喋り方で自己紹介をした。
その声と若すぎる見た目のせいで、まだまだ信用出来ていない様子の三人に火盧理は鞄から一冊のアルバムを取り出した。
「まぁこんな見た目だと信じてくれないだろうから~、証拠として健也ちゃんが赤ちゃんの頃から撮り続けてきたこのアルバムを皆さんに見せてあげま~す」
「母さん!? なんでそんな物持ってるの!?」
「ん~? 常に健也ちゃんを傍で感じ続けていたかったからだよ~?」
「恥ずかしいからやめて!」
健也が恥ずかしがっているのを他所に、楽しそうにアルバムのページをめくる火盧理。
幼い頃の健也が見られる事に期待しながら、三人はその写真を見た。
「これは私が19歳の頃、この頃に結婚して健也ちゃんを産んだのよ~。ほら、この頃の健也ちゃんは私より小さくて可愛いでしょ~?」
確かに赤ん坊の頃の健也を見て可愛いと思うが、その健也を抱いている火盧理の見た目が今と全然変わってないことに驚く三人。
「続いて~、これは健也ちゃんが小学校に入学した時に一緒に撮った一枚よ~」
やはり変わってない。
その後も色々な写真を見せられたが、何年経っても火盧理の見た目が変わっていないことに心底驚き続ける三人であった。
「ふぅ、どう? 私が健也ちゃんのお母さんだと言うことは信用できた~?」
「あ、はい、もう十分です……」
「生命の神秘を体験したような気分でしたわぁ……」
「健也より、火盧理さん、の事が、謎過ぎて、集中できなかった……」
なんか考えすぎて疲れた様子の三人。
そして、ずっと恥ずかしさで目を背けていた健也は、火盧理に今日は何故ここに来たのかを聞くこととした。
「それで母さん、なんでここに来たの?」
「え~? それは健也ちゃんに会いたかったのもあるけど~、実は意志男、つまり貴方のおじさんに頼まれたのよ~」
「おじさんに? 何を?」
「おおよその事情は聞いてるわ~、健也ちゃんはこの可愛い三人の子に好意を寄せられているけど、当の健也ちゃんは27年間恋愛経験が無さすぎて異性とどう付き合えば良いのか分からない。その上性欲が枯れ果てているせいで、この三人を異性として見れないのよね~?」
おじさん何言ってんだ。
性欲は枯れていない。ただ、健也が三人を前にして理性を保ち続けているのは、性欲を暴走させないためだ。
暴走して三人に酷い事をしてしまうのではないか……。
それに本当に手を出したら彼女達の親御さんに怒られ、そのまま警察に捕まって新聞の一面を飾ってしまうかもしれない。
それを恐れて健也は彼女達を異性として見ないようにしていたのだ。
――優柔不断のくそったれな思考。
おじさんに言われた言葉が脳裏をよぎる。
確かにくそったれかもしれない、自分を危険に晒したくないが為の自己防衛。
本当に自分は最低だなと思う健也。
その事で悩んでいる健也を見て、火盧理はある事を話し始めた。
「それで~、貴女達三人に協力してほしいことがあるの~」
「「「協力?」」」
三人が火盧理の話に聞いてくれるのを確認した後に火盧理はとんでもない発言をした。
「そう! 三人の力で健也ちゃんの性欲を復活させよう大作戦を決行したいと考えておりま~す!」
…………………は?
状況が飲み込めない健也であった。
合法ショタに合法ロリ。完全に趣味盛り込んでるなー。
ちなみに健也のお父さん、つまり火盧理の夫はロリコンです。いつまで経っても成長しない、老けない火盧理に感激し「これこそロリの完成形!!」だと豪語するほどの変態である。
息子の事は妻の次に大切に思っている。




