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俺女子高生に興味ないから、君達とは結婚できません!!  作者: 心乃助(Initium・Godpiece)
第二部『愛』
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第109話『普通だからこそ!』

 争奪戦準決勝から2時間後。


 美娃が姿を現して六波に財団の権利を全て委ねる事を約束した。


「ねぇ六波さん、これが最後かもしれないから聞きたいのですが、ワタクシとポーカー対決をした時、どうしてワタクシを敵視してましたの?」


「そんなの、ただの嫉妬ですよ。同い年で財団作るとか凄すぎて妬いてただけです。ですが貴女もイニティウムの被害者だったのですね」


「同情は要りませんわ! 後は任せましたわよ!」


 六波に背を向けて、美娃は真奈と秋歌の方を向いた。


「美娃、これが美娃の決断なんだね?」


「そうですわねぇ、もう他人に人生弄られたくないですし、訳の分からないフェロモンがどうとかで好きになってたとか錯覚させられ続けられてたとか、もう疲れましたわ。だから、もう全て六波さんに任せます。貴女達はどうするのですの?」


 美娃の質問に対して真奈と秋歌はそれぞれの意見を述べた。


「私は……もう一度健也さんに会おうと思う。私の恋が勘違いだったかどうか関係なしに、この10年の想いを勘違いの一言で片付けたくない、だから健也さんと話をして、そこでハッキリさせようと思う」


 と、真奈は答えた。


「ワタシは、あんまし、自信ないが、ワタシが、ここまで、頑張れたのは、健也と言う、存在が、居たから、なのは、たしか、だ、せめて、健也だけでも、助けたい」


 と、秋歌は答えた。


「二人は凄いですわね。ワタクシはもう何を信じれば良いか分かりませんが、二人の健闘を祈ってますわ」


 美娃は両手を差し出して二人と握手をした。


「貴女達と過ごした日々は楽しかったですわ! 何か新しい生き方を見つけたら報告しますわ! それじゃ!」


 そうして、美娃はみんなに背中を向けて、父親と共に屋敷を去っていった。


◯ ◯ ◯


「さーてと、これからどうしましょうか?」


「……」


「お父様が昔やってたラーメン屋でも始めます? 今はお母様が切り盛りしてますし」


「……」


「あ! もしくは株を一から学び直すのもありですわね! 今度こそ自分の力で資産を築き上げますの! 何十年かかってでもやり遂げて、お父様とお母様に楽をさせてあげたいですの!」


 美娃が将来の事を淡々と語っていると彈は憐れみがこもった言葉で言った。


「美娃たん」


「ん?」


「泣いていいよ」


 面食らった顔をする美娃の瞳から涙が溢れた。


「え? あれ? な、なんでかしら、あはは、おかしいですわね。せっかく前向きに……なれた……のに……うわぁあぁぁぁん!!」


 とうとう我慢出来なくなった美娃は泣き出した。


「納得できるわけないでしょ! ワタクシの人生が他人に作られたものだったなんて! ワタクシの恋が勘違いだったなんて! ワタクシのこれまでの人生! これまでの想い全てが偽りだったなんて、どうやって納得しろって言うですの!! もうワタクシには何も残ってないですわ!! あぁぁぁあぁぁ!!」


 子供のように泣きじゃくる美娃を彈は優しく抱きしめるのであった。


◯ ◯


「さて、では争奪戦決勝戦の運営は護世衆が引き受けます。その前に……時真さんとルーガさんは良かったのですか?」


 美娃の財団の権利を受け取った六波は、かつて美娃の部下であった時真とルーガに問い掛けた。


 てっきり美娃の後をついて行くと思っていたのだが、違ったようだ。


「美娃お嬢様には申し訳ないですが、この時真、所詮雇われの身です。雇用主が変わったのなら、そちらに従います」


「ワタシも同意見です」


 時真とルーガの意見を聞いたが、少しドライな印象を受けるが、彼等は金で雇われてただけだったのだ。そこは仕事のプロとしてのポリシーなのだろう。


「それでは決勝戦の組み合わせを発表します。決勝戦は本来は月名子さんが進出するはずでしたが、彼女はまだ意識が戻らない状態ですので、決勝戦は代理として真奈さんにやってもらいます。つまり決勝戦の組み合わせは、真奈vsアヤナとさせていただきます」


 六波の宣言に合わせて会場に上がる真奈とアヤナ。


「まさか真奈が最後の相手とは思わなかったデース」


「私もです。アヤナさんがここまで来るなんて想像できませんでした」


 互いの顔を見合ってから、アヤナは口を開いた。


「……ちょーと姑息な手を使いますが、真奈、勝ちをワタシに譲ってくれませんか?」


「交渉ですか?」


「まぁそうですね。ワタシは探偵としてイニティウムの謎を明かそうと思います。そのついでにマカヤを救うつもりですが、この『マカヤを救う』の意味が分からないのです」


「分からない?」


「だってそうでしょう? イニティウムの魂胆は分かりませんし、マカヤが過去に悲惨な目に遭ったから助ける……それで? 助けた後どうなりますか?」


 アヤナの言葉に固唾を呑んで聞く真奈。


「マカヤは消えるのですか? それとも改心するのですか? もしくは健也さんが戻って来ますか? このマカヤを救う行為には何か裏がある気がします。そもそも、こんな争奪戦なんてやらなくても、イニティウムなら誰がマカヤを救う者なのか知ってるはず、なのにこんな回りくどい事をさせると言うことは、ここにイニティウムの弱点が存在する。と仮定したわけなので、真奈には負けてほしいのです」


「それが何故私が勝ちを譲る事になるのです?」


「ぶっちゃけますが、真奈は普通の女の子です。こんなイニティウムのボードゲームに付き合う必要性はありません。もう美娃と同じように全てを諦めた方が楽じゃないですか?」


 もっともな意見だ。たしかに真奈には何の力もない、アヤナみたいな探偵としてのスキルはないし、六波みたいな組織も持っていない。


 至って普通のどこにでも居る女の子だ。


 これ以上、偽善悪に付き合う必要なんてない。


 それでも真奈は。


「普通、普通だからこそ、アヤナさんや六波ちゃんみたいな考え方を持っていない。だからこそ! 二人では考えもつかない考えと行動ができます! 健也さんとマカヤ、両方救うには、そんな普通な人間の存在が必要なのです! 私は健也さんだけでなく、何百年も苦しんでるマカヤを救ってあげたい! だからここは譲れません!」


 真奈の意思は固い。


 それを目の当たりにしたアヤナは驚きを隠せなかった。


 普通の人間、特別でも何でもない少女がここまで言うか。


 アヤナと六波では、合理的な考え方でしかマカヤと接する事はできないし、近付くだけであれこれ複雑に考えてしまう。


 でも真奈なら、策も複雑な考えもない少女ならもしかしたら。


「……それでも、ワタシ個人としては真奈には普通の生活に戻ってほしいデース。だから負けません! あーあ、勝ちを譲ってもらう作戦は失敗デースか、やれやれ、ちょっと本気出しまーす!」


 争奪戦決勝戦の幕が開いた。

 あ、お知らせです。霧神君達が主役のイタリア編は、本編のマカヤの問題がひと段落したら第3部か外伝としてやろうと思ってます。なので彼等の活躍はまっだまだ先です。

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